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色とりどりの黙示録  作者: owen
序章
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黄の章 第1節

 

「うーん……ライバルが主人公みたいで気に入らないけど、ここでこのオバさんを倒しておかないと後々面倒な事になる気がする……うん。ここはエミたんのためにも、このハーレム系主人公のワタシは脇役に成り下がっておこうではないか!」

 と、脳内でこの状況を自分の都合がいいように変換する涼風。

「よく喋るね」

 フラフラとよろめきながら、リリスは立ち上がった。

 頬には痣があり、唇は切れ、鼻血まで出ている。悪魔の顔の方も、相当なダメージを負っているように見える。

「あれ? 生きてたんだ。てっきり頭蓋骨と脳みそが砕けて混じってグロテスクでカルシウムと鉄分たっぷりのフレッシュジュースになったかと思ってたのに」

 因みに、ジュースは鼻から出る仕組み。ぷぷぷ。ベタだけど、リアルで起きたら結構グロいよね。それに不味そう。

 リリスは眉間に皺を寄せ、怒りを露わにした。

「生意気なガキの相手をするのは、もう、うんざりだわ」

 リリスの周囲に三つの魔法陣が現れた。どれも黒色の不気味な光を放っている。

「今、この場で死んでちょうだい」

 魔法陣から炎の球が発射される。それほど大きくはないが、推進速度が速い。

「やなこった」

 涼風の瞳の奥に、記号が浮かび上がる。

 それが弾けると同時に、涼風と炎の球の間の景色がグニャリと歪んだ。

 炎の軌道が大きく変わり、明後日の方向に飛んで、壁に当たって爆発した。

 リリスは苦い物でも噛み潰したような表情を浮かべた。

「空間を捻じ曲げるなんて、どういう魔術よ」

「誰が教えるもんですか。ベーだ」

 涼風は舌を出し、リリスを馬鹿にした。

 リリスは何も言わず、魔法陣から火を放った。その数は、さっきの十倍はある。

 対して涼風は、地面を蹴り、リリスに向け走り出した。

 右手を前に翳し、多数の記号が犇めく橙色の瞳で火の球を捉え、言う。

「オーケアノスの海流!」

 右手が水色に光る。

 涼風の足元から水が溢れ出す。水は大きな波を作って、火の球を消火しながらリリスへと突き進む。

 リリスは壁をも削る畝りを見上げ、大きく唇を動かした。

 すると、背後の魔法陣が消え、今まさに迫る波に勝るとも劣らない大きさの魔法陣を出現させた。

「この程度」

 魔法陣から、炎が噴き出す。

 水と炎が触れる。ジュッ、と巨大な音が生じた。

 その二つが相殺され、廊下にに水蒸気が立ち込めた。

 その中で、

セントジョージの剣!」

 涼風の右手に、西洋の長剣が握られた。

 その一振りを躱し、リリスは、

「魔力で物体を作り出すなんて、面白い芸を見せてくれるじゃない」

「こんな事だって出来るんだよ。ゼウスの雷!」

 涼風の左手から放たれた凄まじい閃光が、リリスの腹を貫いた。

「がッ……」

 怯むリリス。

 すかさず、涼風は聖ジョージの剣をリリスの胸に突き刺した。

 リリスの体内に自身の魔力を、剣を通して大量に注ぎ込む。

「何をする気……ッ⁉︎」

「爆ぜやがれッ‼︎」

 リリスの体内で涼風の魔力が暴れ出し、爆発。

 黒煙が二人を包む。

 最初に姿を現したのは、涼風。

「ケホッケホッ……煙がオバさん臭いよ」

 顔の前で右手を振り、臭いを消そうとする。

「ゔ……あ……この、クソ……ガキ……」

 リリスはまだ生きていた。正確に言うなら、口は動いていた。生きているのが不思議なくらい彼女の体は損傷していた。

 涼風は残骸となったリリスを見下ろして、

「たかだか上級悪魔のオバさん程度で、ピッチピチの魔法少女に勝てるわけないじゃん」

 橙色の瞳の奥で、一つの記号が弾けた。

 リリスの姿が、そこから跡形もなく消えた。

 悪魔のみを遠くへ飛ばす魔術だ。最初からこれを使う手もあったが、魔王と戦うための肩慣らしとしてリリスと戦っておきたかった。

 涼風は光助が向かった広間に向け歩き出し、

「さてと。主人公のワタシが広間に入ると、ピンチのライバルが。そこへワタシが乱入して単独で魔王を撃破。エミたんと感動の再会を果たして、ワタシの物語の序章は終了。これからワタシは次々と美少女に出会い、あんな事やこんな事をしてぇグヘヘへへ」

 卑猥な妄想を膨らませ、氷点下の広間に足を踏み入れる。

 広間の中央では、魔王と光助が戦っていた。

 予想通り、光助が圧倒的に劣勢だった。

「ふふん。やっぱりね」

 コホンと咳払いをして喉の調子を整え、予め用意しておいた台詞を口にしようとしたその時。

 肩に手が置かれた。

「お前の出る幕じゃない」

 男が一歩前に出てくる。

 死の騎士だ。

「あ、今まで何処に行ったてたのシノ⁉︎ おかげでこっちは慌てたんだよ……って」

 さらに、もう一人いた。

 黒いゴスロリ衣装に身を包んだ十歳くらいの少女だ。

「ライカたんも一緒なの?」

 ライカは涼風を見上げ、

「そのライカたんって呼び方やめてくれないか」

「やだ」

 即答すると、ライカははぁとため息を吐いて、魔王と光助の元へ跳んだ。

「涼風。お前は、あの二人を連れて屋敷に戻っていろ」

 死の騎士が言う。

「え? でも、お兄ちゃんを探したいな」

「いいから、戻ってろ。俺が戻るまで、何処にも行くんじゃないぞ」

「……はぁい」

 涼風は光助と、台座に寝かされていた咲を連れて屋敷に転移した。















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