表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/9

第8章:会員番号○○番の私

 ―マジガーズクラブと超合金Zの夢―


 情報源は「雑誌」だけだった時代


 少しだけ、時代の話をしよう。いまの子どもたちは、YouTubeだのX(旧Twitter)だの、ありとあらゆるネット情報に囲まれて育つ。けれど、我々の子ども時代にはそんなもの、影も形もなかった。


 当時、アニメや特撮の情報源は“雑誌”しかなかった。特に、我々男の子にとっての二大巨頭は、


 テレビマガジン(講談社)


 テレビランド(徳間書店)


 である。


 そして、「お前、どっち派?」みたいな派閥争いが、ランドセルの中で静かに行われていた。


 ジャンプ派かサンデー派か、りぼん派か別マ派か――それと同じように、

 テレビマガジン派か、テレビランド派か。私は断然、テレビマガジン派だった。



 マジガーズクラブに入りたかった


 テレビマガジンでは、マジンガーZを猛烈にプッシュしていた。そして雑誌内企画として設けられていたのが…マジガーズクラブ。


 これ、要するにマジンガーZの公式ファンクラブのようなものだった。ファンレターを出したり、会員証が届いたり、イベント情報が載っていたりする。


 我が家では、そういう「何かのファンクラブに入る」という文化はなかった。テレビや雑誌は“生活から距離のあるもの”という空気感だった。だから、マジガーズクラブに入りたいと言い出すのは、当時の私にとってちょっとした革命的行動だった。


 母にお願いした時の詳細なやりとりは、残念ながら覚えていない。でも、その後に訪れた出来事だけは、今でも鮮明に覚えている。




 封筒が届いた日


 学校から帰ると、いつものように郵便受けを確認する。その日は…あった。雑誌社からの封筒。


「ついに来たか……!」


 私は封筒を抱えて、自分の部屋に駆け込んだ。


 中に入っていたのは、念願のマジガーズクラブ会員証。名前も良い。マジンガークラブではなく、マジガーズクラブ。


 小学生の私は「なんで“ズ”がつくんやろ?」と思ったが、ドラゴンズ、スワローズ……

 ズをつけると強そう、カッコよさそうという漠然とした納得感があった。




 超合金Zの奇跡


 そして――最大の衝撃が訪れる。会員証は、ただの紙切れではなかった。なんと、金属製だったのである。


 昭和40年代、会員証といえば、ぺらぺらの紙、せいぜい厚紙。パウチすらされていないのが普通だった時代。


 そこに現れたのが、ずっしりとした金属のプレート。それは、私の中で、「超合金Zでできている」という公式設定になった。


 もちろん、今にして思えば、亜鉛かアルミだろう。でも、そんなことはどうでもよかった。


 私はその会員証を手にしたとき、思ったのだ。「これ……ホンマに超合金Zちゃうんか……?」


 親に「この金属って超合金Zなん?」と聞くのは、夢に傷をつけるような気がして聞けなかった。


 少年は、夢を守ったのだ。その感動は、今でも私の中にあって、懐かしく、ちょっとしょっぱい。


 画面の中のロボットが、雑誌を通じて、手元にやってくる。物語の向こう側にいたヒーローが、カード一枚で“自分の仲間”になる。


 それが、マジガーズクラブだった。そして、それが、フィクションと現実の接続点だった。


 つづく…

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ