サイドストーリー.2-2
バーナヴァスは島の北側にいた。女神達との戦いでボロボロになった上着を投げ捨て、シャツの袖を肘下部分まで捲る。痛々しい裂傷が露わになる。たかが魔術師ごときが、女神に挑んだ結果だ。
弱肉強食など、この世の理。
勝った方が強く、負けた方が弱い。
無論、戦闘では敗けた。だが、目的は果たした。その点に関しては、こちらの勝ちだ。
バーナヴァスは傷から溢れ出る血で、地面に記号を描き始めた。
記号の中心に右手を翳す。地面から、光る水のようなものが染み出した。それが、バーナヴァスの右手に吸い上げられていく。
島にいる女神から集めた魔術だ。標的が絞れない分使い勝手は悪いが、幸運にも女神達は乱戦状態にあったため妨害が入ることなく、大量の魔力を吸収できた。これほどの魔力があれば、女神と互角か、それ以上には戦える。それに、あの銀髪の女神から奪い取った加護は中々使えそうだ。ある程度の戦闘をすることで相手の能力を計測し、自身の能力を相手以上までに強化するというもの。
「……ッ」
体の内側が、ミシミシと軋んだ。何かが噛み合わない、そんな感覚がする。
バーナヴァスは、ひとり冷笑を浮かべた。
魔術師の端くれ程度が、女神の力を使おうなど思った時点で愚かというもの。だが、力や知識を欲する者の成れの果てが魔術師。なった時点で愚者も同然か。
「バーナヴァス・ジェイソン」
聞き慣れぬ声が、名を呼ぶ。いや、一度は聞いたことがある声だった。
「『シーカー』か」
呟き、振り返る。
傷だらけの少年が、こちらに見慣れない、というか現代にはないであろう西部劇に出てきそうなリボルバーがあった。僅かだか魔力を感じる。
「ジェイソン家が保有している手記というものを渡してもらいます」
「……」




