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反省会?

 会議後、全員が僕の部屋に集まると汐音君が困った顔で訊ねてきた。

「会長、どうしましょう?」

「何がだい?」

「その、反省会……しますか?」

 汐音君は恒例になりつつある反省会をやるべきか迷っているようだ。

「今回はみんなすでに反省と言うか、思うところもあっただろうし、それぞれしっかり考えていると思う。その時間も不本意ながらあったからね。だからその後アギトとのことや何か言いたいことや聞きたいことを話し合うとかでいいんじゃないかな? 自分を見つめなおして今後の課題を決めていくのもいいい。ほぼ反省会みたいだけどね」

「そうですね。ではやりましょう。というわけで、反省会をします!」

 汐音君は気を取り直して反省会を開催した。

「(やっぱり、やるんだ……)」

 冬華ちゃんのぼやきが聞こえたような。

「何か言いたい人はいますか?」

 いつものように汐音君が進行していく。

 最初に声を上げたのは結衣君だった。

「あの、ごめんなさい。あたし、あの時何もできなくて」

 あの時というのはアギトと戦っていたときだろう。

「いえ、そんなことはありません。結衣さんは石碑を守っていてくれたじゃないですか」

 汐音君が結衣君を励ましている。確かに結衣君は石碑を守ってたな。なんかよくわからない半透明の壁のようなもので。

「そうだ、結衣は気にしなくていい」

 総司も結衣君をフォローする。

「戦闘では私も役に立ちませんでしたし」

 汐音君は肩を落として言う。

「それを言うなら僕も同じだろう。有効打を与えられたのは冬華ちゃんだけだったし」

 僕はため息交じりに言う。

「ま、まあね。アハハ~」

 冬華ちゃんは乾いた笑いをする。

「冬華ちゃん、あの水の刃どうやって出したんだい? 僕の真聖剣とは少し違うようだったけど」

 僕は冬華ちゃんに訊ねた。僕がこれから覚えないといけない技のヒントになるかもしれない。

「え? えっと~アハハ、ごめん覚えてない。もう一回やれって言われてもやれる自信ないよ」

 冬華ちゃんは申し訳ないように伏し目がちに言う。

「なんだよ、自分の技も自力で出せねぇのかよ」

 またしてもなぜかここにいるカルマがちゃちゃを入れる。

「うっさいわね! あんたなんか特攻して死にかけてだけじゃない! ばーか、ばーか!」

 冬華ちゃんは子供の喧嘩のように言い返す。

「誰がばかだ! ばーか!」

 子供がもう一人。うん、おバカ二人は置いておこう。

 僕は総司に聞いてみた。

「総司の炎の剣はどうやって?」

 総司は困ったような表情をする。

「ごめん、オレもわからない。アギトに言われて試さなかったら今もできてないかもしれない」

「アギトに?」

「ああ、アギトは何かを知っているようだったな。たぶん俺が忘れてる記憶にヒントがあると思うんだけど……」

「そうか。記憶待ちかぁ」

 ん~困ったヒントが一つも出てこなかった。

 あ、そういえば……

「結衣君、キミの防御障壁みたいなのは?」

 僕は結衣君に訊ねたが、結衣君も同じく困った顔をする。

「ごめんなさい。あたしも、アギトに……」

「またアギトか……」

「アギトはなぜ敵に塩を送るような真似をするんでしょうか? 敵のはずなのに何か理由があるのですかね?」

 話を聞いていた汐音君が独り言のように呟くと、鋭い怒声が上がった。

「敵に決まってます! アキさんを殺したんですよ! 敵の考えてることなんて知る必要ありません! 倒すだけです!」

 さっきまで静かにしていたサラさんが鬼の形相で言い放った。あの優しかったサラさんがこの変わりよう。ちょっと怖いぞ。隣に座ってるカレンちゃんも目を見開いて驚いてるし。

 それだけアキの事が好きだったんだな。

 うん、アギトは敵。その認識で話さないとサラさんの精神状態があぶなそうだ。

「そ、そうですね」

 驚いて口をパクパクさせている汐音君の代わりに、僕は若干ビクビクしながら返事をした。

 コホン! では気を取り直して、3人ともアギトが絡んでるのか。偶然……のはずないよな。共通点がわかれば……

「なあ、力を使ったときの3人に共通することってなんだ?」

 僕は3人に訊ねた。

「俺はアギトに力が見たいって言われて。魔物と戦ってる時に魔物に刺されそうになってその時に」

「あたしはアギトに攻撃されたとき」

「攻撃?」

「ほらやっぱり! 敵じゃないですか!」

「そ、そうですね」

 結衣君の言葉にサラさんが鬼の首でも取ったかのように言う。ちょっとこれは……相談した方がいいか? とりあえず今はサラさんのことは保留にしておこう。

 冬華ちゃんは……まだやってるのか。カルマと睨み合っている。近いなぁ……背中を押したい衝動に駆られてしまう。あとが酷そうだからしないけど。

「冬華ちゃん聞いてた?」

「なに! 聞いてなかったけど?」

 冬華ちゃんは開き直って言う。というか睨み合いでそれどころではないようだ。

 まあいいか、状況は目の前で見てたし。カルマが殺されそうになっていた、だ。

 で共通点は……命の危機、かな?

 ん? それだと僕も力を使えそうなものだけど、少し違うのか?

「ん~わからない。情報が少なすぎる。師匠に詳しく聞いておけばよかったかなぁ」

 と一人ごちていると総司が訊ねてきた。

「なあ、光輝。あの石碑ってなんなんだ? みんなが守ってるから大事なものなのはわかるんだけど」

「あれ? 話さなかった?」

 僕は石碑の封印について説明していった。

 僕の知らない部分はサラさんが補足説明をしてくれた。

「あるモノか……漠然としていてよくわからないな」

 総司は腕を組んで悩んでいる。

「今マーサさんたちが調べてくれているからそのうちわかるだろう。僕たちは封印を守る側だから、封印の中身を見ることはあってはならないんだけどな」

 僕の言葉が聞こえていないように総司は困った顔をする。

「その石碑ってモルデニアにもあるのか?」

「ああ、四つの城で封印を守ってるんだけど、レイクブルグの石碑はすでに破壊され封印の一つは破られてる」

 僕の言葉を聞きまた困った顔をし、結衣君とカレンちゃんと顔を見合わせている。

「あ~モルデニアの石碑も破壊されてたんだが……」

 総司がボソリと言う。

 やっぱりか、だいぶ前に滅んだって話だからそうだろうとは思っていたけど、そうなると後二つだけか……

「光輝?」

 僕が黙り込んでるのを総司が窺うように声を掛けてきた。

「ああ、ごめん。予想はしてたから、後の二つの封印を守ろう」

「ああ」

 あれ? なし崩し的に総司たちを巻き込んでるけどいいのか? よくないだろ!

「総司、結衣君、それからカレンちゃん、僕たちは封印を守るために戦うことになる。汐音君と冬華ちゃんは強力してくれると言ってくれているが、キミたちに無理強いするつもりはない。ただキミたちの力を借りたいと言うのが本音だけれど。だから、ちょっと考えてみてくれないか? カレンちゃんは村へ帰るのなら送り届けよう」

「そうですね、無理やりでは力を発揮できませんし。命に係わりますからしっかりと考えてください」

 汐音君も同じように言ってくれた。

「オレには聞かねぇのかよ?」

 冬華ちゃんとの睨み合いが終わったのかカルマが不機嫌そうに訊ねてきた。

「ん? カルマは城の兵士だから戦闘には参加するだろ? それに勝手にこちらに引き込むわけにもいかないだろ?」

 ていうかここにいていいのか? 仕事は? 怒られるのはカルマだからいいんだけど。

「まあ、そうだな……」

「というわけだから、考えておいてくれ。戦わなくても城で保護してくれるから心配ない。それから……元の世界に還る方法は今のところわかっていない。マリアさんたちが調べてくれているが……」

「そうか……わかった考えてみる」

「「 うん 」」

 3人は返事をすると総司と結衣君は二人で話はじめ、カレンちゃんはバルコニーへ出て空を見上げている。一人か……

 汐音君がカレンちゃんの後を追い隣へと立つ。相談に乗ってあげるのだろう。なんだかんだで姉妹弟子だから仲がいい。汐音くんに任せておけば大丈夫だな。

 汐音君はカレンちゃんと、総司は結衣君と相談中、冬華ちゃんはカルマとイチャイチャじゃなく口論中?

 取り残された僕は、同じく一人考え事をしているサラさんに話しかけた。

「サラさん?」

「……はい?」

 サラさんはいつもと変わりない風に返事を返す。

「えっと、大丈夫ですか?」

「何がですか?」

「アキのことですが……」

「ええ、もう十分悲しみましたから……後は(かたき)を討つだけです。そうしないとわたしは……」

 そういうサラさんの瞳には暗い感情が見える。

「気持ちはわかりますが、憎しみに染まるようなことにはならないでください。アキが見たら悲しみます」

「そんなこと! ……光輝さんに言われなくてもわかってます。すみません、わたしはこれで失礼します」

 サラさんは部屋を出て行ってしまった。

 どうも僕はこういうのが苦手だ。うまい言葉が出てこない。


「お前に何がわかんだよ!」


 あの時のアキの表情が脳裏に蘇る。悔しさ、怒り、悲しみの入り混じったような表情が……

 サラさんの声に何事かと視線がこちらに集まる。

 僕は何でもないと言い、時間もいい頃合いだからこれでお開きにしようとみんな告げた。


 夕食後、総司と結衣君が来て一緒に戦ってくれると言ってくれた。

 僕は礼をいい、マリアさんに二人の魔法の修行を頼んだ。

 その後に汐音君とカレンちゃんがきて、しばらく一緒にいると告げられた。戦うことはできないけど怪我人の治療ぐらいはできるからと。

 礼を言って別れると、汐音君が戻って来て声を掛けてきた。

「会長、アギトの事なんですが……」

 汐音君はこう前置きをして、カレンちゃんとしていた話をしてくれた。

 こんな話をしたそうだ。

 汐音は空を見上げるカレンに声を掛けた。

「カレンちゃん、村に戻ってもいいんですよ?」

「あ、汐音さん……うん、そうなんだけど……」

 カレンは視線を空に戻すと続けて言葉を紡ぐ。

「わからなくなっちゃって……」

「わからなく?」

「うん……アギトの事。わたしまた騙されたんだと思って許せなかったんだけど、今日の戦いやマーサ様の話を聞いてわからなくなっちゃった」

「そうですね。アギトのしていることは矛盾が多い気がします」

「うん。わたし、結衣さんを助けたときに聞いたんだ。なんで嘘つくの? 本当の事言ってって。そしたら話してくれたんだ。アギトは助けたアキの最後の願いを聞き届けるために二人を助けたんだって。アギトはただ自分の役目を果たすだけだって。信じてもらえなくてもいい、お前は自分の信じられると思ったものだけ信じろって」

「役目ですか……」

「今となっては嘘なのかもしれない、でも……」

「本当かもしれないと?」

「わかんない。かあさんはアギトの事を信じてた。だから余計にわからなくて。汐音さん、わたしどうしたらいいんだろ……」

 カレンは今にも泣き出しそうな表情をしていた。

 この子は信じたいんだろう。アギトが話してくれた話が本当であってほしいと。

「カレンちゃん、それは自分で決めないと。カレンちゃんが信じるものなんだから。わからないんなら確かめればいい。きっとアギトはまたここに来るはず、だから」

「うん。そうだね、ありがとう汐音さん」

「役目か……」

 僕は顎に手をやり呟いた。

「ええ、なんのことでしょうか?」

「アキの願いがそれだとすると『二人を助けること』なんだろうが……」

「でもそれだと二人を、私たちを裏切る理由がわかりません」

「ああ……それに、『信じてもらえなくてもいい』か。アギトは自分の信念にそって行動しているのかもしれない。たとえ僕たちと敵対しようと……」

「なぜです? そんな孤立してまですることなんですか?」

「わからないが、それがアギトの言う役目なのかもしれない」

「そんな……」

「ただ、そのすべてが嘘、という可能性もある。今は可能性の一つとして頭の片隅に置いておこう」

「はい」


 その後その役目の内容を最悪の形で知ることとなる。


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