続いてく
試合は、そのまま終わった。
勝った。
笛が鳴った瞬間、その場に座り込みそうになったけど、瑠が「あいさつ!」と言うので、なんとか立ってあいさつに並んだ。あいつ、鬼だな。
結局、相手チームも人数は八人だったらしい。
女子サッカーは、どこも苦しい。
誰かが仕事で来られなくなって、誰かが怪我をして、それでもなんとか人数を集めて試合をする。今日の試合は、そんなチーム同士の試合だった。
でも。
ちゃんとサッカーだった。
それが、なんだか嬉しかった。
頭は痛いし、たんこぶは育ってるし、足ももう限界だったけど、変な高揚感が残っていた。
瑠に抱えられてベンチへ戻ると、そこに素顔のドラゴンマスクがいた。
「まったくもう! 医者行くから車乗って!」
そう言いながら、もう私の荷物をまとめていた。
来てたんだ。
「はいはい」
そう返して、車へ向かおうとした時だった。
「おもしろかったー!!」
グラウンドから、瑠の声が響いた。
思わず振り返る。
夕陽の中で、瑠が両手を広げて笑っていた。
ああ。
楽しかったんだ。
あの瑠が。
なんだか、それが嬉しくて、急に泣きそうになった。
「かあちゃん、すげー顔だぞ」
素顔のドラゴンマスクがタオルを投げてくる。
恥ずかしいから、そのまま鼻をかんでやった。
「うわっ、最悪!」
騒ぐ声を聞きながら、私は笑った。いてて。
来週は、水曜の夜に練習がある。
パートのシフト確認しないと。
金曜はちゃんと炭水化物食べよう。
土曜は練習。
日曜は熊谷で試合。
ああ、今日のあの場面、瑠と話したいな。また、怒るんだろうな。でも、瑠はどんなに怒ってても、私を「おばさん」とは呼ばなかった。あのワンタッチは、褒めてくれるかな。
それから――。
気づけば、頭の中は次のサッカーのことばかりだった。
痛いのに。
ボロボロなのに。
それでも、笑ってしまう。
ああ。
私、まだサッカーしたいんだ。
ドラゴンマスクのおかげかな。
ありがとう。
私のサッカーは、まだ明日へつづいていく




