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  作者: VISIA
2/15

行ってみる

ホタルよ、ホタル

こちらへおいで


ほら、ここの水は…

 二人は車を降り、民家の所へ行ってみることにした。池の事について、何か聴けるのではないかと、考えたからだ。


 ただ、これが昔話の場合には、大抵よくない事が起こる。


「最悪でも、死ぬことはないわよ。ハハハ」


 こういう時の妻には、救われる思いがする。


…羨ましい性格だな


 五分ほど歩いて、妻が息切れし始めた頃、民家の玄関先に辿り着いた。


 民家は、古い木造の小さい建物だったが、人が住んでいると思わせる、手入れされた庭も含めて普通の家だった事に、少し安心した。


呼び鈴が無いので、戸をドンドン叩く。


「すいません、どなたかいらっしゃいませんか」…1分ほど静かに待つ


 すると、建物の中での物音が段々大きくなり、そして近づいてくると、戸がガタガタ磨り硝子を揺らして開いた。


「すいません、ちょっと聴きたい事があるのですが…」


 小柄な婆さまが、こちらをジッと見て、

「何だい?」


「この近くに有る、池のことについて…」

「特にないね。それよりアンタら、こんな山奥によく来たもんだ。どこから来た?」


「◯◯からです。」

「そんな遠くから…この辺にはウチの家しか無いけど、アンタら今晩どうするね?」


「車の中で寝ます…」

「そうかい。だったら、泊まっていくかい?」


「え、いいんですか?」「…隣の女性の青白い顔見てたら、ほっとけないさ。ひどい顔して、どこにブツけてきたんだい?」

 その夜、妻は出された料理を一口も食べすに、布団に入って寝てしまった。


 大丈夫だろうか…

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