出会い Chapter5.
出会い Chapter5.
お開きにする?
と海斗が言ってから2時間。
4人は寝る気配はなく弾む会話を続けていた。
恋愛以外の話もリサと敦の話や日本での話、
3人で旅行した話や趣味などの話で盛り上がった。
「それにしても2人の部屋は可愛いね。
ぬいぐるみとかキャラクターグッズがいっぱいある。この白い斑の犬は・・・」
リサは尋ねると
「これはシロブチ犬。俺の推しキャラなんだ」
卓は好きな物を話すときは目を輝かせながら伝えていた。
「うん。好きな物があるっていいよね!タクの目輝いて見える。
それでこっちの黄色い丸くて長い耳のは・・・」
「これは俺の推し。ソクミミ。子供の頃からずっと好きだった推しキャラ。
でも卓と出会う前は恥ずかしくて隠してたんだよね」
「分かるっ!30歳過ぎたおっさんがこんな部屋で良いのかなって不安になるもんね。でも・・・」
海斗の気持ちに寄り添うように卓は言うと2人は目を合わせて
「ついつい買っちゃうんだよねぇ」
と卓と海斗は向き合いながら同時に声が出た。
「うん。良いと思う。外野の言葉は聞き入れる必要なし!
あと気になってたんだけどこのペンギン・・・」
とリサはペンタ君を指した。
「これは遼がクリスマスの時に遊園地の景品でとってくれたやつ。遼に顔が似てるだろ」
と卓はペンタ君を持ってきてリサに渡した。
「確かにリョウに似てる・・・
これはタクにとって大切なぬいぐるみなんだね」
リサはどこか寂しそうな顔をしながら卓に手渡した。
「今日はリョウの知らない所いっぱい知れて良かった。
“初恋”の小説でリョウの昔の事を知ってたつもりでいたんだけど、
それでも知らない事ばっかりだった。
ねぇタク?そういえば、“初恋”の続編は今後書く予定はあるの?
一読者としては今後の展開が気になるんだけど」
リサの言葉に卓は
「それが今悩んでいるんだ。
“初恋”はさっきも言ったけど、俺が新しい道を歩むために書いた作品だったんだ。
だけど続編を望んでる声も多いんだよね。
ただ実体験をもとに書いたこの作品の続きを書くとなるとさ・・・
色々悩むところはあるよね。」
卓の言葉にリサは真剣な表情で答えた。
「この物語の主人公は貴方じゃない。
それは作られた経緯は自分の気持ちを整理するために創られたものだけど、
この本の中で生まれた登場人物達は生き生きと動いている。
この物語を進めるのも終わらせるのもタク次第なんだよ」
リサの真剣な表情に卓は黙って聞いていた。
そして続けてリサは卓に問いかけた。
「もし、タクが“初恋”の主人公達の物語を続けたいと思うなら、迷うことは無いと私は思う」
リサの問いかけに卓は頷いた。
「俺は“初恋”は自分と照らし合わせてて、続編を作ることに足踏みしてた。
でも・・・この子達に再び命を吹き込みたい。俺・・・続編書きたい」
卓の言葉にリサは頷いた。
「リサって人の心をズケズケと入っていくけど、
そうやって無理やりこじ開けて、
心の奥底に眠る本当の気持ちを引き出してくるんだよな。
俺もよくやられたよ」
と遼は言った。
「本当・・・なんというか・・・“すごい人”・・・だな」
と海斗もリサの様子にあっけにとられた。
この後4人はもうしばらく話をしたところで
今度は本当にお開きにすることにした。
遼の部屋にリサが寝て、
卓の部屋に男達3人が寝ることにした。
真ん中に海斗を挟んで、卓と遼で川の字に寝ている。
床に入ってすぐに海斗の寝息が聞こえてきた。
相変わらず布団に入ってから寝るまでが早いなと思っていた卓。
「なぁ・・・卓・・・起きてるか・・・」
小さな声で囁く遼の声が聞こえた。
「起きてるよ」
と卓は返した。
「高校生の時さ、学校帰りにとある喫茶店に行った時に
マスターが言ってたことを思い出したんだけど」
「うん」
「マスターがさ、2人が例え別々の道を歩むことになり
大人になって結婚することになった時、
式には友人として呼んだりする、そんな仲になるんでしょうねって話したの覚えてる?」
「あぁ・・・覚えてるよ。
俺は遼が好きだったから複雑な気持ちだったけどね」
「ははっ・・・そうか。
俺はあの時そんなにピンと来てなかったけどさ、今なら分かる。
俺はいずれリサと結婚する。その結婚式に卓がいて欲しい」
「もちろん。いるよ」
「・・・卓の結婚式にも俺はいたい」
「・・・同性婚は出来ない。この国じゃ・・・まだ」
「それでも、俺は!」
遼の小声だけど力強い口調に、卓は胸に来るものがあった。
「卓と海斗が2人で幸せになれる未来を望んでる」
遼の言葉に卓は言葉を濁らせた。
静まり返る部屋の中で卓は一言
「・・・ありがとう。そう言ってくれる人がいれるだけで俺は救われる」
と返したのだった。




