水宝玉の月、一週目
今週は珍しく事件が一つ。近くの森で穴が発生。
幸いにも近くを警戒していた白と黒の戦士団に迅速に対応していただいたので、街への被害は皆無。
今の時期は穴の発生頻度が上がっているという話を市長および、衛兵隊隊長にしてくれたおかげで、近隣の警戒を戦士団に依頼。
時期が終わるまで周辺の警戒をしてもらうことになった。
現在まで再発の予兆はないが、充分に警戒して任務につくように。
また、穴の発生という異常事態があったので住民間で大きな衝突こそなかったものの、不安に思っている人も多いので気を配り、安心して生活できるように心がける事。
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「しっかし、穴の発生で大きな被害がなかったのは、本当によかったな」
「ええ、本当に。前に発生したときは死者こそいなかったものの、怪我人が出たり、建物が壊されたりと大変でしたからね」
「戦士団のおかげだな」
「ですね。黒の神から祝福をもらった黒の戦士と、白の神の試練を乗り越え技能を手に入れた白の戦士。流石、人を越えた存在といった感じでしょうか」
「黒の神からもらう祝福はどうにもならないけど、白の神の試練に挑む者は年々増えているらしいな」
「でも、神の試練というだけあって、乗り越えられるのはごくわずかとか。それでも超人的な力を求めて、何度も挑む猛者もいるみたいですね」
「君は挑戦しないのか」
「一度挑戦してきましたが、ダメでした」
「そうだったのか……。再挑戦はしないのか」
「そうですね。正直、自分の限界というものを知ることが出来たので充分かと思いまして」
「そうか」
「誰もが乗り越えられる試練では意味がない。限られた者のみが選ばれる……。と直接知ることが出来たので、ほどほどに生きていこうと思っています。」
「そうか、それも大事だな」
「はい、ほどほどに。出来ることをやろうと思います。なので先輩。今夜こそさぼらずに仕事してくださいね」
「……言うようになったな……」
「もちろん。私のほどほどは、しっかり仕事をして街を守る事ですからね。それは神の力がなくても出来るはずなので」