ヴィジョン教授と盾頭
「その盾頭という名前はどういう意味でしょうか?ヴィジョン先生が組織した弟子達の筆頭を意味するのでしょうか?」藤岡記者は立て続けに聞いた。
他の報道陣達もひそひそと騒がしくなってきた。他の記者達も確認したくてどういう意味なのかを聞きたくなった。中に手を上げて「その盾頭とはどういう意味でしょうか?」と必死に聞いている。
「はい、お静かにしてください!今は藤岡記者が質問してますので!…ではヴィジョン先生」進行役がマイクを持って冷静にそう注意してヴィジョン教授に言った。
ヴィジョン教授は微動だにしなかった。ゆっくりとマイクを持とうとするとヴィジョン教授はこの盾頭のことを世に広めていいのだろうかとまだ分からずにいた。
「確かに私が組織した盾の持ち主でそのリーダーに牽引する人のことを指します。彼らも私と同じ志を持ち、イナズマ団に被害を受けた者やイナズマ団の撲滅に意欲を持った者といった人達が集まって結成したメンバーでもあります。盾頭という名前は勿論私が名付けました。頭は筆頭という意味を持ちますから役割はいくつかあります。自分自身がイナズマ団に対抗できる体力や技やメンタルが備わっていること、後輩達を盾頭に続くように教育していかなければならないこと、イナズマ団ボスを確保できる事を目標にイナズマ団ボスが組織した強敵達を一人ずつでいいから順序に倒していき警察に引き渡して捕まえることといった三つを軸にしてリーダー役を担っています」ヴィジョン教授はもう知られてもいいと覚悟をここで決めた。
「各それぞれの名前はここでは言えませんしプライバシーの侵害になるのでここでは言えませんが、全員で八人います。男女共に八人います。私の開発した盾というものは普通の盾とは違い特殊に造らせていただいています。八人それぞれ色んなタイプというものがあります。水、炎、鋼、雷、岩、草、花、風といった八つに分けて一人一人の性格や技の違いややり方の違いでできています。ただそれで守るだけではありません。そのタイプを使って攻撃することもできます。いわゆるシールド攻撃というものです。このシールド攻撃という技を使ってイナズマ団と戦っているということです。それでその八人の盾頭は今先ほど言ったように三つの義務に従いながら極度の技を鍛え上げて強敵のイナズマ団と今もなお戦っているというわけであります。ここまで長く説明しましたがお分かりいただけましたでしょうか?」ヴィジョン教授が詳しく盾頭の事について長く話しながら説明すると藤岡記者はうんうんと相槌を打って「分かりました。有り難うございます」と言って座り直した。
「はいでは、他に質問したい方は?」進行役の教授がここで記者に聞いた。
するとばっとほとんどの記者が挙手をした。
「はいでは、そこの眼鏡かけた男性の方どうぞ」進行役は右手で指をささずに手をそろえて黒ふとぶち眼鏡をかけた男性記者に当てた。
黒ふとぶち眼鏡をかけた男性記者はすっと立ってヴィジョン教授に質問した。
「NHKテレビ担当の古池と申します。この度、下級幹部最後のイナズマ団を捕まえることに成功できたことにつきまして心より祝福と安堵を申し上げます。そして、この戦いに大変お疲れ様でした。何一つ傷を負わなかったことにつきましても心より安堵していることを申し上げます。…さて本題に入りますが、その盾頭八人と八つのタイプについて、ヴィジョン教授独自が開発した盾について詳しく聞かせていただきましたが盾頭の人数は決まっているのかということについてお聞かせください。また、ヴィジョン教授が開発した盾はどこまでの計算をして開発をしたのか、それでまた襲い掛かってくる強敵のイナズマ団に勝てる保証というものはあるのか、詳しくお聞かせ願います」
いきなりの核心を着かれたような質問が出てきたなと大学側誰もがそう思った。イナズマ団に勝てる保証はあるかという質問に隣の通訳の女性が英語で翻訳しているのを聞きながらヴィジョン教授は少し間を空けた。
心の準備が整うまで銅像のようにじーっと固まっていたが、ようやくマイクをもう一度持ってそのまま座りながら話し始めた。
「…まず人数が限られているのかという質問ですが、限りというものはありません。今は八つのタイプが存在しているというだけであって、そこからまた分岐する場合がありますしそれはどうなるかは私にも分かりません。ただ、私の弟子達の人数もこれ以上増やせないので今は制限をかけているところです」ヴィジョン教授の本音をあまり聞いた事がないため、記者会見で聞けることができるのは真剣になった方がいいとテレビを見ながら準司は思った。
「何故制限をもうけているのですか?」古池記者は直ぐ様聞いた。
「部屋に入れる人数が十分確保できているのと、タイプの人数が確保できているからです。遊び半分で私の研究室に来てもらうわけにもいかないですし、それに盾の製造と確保も考慮しなければならないのが現状です。イナズマ団の上級幹部と戦う時がきたのもあり、これ以上の負傷者を出すわけにもいかない為私の中で計算して私のクラブの人数を確保しているところであります」ヴィジョン教授が説明すると古池記者はまだ聞かなければならない事に忘れないうちにすぐ聞いた。
「一つ目の質問は分かりました。ではもう一つの質問をお聞かせください」
ようやく核心の質問にヴィジョン教授が答える時がきた。テレビを見ている弟子達もテレビに注目した。
「その保証という言葉が出てきたかと思いますが、結論から言えばですが保証というものは最初からありません。保証は自分達でつくっていくものと見ていますので。確かに、皆さんの暮らしの安全を守る活動は私達の仕事でもありますが暮らしの安全は警察側がやるべきものと考えています。我々は、イナズマ団の撲滅を目標に掲げて戦うのが仕事をしているのです。イナズマ団に勝てる保証というその考えはどういう意味でおっしゃっているのかは私どももよくわかりません。勝てる保証というより、勝たなければならない闘いと見て活動していますから、その質問等は私には理解できません。以上です」ヴィジョン教授の英語を隣の通訳係の女性が日本語でそう話し終えるとその古池記者は少し「ん?」とキレそうな表情を見せ、もう一度手を大きく挙げた。
「すみません、もう一度質問させてください。勝てる保証がないということは、これから起こりうるイナズマ団との戦いからもう逃げようとしたいという意味でそんな表現の仕方をしているのでしょうか?上級幹部との戦いが恐ろしくてそんなことを言っているのでしょうか?」直ぐに立って納得できない気持ちで古池がマイクをすぐに持ってヴィジョン教授に質問をぶつけた。
すると、ヴィジョン教授も多少は古池記者に怒りがわいてきたが冷静になって通訳の女性の英語を聞いてゆっくりとマイクを持ち直して話し始めた。
「なぜそのような質問を投げかけてくるのか意味がわかりませんね。だから上級幹部から逃げているのかと今聞きましたが逃げているならここでこのような記者会見を最初から開いていませんよ。上級幹部と戦うことを前提に話しているのですからそのような勝てる保証があるのかという質問を無理やり相手に聞くというその言動に答えられる素質がないという意味で話しています。…もし私が答えたこの話が気に入らないなら、貴方の質問をしている意味に注目してみてください。これからどうなるのかさえ分からないというのに勝てる保証があるのかという質問をするというのはあまりにもおかしいと貴方でも思えませんか?」ヴィジョン教授の納得した返答を古池記者はあまりのプライドが高いからか「もういいです」と質問を降りた。
まるでヴィジョン教授と古池記者とが裁判で争ってヴィジョン教授が勝ったかのような終わり方になった感じで終わった。
「…では、次の質問に移らせていただきます。ヴィジョン先生に質問したい方は挙手をお願いします」
ほとんどの記者の質問をヴィジョン教授は納得のいく回答をしてだんだんとようやく質疑応答の終わりが近づいていった。ヴィジョン教授が記者会見を始めた時間からおよそ四時間は経過した。
殆どのヴィジョン教授の弟子達はだいたい二時間後になってきてからテレビを見るのをやめていくのが多かったが、準司はNHK番組でずっと見ていた。
その為、全くリタイアする気がなかった。
ただそれより、準司はヴィジョン教授が話していたように上級幹部のイナズマ団にどう勝つかを窓の景色を椅子に座って眺めながら考えていた。
…ついに正念場が来たようだ。しっかりと盾頭の言うことを聞いてさらなる技覚えに気になりながら準司は思っていた。




