第6話〜蒸し暑い日の体操着
猛暑、35度超え。
最悪のタイミングで、俺たちは身体が入れ替わってしまった。
サイズの合わない体操服、慣れない肌の感触、そして鼻をつく異性の匂い——。
体育の授業すら乗り越えられるか分からないこの状況で、俺はあいつと交わした「夏の約束」を思い出していた。
絶対に、夏休みまでに元に戻ってやる。
汗と焦燥感にまみれた、俺たちの秘密の夏が始まる
「……おい、葵。体操服忘れたってことにして、多目的トイレで着替えよう」
「えっ、二人で……?」
「馬鹿、順番にだろ! 運動神経が違いすぎて絶対バレるけど、着替えで見られるよりマシだ!」
俺たちはアイコンタクトを交わすと、それぞれのグループに「ちょっとトイレ!」と叫んでダッシュした。個室に滑り込み、サイズが合わない体操服に袖を通しながら、俺はあいつと交わした**「今年の夏休みは二人で海に行く」**という約束を思い出していた。
(……こんな姿で海なんて行けるかよ! 絶対、夏までに元に戻ってやる……!)
汗ばむ肌に生地が張り付く感触に耐えながら、俺は固く拳を握りしめた。気温は既に35℃を上回っている。運動する前から背中から暑さが流れ出し、体操服と背中がくっついて不快だった。それにしてもこれが女の匂い じかに嗅ぐということか━━。
俺は激しい目眩に襲われていた。
最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。
猛暑の蒸し暑さと、突如として始まった入れ替わりの焦燥感。サイズ違いの体操服や異性の匂いといった、生理的な違和感も含めて「あの夏の空気」を感じていただけていたら嬉しいです。
夏休みまでのタイムリミットの中、二人がどんな悪戦苦闘を繰り広げ、あの「夏の約束」へたどり着くのか。汗と秘密にまみれた彼らの物語を、どうぞ最後まで見守ってください。
また次の章でお会いしましょう!




