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第2話〜葵のオーラ

世の中には「まさか」という言葉があるが、まさか自分の人生にそれが訪れるとは夢にも思っていなかった。

地味で目立たない男子高校生・**れん**と、クラスの中心で誰からも愛される美少女・あおい。接点すらほとんどなかったはずの二人は、ある不可解な事故をきっかけに、お互いの「身体」と「日常」を丸ごと入れ替えてしまう。

見た目は完璧な美少女、中身は必死な男子高校生。

見た目は殺気立った陰キャ、中身は焦りまくる美少女。

性別も立場も180度違う二人が巻き起こす、絶対にバレてはいけない学園スワップ・コメディが、いま幕を開ける。

葵の体で2年B組の教室に足を踏み入れた瞬間、黄色い声が耳を刺した。

「あおい〜! おはよ〜! 今日の前髪も超決まってんじゃん!」

「っ……!」

女子グループがドッと押し寄せてくる。普段の俺なら絶対に立ち入らない、華やかな女子の輪。鼻をくすぐる甘いコロンの匂いに、頭がクラクラしそうだ。

(落ち着け……俺は今、葵なんだ)

俺は必死に顔の筋肉を緩め、生前の……いや、昨日の葵の記憶を辿って笑顔を作った。

「う、うん! おはよっ、みんな!」

「……あれ? 葵、なんか今日声低くない? 風邪?」

「えっ! あ、いや、これは……昨日カラオケで歌いすぎちゃって!」

裏声を絞り出すように誤魔化すと、女子たちは「なんだ〜びっくりした!」と笑い転げた。冷や汗が背中を伝う。一秒たりとも気が抜けない。

ふと窓際に目をやると、俺の体に入った葵が席についていた。

(……おいおい、嘘だろ)

葵は腕組みをしたまま、眉間に深々とシワを寄せて窓外を睨みつけている。いつもはクラスの陰キャグループで大人しくしているはずの「蓮」が、まるで極道のような殺気立ったオーラを放っていた。

男子たちが引き気味に「蓮、今日なんか怒ってね……?」と囁き合っている。

(葵のやつ、完璧に演じるって言った直後にこれかよ……!)

俺は女子たちの雑談を適当に受け流しながら、冷や冷やした心地で「自分」の挙動を見守るしかなかった。

読者の皆様、はじめまして! 作者です。

本作をお手にとっていただき、誠にありがとうございます。

「王道の身体入れ替わりモノを、一番ギャップの激しい二人でやったらどうなるだろう?」というシンプルな思いつきから始まったのが今作です。

見た目は誰もが振り返る完璧な美少女なのに中身は必死すぎる男子高校生・蓮と、見た目は殺気立った陰キャなのに中身はパニック状態の美少女・葵。お互いの「日常」と「秘密」を守ろうと必死になればなるほど泥沼にはまっていく二人のドタバタ劇を楽しんでいただけていれば幸いです。

性別の壁、スクールカーストの壁、そして「女子トイレの壁」……。さまざまな試練(?)に立ち向かう二人の恋とトラブルの行方を、ぜひ最後まで見守ってください。

最後になりますが、素晴らしいイラストでキャラクターに命を吹き込んでくださったイラストレーター様、根気強く伴走してくださった担当編集様、そして何より本作を読んでくださった読者の皆様に、心からの感謝を申し上げます!

それでは、また次の物語でお会いしましょう!

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