出会いと別れ
僕には恋人と呼ばれるであろう相手がいた。
今では僕らはもう会うことはないだろうことだけは確かで、僕の心には寂寞の心のみがあった。
僕らの出会いはネットだった。
出会い系でひまつぶしにサクラの相手をしていたら突然「会いましょう」とメッセージが送られてきて、待ち合わせ場所に行くと女性が立っていた。
僕らは出会うとすぐに恋人になり人波に恋人たちがやるであろう行為をした。
彼女はいつも自分の顔を気にしていた。
「私はあなたにふさわしい顔なのかしら」といくどとなく聞かれた。
僕は取り立てて顔にこだわりがあったわけではないので「十分だよ」と答えていた。
僕は家族がおらず、取り立てて彼女との交際を反対する友人もいなかったが、彼女は家族や友人から交際を反対されていたらしい。
彼女から友人や家族についての話を聞いたことはない、僕らの関係に影響があるわけではなかったし、二人とも孤独には慣れていた。
彼女と最後にあったのは近所の公園だった。
「私はもうすぐ死ぬの」
彼女はそう言った。
僕も特別それについて深く聞くことはなかったし、彼女もそれ以上は話さなかった。
その日が彼女にあった最後の日だった。
彼女が本当に死んだのかについては僕の知るところではない。
ただ、その日以来僕は一人に戻ってしまった。
彼女が姿を消して以来僕の心には澱が溜まっている。
ある日彼女の夢を見た。
彼女は「寂しいの?」とだけ聞いた。
僕は「退屈ではあるね」とだけ答えると、彼女は微笑んで姿を消した。
翌朝、僕の心はガーゼで濾したように透いていた。




