確かめる
夢の世界へ行きたいですか?
同じ夢を、見るようになった。
車で、どこに出かけようとも必ず、同じ池へ到着してしまうのだ。
池には、顔を水面から半分だけ出した青白い女がいて、こちらを見ている。
その女の目は、少しの悲しみと興味、そして多くの殺意を含んでいた。
女は、私を知っているように感じる。
…誰だったかな
暫くして、女の所に冷たい雨が降り始めると、女は恨めしそうにコチラを睨みつけながら、静かに池へ沈んでいった。
その夢を妻に話す。
「あなた昔、池で溺れた話してたじゃない?」
…そうだっけ?
「気になるなら、試しにその池へ行ってみない?」
「夢の話が、現実にあるかな…ただの夢話だよ」「でも、これ以上その女に好きにされるのは嫌」
「……」
その時の妻の顔が、あの女の顔に見えていた。 まるで両方の女性から嫉妬されているような気がした。
次の日、私は会社を休み、妻と共にその場所へ行ってみることにした。
夢の中で、何度も通わされた道だ。おそらく、間違うことはない。
…車を走らせて、三時間が過ぎた頃だった。
「あなたの話だと、この辺から曲がるはずよね」
「そうだね。ええと…」
「あの石碑じゃない?」
「ああ、あれだ」
右折して、細い山道を走っていく。
車の振動がひどく、ハンドルを必死に掴む。妻は頭をぶつけて痛がっていた。
道は更に酷くなっていき、車が暴れ始めた。車内で、ゴミ箱やら弁当などが激しく舞う。
それらがシートや服を汚す光景は、洗濯機の中の、無抵抗な洗濯物のようだった。
車が跳ね、中の私達が座席から跳ね、空き缶やゴミが暴れる。
「あなた!」
「喋るな!舌噛むぞ」
「そうじゃなくて、ストップ!ストップ!」
「えっ?」
慌ててブレーキを踏んだ。また、妻が頭をぶつけていた。
「どうしたんだ?」
「あれ、あれじゃない。あなたが言っていた池」
車の窓を開け、妻が指差す方向に池が見えた。
その池が、夢に出てきた所なのかは、ここからは分からなかった。
辺りも薄暗くなってきて、今そこへ行くのは、さすがに気が引ける。
車で一晩過ごすことを二人で決めた時、近くに民家の明かりが見えた。




