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三話、止まらない襲撃

〔グランデウス王国〕


アッシュは焦っていた次々と襲い来る魔物達に。


せっかく国を手に入れたと言うのに度重なる魔物の襲撃。


しかも原因が分からないのだ。


「何故だ!何故急激に魔物の襲撃がこんなに増えた!?」


アッシュは苛立つ。


「わ、分かりません…」


「…あの落ちこぼれの呪いだとでも言うのか?」


アッシュはアーリアが既に亡くなっていると思っている。


十二歳の少女が広い荒野を渡り切れるわけがないと思っているからだ。


「とにかくだ!私の国を守れ!絶対にだ!」


「はっ!」


兵達はアッシュの命を受けて敬礼し出撃して行く。


「魔物共め…絶対に根絶やしにしてくれる…」




一方。


一人の少女が看守がいない隙を狙ってアレンの元にやって来ていた。


第二王女ネーリアである。


「お父様」


「ネーリアか」


「はい、聞きたいことがありますわ」


「良い、なんでも聞くと良い」


アレンは娘の質問を快く引き受けると言った。


「この異常な魔物の襲撃、やはりあの子が追放されたからですの?」


「そうだ、あの子に刻まれていた魔の証は我が国にとっては忌むべき紋章ではない…何故ならあの証はあの子が魔王となる者である事を示す証、魔物は魔王を恐れるからな、あの子がいるだけで覚醒前でも魔物避けとなっていたのだ」


父の話を聞きネーリアは呟いた。


お兄様…なんと愚かな…と。


「ネーリア、お前は優しい子だ、アッシュにアーリアを戻すように進言しようとしているのだろうがやめておけ、魔物の襲撃に間違いなく苛ついているアッシュに今そんなことを言えばお前も追放される、今は時を待つのだ、そうすればいつかあの子自身が我が国に戻って来るはずだ」


今は耐える時。


アッシュはネーリアにそう伝えた。


「分かりましたわ、お兄様への進言は致しません、しかし私からアーリアに会いに行くのは構いませんわよね?」


「うむ、しかしバレんようにな、アーリアと会っていると分かっただけで追放されるやもしれぬ」


「分かりましたわ、時を見てあの子に会いに国を出ます」


「頼んだぞ」


「はい、お父様、この話、お兄様やお姉様にも話しますわ」


「うむ」


ネーリアは父に一礼すると去って行った。




〔冒険者ギルド〕


初めて外の宿屋で泊まると言う経験をしたアーリアは健やかな朝を迎えていた。


「無能とか落ちこぼれとか言ってくるお兄様がいない生活ってこんなに快適なんだね!」


んー!快適!と少女は背伸びをした。


『国を出て良かったな、アーリアよ』


「うん!」


アッシュはもし生き残ったとしてもアーリアには苦しみが待っていると思っていたが。


この少女寧ろ快適に過ごしている。


頭の中にいるご先祖と自身の覚醒した力のおかげで。


「でもね?ご先祖様、お兄様って単純に言って馬鹿なんだけど、そんなお兄様があんな急に私を追い出そうとするかな?って、何か糸を引いてる人がいるんじゃないかな?」


『糸を引いている者か…我が討たれた時もきな臭い噂が流れていた、戦争など起こらぬように我はアホどもを潰して回っていたが、それが気に食わぬ奴等がな、どう言う者達か分かるか?』


「分かんない」


『戦争をビジネスと捉えている者達だよ、そう言う者達にとって我は邪魔な存在だからあの時、我だけに効果を限定した魔封じの陣まで形成して我を討ったのだろう』


ゼーリアが討たれた時彼女だけに効果を限定した魔封じの陣が掲載されていた。


いくらゼーリアでも魔法が使えない状態では無数の敵を相手にするのは厳しい。


そのためかなり善戦はしたが最終的には討たれてしまった。


「卑怯だね」


『うむ、しかし厄介だ、お前の兄を唆したのだとしたらこの時代にも奴等は存在してるのやもしれんからな』


まだこの時代にゼーリアを討った者達の後継者達が生きているのかは分からないしかし生きているのだとしたら非常に厄介だ。


アーリアは自分の命を狙われるかもしれないため警戒しなくてはと思う。



〔???〕


「例の王子が国を手に入れたんだってね?」


「あぁしかし突然魔物の襲撃が増えたようで支援を求めて来ている」


黒服を着た者達が会話をしている。


「魔物の襲撃…どうしてだい?」


「フン、その答えはわかりきっている、王子が報告して来たよ、第三王女アーリアの腕に魔の証があったとな」


「!、なるほど…そのアーリアが本物の魔王となる者で魔物達はその子を恐れて近付かないようにしていたわけだ、でもアーリアがいなくなったから一斉にグランデウスに向かってきているんだね」


「あぁあの国は非常に豊かな土地を持つからな、魔物達は豊かな地に集まる傾向がある」


男は舌打ちをした。


過去に先代達が討った魔王の後継者が産まれていたと言う事実に対して。


「まっそのアーリアが生き残っている可能性は低い荒野に捨てさせたからな」


「あーあ、かわいそうに美しい姫が今頃は魔物の餌か」


「フン」


男はアーリアが魔王の後継者が死んでいるかもしれないと想像し鼻で笑う。


しかし彼等には誤算がある何故ならアーリアは生きているからだ。


彼等がそれに気付くのはまだ先の話である。

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