令和鬼合戦:百の金棒~一の理~
興味をもっていただきありがとうございます。
初代桃太郎が去り際に遺した、人桃衆最悪の「失敗作」。
かつてない混成部隊が、神話を超えた暴力の嵐に立ち向かいます。
ドォォォォン!!
二十メートルを超える巨躯を持つ『剛禍』が、その無数の腕に握られた金棒を一斉に叩きつけた。山頂の岩盤は瞬時に粉砕され、巻き上がる土煙が月光を遮る。
「……っ、防ぎきれないわ! 衝撃波だけで魂脈障壁が削られる!」
モモが必死にシールドを維持するが、四方八方から降り注ぐ金棒の雨に、その障壁はひび割れ、限界を迎えようとしていた。
「モモ、そのまま耐えろ! 柳、アンナ! 左の多腕を止めるぞ!」
尾上総大将が咆哮し、地面に両手を突く。地獄で培った彼の土遁が、山頂の地形そのものを変質させていく。
「土遁・千畳岩陣!」
大蛇鬼たちの足元から巨大な岩の柱が次々と競り上がり、金棒の軌道を強引に逸らしていく。そのわずかな隙間を縫って、雉翼衆の二人が閃光のごとく跳んだ。
「おらぁッ! たくさん腕がありゃあ、それだけ斬り甲斐があるってな!」
柳真一の刀が風を切り、剛禍の腕を数本まとめて撥ね飛ばす。
「柳さん、調子に乗らないで! 近づきすぎよ!!」
本田アンナが、切り落とされた腕から溢れ出す鬼魂脈を自身の炎で焼き払い、再生の連鎖を断ち切る。
多腕の剛禍を仲間たちが抑える中、羅夢多の前には一本角の黒い鬼、『羅刹』が立ちはだかっていた。
下半身の蛇が鎌首をもたげるように羅夢多を追い詰め、一対の金棒が頭上から交互に振り下ろされる。
「理を……視る……!」
羅夢多の十字の瞳が、激しく火花を散らす。
羅刹の攻撃は、先ほどの八岐大蛇のようなものではない。圧倒的な「質量」と「速度」による純粋な物理の暴力。解体しようにも、解体すべき「構成」が単純かつ強固すぎて、一筋縄ではいかない。
ギィィィィィィン!!
羅夢多の刀と金棒が激突し、火花が夜闇を照らす。腕が痺れ、骨が軋む。
(……強い。金棒一本に込められたエネルギーが、さっきの大蛇の首一つ分より重い!)
だが、羅夢多の瞳は諦めていなかった。
金棒が振り下ろされる瞬間の「遠心力」、蛇の体が地面を掴む「摩擦力」、そして筋肉が収縮する「連動」。それらが交わる一点。
「……そこだ!!」
「九十九! 土の重圧で、羅刹の動きを止めてくれ!」
「了解! ……土遁・大地の楔!!」
九十九の術が、羅刹の蛇尾の付け根を強力に拘束した。一瞬、羅刹の姿勢が前のめりに崩れる。
その刹那、羅夢多は自らの右腕に再度「鬼火装」を集中させた。
「百の金棒があろうと、理が繋がっているのは『一』だ! ……そこを、断つ!」
羅夢多は金棒の風圧を潜り抜け、羅刹の胸部へと肉薄する。
十字の瞳が捉えたのは、二つの目の中間、一本角の根元にある「脈動」。
「理の解体・真金貫き!!」
羅夢多の刀が、一点の迷いもなく羅刹を貫いた。
同時に、九十九が土遁で剛禍の全身を岩の枷で封じ込める。柳とアンナが残る腕をすべて切り伏せ、二体の異形は断末魔の叫びと共に、その巨躯を崩壊させていった。
がしかし、くずれた体がものすごいスピードで再生されている。
ようやく訪れた静寂。しかし、不気味な音と共に鬼は再生されていく。
「……これでもダメか」
モモが銃を下ろす。
だが、羅夢多と九十九は、無言で山頂の奥――すさまじい魂脈をまとった藤林を見つめていた。
第六十三話をお読みいただきありがとうございました!
圧倒的な物量を誇る二体の融合体を、犬牙衆と雉翼衆の見事な連携で撃破。
羅夢多の「理の解体」と九十九の「土遁」が、ついに物理の暴力を上回りました。
次回、お楽しみに!
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※AIとの共同執筆作品となります。




