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第6章:パイルダー・オンという革命

 ―アニメがロボットを科学にした日―


 ジャンボーグAの限界と「操縦感」の喪失


 前章で語ったように、ジャンボーグAの操縦法は画期的だった。「操縦する」から「動きを同期させる」へ。ロボット操縦の概念そのものが更新されたわけである。


 だが…やはりどこか物足りない。


 なにせ、操縦席に座るどころか、立ったまま一人でシャドーボクシングをする姿は、どう見てもカッコよくない。ロボットが外で激戦を繰り広げている最中、コクピットではナオキが「ふんっ!」「はっ!」と一人で空間にパンチを繰り出している。


 操縦というより、参加型アトラクション。


 やっていることはすごいのに、どうしても“絵面”が燃えないのだ。そして、そんな少年たちの心のモヤモヤを一掃してくれたのは、やはり――アニメだった。



 マジンガーZの衝撃


 そう、それまで特撮ロボットで育ってきた男の子たちの前に、完全新型のヒーローが現れた。


 その名は、マジンガーZ。


 特撮のようなチープな造形の限界もなく、画面の中でロボットは自由に、なめらかに、ダイナミックに動いた。そして何より――ロボットに搭乗する瞬間が、これ以上なくカッコよかった。


 たとえばマッハバロンでは、スポーツカーが脚部のハッチに吸い込まれ、内部に移動する。ジャンボーグAではセスナ機が空中で変形し、ロボットへと変身する。いずれも搭乗(または変身)の演出に工夫が凝らされていた。

 だが――マジンガーZの搭乗シーンは、次元が違った。



 パイルダー・オン!という演出革命


 マジンガーZに搭乗するには、まず専用の小型飛行機…ホバーパイルダーに乗る。これだけで男の子のロマンは100%満たされるのだが、肝はここからである。


 このホバーパイルダーが、空中からマジンガーZの頭部めがけて垂直に降下し、合体する瞬間…


「パイルダー・オン!!!」


 このセリフとともに、パイルダーのプロペラがパタンと折りたたまれ、頭部にスコン!と収まる。


 ……が、そのとき、ちゃんとジェット噴射で減速して着地するように描かれているのだ。


 これがすごい。いきなりプロペラを止めていたら、普通に考えたら墜落してしまう。だが、マジンガーZはそれをちゃんと物理的に破綻しないように描いていた。


 この演出を見たとき、少年だった私の心は震えた。


「科学的やん……!」


 ただの“勢いで合体!”ではなく、重力や飛行原理に配慮した描写。それをパイルダー・オンの1カットに込めた、アニメという表現力の力強さに打たれた。



 ホバーパイルダーという「専用機」


 さらに言えば、ホバーパイルダーという「操縦機そのものが別機体」という設定がもう、斬新かつ夢が詰まっていた。


「ロボットに乗るために、もう一個乗り物がある」


 この多重構造が、「俺が操縦してる」感を何倍にも高めたのだ。


 それまでのロボットは“呼び出す”か、“合体する”か、“変身する”かのいずれかだった。しかしマジンガーZでは、自分が飛行して、自分で降りて、自分の意志で乗り込む。


 この「自主性」こそが、ロボットの所有感・一体感を圧倒的に高めたのである。



 続く、ロケットパンチと…


 さて、搭乗演出だけでこれだけ語れてしまうマジンガーZ。この後には、もちろん誰もが知るあの名フレーズ…


「ロケットパーンチ!!」


 が登場し、操縦とアクションの融合はさらに加速していくのだが、それはまた次章で語るとしよう。


 …つづく

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