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24、飲んでお前もおかしくなるか?

 火上の笑いが収まらない。もう1分くらい笑っている。チャーハンだっけ?その薬は本当に飲んでも良いものなのか?


 とても疑わしく思えてきた。いや、火上の頭がおかしいだけかもしれない。


 ・・・・・・体力の回復が済んだ。危機感が体力ギリギリの僕の身体を強く動かす。


 笑っている火上の両足首を両手で掴む。そして掴んだまま身体を横に回転。そのまま引っ張った。


 火上は仰向けに転倒。僕は速やかに馬乗りになって。火上の顔を鉄槌で連打。


 火上は必死に抜け出そうとする。僕は怖い。先ほどまでの火上の狂気的な笑いが怖い。怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い!


 僕は火上をひたすら殴った。気づいた時には火上の顔はあざだらけになっていた。はれすぎで一目では火上とわからないかもしれない。僕はとりあえず火上の懐から薬をあさった。そして火上の顔をもう一度見る。


 ・・・・・・やりすぎたか?まあ火上だし別によくね?そんなことよりも今は薬をどうするかだ。思ったよりもやばい薬かもしれない。


 だがここでカクゴを決めなければまともな異能が手に入ることはエイエンにないかも?薬を見つめて手を震わせながら悩んでいると近くからか細い声が聞こえる。


 「何ビビってんだよ。飲んじまえ。せっかく俺を倒したんだからよ。」


 声の主は火上だ。火上ははれた顔でもわかるほどいい笑顔だった。だが次の瞬間には火上の目から涙があふれ出る。火上は吠えた。


 「くそが!せっかく異能を強くしたのに結局こうなるのかよ!なんでお前に勝てねえんだ。」


 大きい声だ。それだけ火上の感情が詰まっている?僕はいつもギモンに思っていた。こいつはなぜ僕の前に立ちフサガルのだろうかと。


 火上の強い感情に引きずられたせいか、今なら火上の本音が聞けると感じたのか。おそらく両方だろう。


 「火上。お前なんで僕がそんなに嫌いなんだ。」


 そんなに大きな声では質問できなかった。こいつのことをわかろうとするのが嫌だったし、過去に同じ質問をしたこともあった。


 「俺はお前の親が嫌いだ。」


 はい?前に同じ質問をした時はなんとなくとか、そんなふわっとした理由だった。 


 それに比べると今回のははっきりしている。だがやはり意味がわからない。


 「どうして僕の親が嫌いなんだ?」


 「お前が殴られたら学校に文句を言いに行くところだよ。鈴木、お前の親はおかしいぜ。」


 「そんなわけあるか!普通のことだろ!」


 「俺にとっては普通じゃねえんだよ!」


 火上の視線は鋭かった。その鋭さはよく研がれたナイフに負けない。倒れて動けないはずなのに僕は火上が怖かった。

 

 「俺はお前みたいなおかしい奴にまともな親がいることが許せなかったんだよ。」


 「火上・・・・・・。」


 ただのシットじゃないか。そんな理由で僕にあんなにつっかかってきたのか。


 僕は火上がうらやましかった。運動神経いいし、友達をすぐ作れる。でもうらやましかったのは火上も同じだった。


 「鈴木。その薬どうする。お前も飲んでおかしくなるか?」


 「ああ。飲むよ。そして力を手に入れる。」


 あぶねえもんでも飲めば力が手に入るのは目の前いる顔面がはれたやつを見ればわかる。


 「勝手に破滅しちまえ。ばーか!」


 火上のやつ、口をひらけば悪口ばかりだな。まあ今日はゆるしてやるよ。


 僕は路地裏のさらに奥深くへと移動。リュックから水筒を取り出す。暑いな。薬飲む前に水だけ飲んだ。


 さて次はお薬を・・・・・・。僕は手元にあった薬をじっと見る。これがあれば六級からおさらばだ。


 「鈴木君。何をしているんですか?」


 え!僕は素早く振り向いた。やましいことがあるので当然だ。むしろ声をかけられる前に気づくべきだった。


 「え、山田君?」


 振り向くと表情をうしなった戦友のすがたがあった。山田はフリルのついた赤色のショートパンツにシンプルな白のブラウスを着ている。僕に会ってからずっと伸ばしていた髪は首元に少しかかり、ウサギのヘアピンも忘れていない。


 私服を見たのはこれが初めてだ。山田らしい格好だ。可愛いと思う。ただ今の表情は可愛くない。呪いの人形に攻撃されそうなやつの気持ちが今ならわかる。


 「や、山田君。何でここにいるんだ?部活はいつも休まないじゃん。」


 「その言葉そっくりそのままお返しします。鈴木君が部活を休むのは異常なことです。一緒に遊びに行く人はいない。勉強をするために部活を休むタイプでもない。」


 くそが!わざわざギョウギよく休むなんて連絡しなければよかった。ここからでも誤魔化せないか?


 「いやちょっと今日は街で買い物でもしようと思ってさ。緊急で必要なものがあってさ。」


 「緊急で必要?その怪しい薬が緊急で必要なんですか?」


 「この薬ね。別に怪しくない。知り合いからもらったんだ。」


 「・・・・・・鈴木君。危険ドラックは知り合いから手に入れることが多いんですよ。」


 そうだった。あわてたから頭がはたらいてなかった。学校の犯罪防止セミナーで教わるような当たり前のことが頭から抜けていた。


 「鈴木君。その薬を渡しなさい。」


 「いやだ!これがないと僕は!」


 「もう依存してるんですか?」


 ゴカイだ!やべえもうどうしよう。とりあえずあがくしかねえ。


 「この薬が怪しいって証拠はあんのか!」


 「怪しくないなら路地裏で飲もうとしませんよね。」


 アアアアアアア!この感覚。火上に口喧嘩でいつも負けていたのを思い出す。異様にムカムカしてくる。


 「ああそうだよ!この薬は『超凡』だよ!怪しい薬だよ!」


 僕は感情のままに叫んだ。もう説得のことなどどうでも良かった。


 



 


 

 


 


 

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