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はい、こちら黄泉国立図書館地獄分館です  作者: 日野 祐希@既刊8冊発売中
エピローグ 地獄の図書館へおいでませ
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地獄の図書館へおいでませ!

 月日は流れて、新年度の四月半ば。


「ん~……」


 地獄分館閉館&私達の解雇騒ぎも無事に解決し、それに伴う慌ただしい年度替わりも一段落ついた今日この頃。今月分の購入図書の選書を終えた私は、一つ大きな伸びをしました。


「ふう……。今日もいい仕事をしましたね。さすがは私です」


「ししょー、おつかれ~!」


「おちゃ、もってきた~!」


「おかしも~!」


 仕事のキリが良くなったところで、とまとさん、ちーずさん、ばじるさんがお茶とお茶請けを持って来てくれました。この子達は愛らしくて仕事ができるだけでなく、本当に気が利きます。


「ありがとうございます、皆さん。では、おやつにしましょうか」


「「「は~い!」」」


 言うが早いか、事務室内が紅茶の良い香りに包まれ始めます。

 子鬼さん達は、順調にお茶を淹れる技術を向上させているようですね。今日のアールグレイも実においしいです。

 麗らかな午後、仕事の合間に挿むティータイムは体だけでなく心も潤してくれます。


「ちーっす! 姐さん、本日もご指導のほど、よろしくお願いするッス!」


「うぃーす」


 私達がまったりとティータイムを楽しんでいると、聖良布夢さんとタカシさんが事務室に顔を出しました。

 この二人ですが、本年度からアルバイトとしてこの地獄分館で働いています。

 行く行くは彼らにも正式な司書補となってもらい、身が粉どころか芥子粒になるまで地獄分館の発展に尽くしてもらう予定です。


「おはようございます、聖良布夢さん、タカシさん。良いところに来ましたね。ちょうどティータイムの最中だったのですが、お二人も如何ですか?」


「いいッスね。いただくッス!」


「ごっそさんです」


 聖良布夢さんとタカシさんが、いそいそとミーティングテーブルの開いている席に着きます。

 さあ、ティータイムの再開です。


 ――と思ったら……。


「宏美君、この間君が出してきた新しいイベントの件で確認したいことがあるんだけど、ちょっといいかな?」


「宏美さん、頼まれていた本の修繕道具が届きましたよ。確認をお願いします」


 まるで狙ったかのようなタイミングで、閻魔様と兼定さんまでやってきました。

 いきなり千客万来ですね。これはアフタヌーンティーの時間も終わりのようです。


(経験則から言って、こういう時はさらに来客が重なるものですしね……)


 そう思った瞬間、カウンターから呼び出し用のベルが鳴る音が聞こえてきました。どうやら利用者がやってきたみたいですね。ついでに、事務室内の電話まで鳴り始めます。

 やはり、経験則は侮り難いです。

 いやはや、穏やかな一時が一転して、急に忙しくなってきました。


「閻魔様、すみませんが少し待っていてください。とまとさん、電話の方をお願いしますね。ちーずさんとばじるさんは、兼定さんと一緒に納品物の確認をしてください。聖良布夢さんとタカシさんはお茶を飲み終えたら、いつも通り書架整理をお願いします」


「「「「「了解(りょ~かい)!」」」」」


 全員に指示を出し終えると、私は足早にカウンターへ向かいます。

 さて、それでは黄泉国立図書館地獄分館が誇る美人司書、その華麗な仕事振りをお見せするとしましょうか。

 カウンターに立った私はすかさずペコリと一礼し、百点満点の超絶営業スマイルを利用者へ向けました。


「お待たせしました。ようこそ、黄泉国立図書館地獄分館へ! 本日は、どのような御用件で?」


〈了〉


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