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とある喫茶店のマスターの話 Chapter4.

とある喫茶店のマスターの話 Chapter4.


雨は強く激しく吹いておりました。

私は無我夢中で走り続け

その光の先を目指し真っすぐに

走って走り続けました。


ですがその光に触れることはできませんでした。


先輩の嘘つきだ

雨でしか見られない景色なんて

私は見たくない

貴方の明るい太陽が私にとっての希望でした。



私は…

先輩を…


ずっとずっと好きだった。


貴方の淹れるコーヒーが好きだった

貴方の溢れる笑顔が好きだった

貴方のバイクの後ろ姿が好きだった

貴方の言葉の1つ1つに勇気をもらった


貴方にもう一度会いたい


会いたい



雨の中しゃがみこんだ先に見えたのは

道端に咲く紫陽花でした。


懸命に咲くその花を見て

美しいと感じました。



頬に雨がつたっていく




私は雨が嫌いだ

私が大切な物を奪った雨が嫌いだ


その雨に打たれながら懸命に生きる紫陽花の様に

そんな雨の中光を照らせるような太陽の存在を

私は守りたい



「これが私がとある喫茶店を作ったきっかけです」


マスターが自分の過去の話を語り終えると、

続ける様に

「私は先輩のコーヒーの味を…その存在をこの世に残しておきたかった」

マスターの言葉に、

リサは涙ぐみながら

「マスターは先輩の事を愛していたんですね」

と言うと


マスターは微笑んで返した。


「この話をリサさんに話したのは、

貴方にこの意思を継いで欲しいとかそういう気持ちは一切ありません。

ただ、この店で働いているリサさんに知って欲しかった。

この店がなぜ出来たのかを…」

マスターの言葉に

「マスターは優しい人だから…

私にその荷を負わせることをさせる気はないのだろうけど…」


”私はこの店のまるごとを引き継ぎたいと思ってます”

リサのまっすぐな表情に


「困りましたねっ…」

とマスターは少し苦笑いをすると

「マスターの思いをちゃんと継いでいきますよ。

だって私もマスターが愛したコーヒーを愛したその一人ですから」

とリサは続けて答えた。

「・・・でしたら、もう1つ、

このとある喫茶店で大切な話をリサさんに伝えなければなりませんね」


マスターはそう言うと、

再び語り始めたのだった。

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