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隣人の味

 カシャ、カシャ


 わたしは今、壊れた罠を修復していた。

 昨日、例の大物に壊されたからだ。


 縦糸と横糸を組み合わせ、一つの模様を描いていく。


 糸と糸をつなげ合わせ、穴を埋めていく。

 気の遠くなるような作業だ。


 カシャ


 わたしは黙々と作業を続けた。

 我ながらいい出来だ。

 わたしの満足できる作品ができた。


 …………




 罠を修復してから数日後、ついに食料が尽きた。

 はやく何か罠にかからないだろうか?

 わたしはただ待っていた。


 するといつもの団体さんがゾロゾロ歩いてきた。


「・・・*」


 わたしの話す言葉とは異なる言語を話すと奴らは別々に行動をし始めた。

 奴らにしては珍しい行動だ。


 どうした?何かあったか?と尋ねようとすると、奴らのうちの1匹がわたしの住処に向かって歩いてきた。


「何かあったのかい?」


 尋ねてみたが返事がない。

 わたしは奴をじっと見つめた。


 ジュルリ


 なんだか自分は腹が減っていることを思い出した。

 そういえば、今日はやけにあいつがうまそうに見える。


 ああ、そうだあいつを食ってしまおう。

 奴を食べてしまいたい。


 わたしの目にはもう奴がご馳走に見えた。

 奴が一歩また一歩とわたしの仕掛けた罠に近づいてきて、ついにその瞬間が訪れた。


 罠に獲物がかかった振動がわたしの下まで響いてくる。


 奴は糸に絡まっていた。


 わたしは奴に堂々と近づいて奴の首筋に針を刺し、麻痺毒を流し込んだ。


「どうだい、わたしからはもう逃げられないんだよ。君はわたしに食べられるんだ。安心しなよ、何日にも分けてじっくり食べてあげるからね」


 奴は抵抗をやめ、おとなしくなった。

 そして、わたしはそんな奴の体を糸でぐるぐる巻きにした。


 奴の胴体に口を当てて、汁を舐めた。

 えもいわれぬ味がした。


「君はこんな味だったんだ!もっとはやく出会っていたらよかったのに。だけど君は、わたしの下に来なければ死なずに済んだよ、、、。かわいそうに、、、かわいそうに」




殺人は犯罪です。

気に入った方はぜひほかの作品も試してみてください。


次回は4日後の投稿

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