表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
  作者: VISIA
4/15

抱きつかれる

ねぇ、ママ。

私、帽子なくしたの…



ごめんなさい

 男の子がこちらを向いた時、悲しそうな表情をしていた。

 目に力は無く、顔色も悪い。

 だが、それらを除けば普通の男の子に見えた。


…赤い鼻水?


 私が何か話そうとすると、男の子は右腕をゆっくりと上げ、私の後ろを指差した。


えっ?


 急に、背後からの気配が強くなる。

 動いたら殺されるような危険な感覚。それが、静かに後ろから近づいてくるのだが、体が動かせない!


…動けない!何で!?


 男の子に助けを求めようとしたが、声が出せない。あ…う…


 男の子は、私の背後を指差したまま目から赤いものを流し、首を横に何回か振るとその場で透けるように消えていった。?


 背後から来ていたソレの息が耳元で聞こえたとき、二本の腕で強く抱きつかれた。

 冷たい体を私に密着させ、更に腕に力を加えてくる。背中の感触から女性だと思ったが、体温が全く感じられなかった。


 私の顔の横に、女性の顔がある。唯一動かせる目をそちらに向けると、女性は口から、虫や泥や赤いものが混じった大量の水を吐き出し、私をびしょ濡れにさせた。

 腐った臭いのする水で息ができず、少し飲んでしまう。うえー


 女性は暫くの間、開けた口から水を吐き続け、私は寒さと恐怖で意識が遠くなり、気を失ってしまった。

 両親から、その後の話を聴くと、池の中へ体を沈めて溺れかかっていたそうだ。


 風邪ひいたし、帽子なくしたし、もう散々。


…イヤなこと思い出したな、まったく。

 隣で、夫は新聞を読んでいる。


…5分程すぎて、お婆さんが料理を運んできた。

 その料理のなかの、あの男の子の赤い鼻水色に似た、トロッとした煮込み料理を見つけたとき、私は食欲が失せ、敷いてもらった布団で横になった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ