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情熱大陸

 あれから10年が経過した。

俺はいつの間にか、島田パンティテックスの副社長にまで上り詰めていた。


「副社長、お電話です」


 秘書が俺の部屋に入ってくる。


「ああ、今出る」


 俺は、部屋にしつらえた「簡易弓道場」で弓を射ると、その場を後にした。









 電話の相手は上島元課長だった。

課長はこの10年、「角玲我」で修行を積み、とうとう、自分の店をオープンさせたとのことだ。

俺は帰りにその店に寄ることにした。








 車中で俺は考えていた。

後輩の堀越は会社を辞めてから職を転々とし、いつの間にか連絡しなくなっていた。


「いつか自分のやりたいことを見つける」


 それが堀越の口癖だったが、今はどうなっているのか。

それに対し、課長は10年、焼き鳥に打ち込んだ。

やりたいことが明確だった課長との差は大きい。

そして、ブレない気持ち。

課長は下積みにもめげず、必勝はちまきを巻いて乗り切ったに違いない。

そして、焼き鳥職人になることが出来たんだ。


「中身が空っぽな一流企業の社員より、やる気のある焼き鳥職人の方が人生充実してるよな」


 窓から外を眺め、俺は思い出していた。

かつての同期が課長に、今何してるのか、と聞いた時に返した言葉。

焼き鳥屋だけど、文句あんのか。





終わり

最後まで読んで下さった方、ありがとうございます!

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