6/6
それから空は、こんなに明るいの
いつの間に空とは、こんなに明るくなっていたんだったか。
ろくに星も見えない空を見上げて、そう思った。
60年とは、人にとってはずいぶん長い時間なんだろう。
最後にみた日付と、今の日付を確認したらそれくらいはたっていると思う。
テレビは随分と薄くなっているし、電話も随分小さくなっている。
人の服装というのも、だいぶ変わっている。
それが、久しぶりに外に出た感想。
「ほら、願いはかなっただろう。」
羨ましいよ。
そう呟いて、砂になった八重を見つめた。
妖怪というのは、怪我をし、血を流し、その体を切り落としてもその形を残す。
けれど死んだその後は、砂になる。死体というものは、どこにも残らない。
『 愛しているわ 』
そう最期に言った。
わたしが、とうとう彼を愛することはなかったけれど。
その覆しようもない事実に、彼は酷く悲しい顔をしていたけれど。
それでも彼は、幸せだろ。
最後の最期、愛する人のそばにいられたのだから。




