一話、お久しぶりですね?お兄様?
〔サキュメアーレ王城〕
アーリアがルーレリアの元に再び呼び出された。
アーリア自身はルミナと一緒にギルドに行って魔物を倒して経験値を稼いで来た帰りだ。
「アッシュに喧嘩を売る覚悟はあるのね?アーリア」
「ある、と言うかあいつから来るのに隠れてるようじゃ将来的に勝てるわけないでしょ」
だからこそアーリアは隠れるつもりはないのだ。
将来的に勝つために。
「分かったわ、後で私が呼ぶから部屋に入って来なさい」
「分かった、待ってるよ」
アーリアは覚悟を決めた表情で部屋から出て行った。
「さて、私達もあの子の軍門に入った者として覚悟を決めましょうか」
アーリアの軍門に入っていると今日ダークローズに対しても示すようなものだ。
その時点で覚悟を決める必要があるグランデウスは国として即何かしてくるわけではないだろうがダークローズは即仕掛けて来る可能性があるのだ。
「元より我々はアーリア様と共に戦う所存」
「あのお方がいるなら何も怖くはありません」
サキュバス兵達は将来的に魔王となるアーリアがいるのだから何も怖くはないと言った。
「そうね、あの子がいるなら何も怖くはない、さて始めましょうか」
アッシュの馬車が到着したとの報告があった。
ルーレリアは彼を迎えに行くため下に降りる。
「…」
アーリアは荒野で自分を蹴り飛ばして捨てた兄が馬車から降りる様子を窓辺から見ている。
「今回は殺しはダメよ?分かってる?」
ルーレリアから許可が出ているのはあくまでも喧嘩を売る事だ。
攻撃して良いとは言われていない。
そのためルミナは親友に抑えろと言う。
「分かってる」
(本当かしら…)
横顔から感情は読み取れないがメラメラと燃え上がるモノがルミナには見えている。
だからこそだ親友として抑えなくてはとブチギレて襲いかかったりしたら自分が止めようと思う。
「アーリア様、会談が始まりました、部屋の前で待機を」
「ええ」
アーリアは兵に呼ばれると部屋から出る。
「…」
その動きと同時に黒炎が揺らめくのが見えたのでルミナはマズイなと思う。
「今回は会談を受けてくれて感謝している」
「ええ、相当に大変なようね?毎日毎日魔物の襲撃があるとか?」
「あぁ…流石に我が軍だけでは対処し切れていなくてな…だからこそ支援を求めに来た」
支援を求めるアッシュ。
ルーレリアはそんな彼を冷たく見据える。
「その件だけど我々は手を貸さないわ」
ルーレリアは単刀直入に手は貸さないと言う。
「な、何故だ!?」
アッシュは手を貸してくれない事に驚き声を上げる。
「我々魔族の王がそれを望んでいないからよ、さぁお入りくださいませ、我等が王よ」
ルーレリアの声に従いサキュバス兵がドアを開ける。
そこから入って来たのは金髪の少女。
アッシュは現れた少女を見て驚愕した。
「なっ…まさか…」
「ええそのまさかですよ、お兄様、お久しぶりですね?」
アーリアはアッシュの元まで来ると椅子に座る彼を見下ろす。
「生きていたのか…」
「ええ、お兄様があの日捨ててくれたおかげで私は魔族として覚醒することが出来ました、その点は感謝しています」
アーリアは冷たい声で言いながらアッシュを冷たく見据え続ける。
「…お前がこの者達魔族の王だと?何故だ?」
「あはっそんな事も分からないのですか?お兄様、グランデウス家の歴史すら知らないのですか?それで良くグランデウスの王をやっていますね?」
呆れたように言う。
「知らん、興味がないからな、俺が知っているのはお前のように魔の証が現れた場合殺さなくてはならないと言う事だけだ」
「そんな知識で私を追い出したんですか?」
「あぁそうだ、俺が王になるためにお前を利用した、それの何が悪い、お前のような落ちこぼれなど利用されて然るべきだろう」
「…私が本当に落ちこぼれなのか見せてあげましょうか?」
アーリアはそう言うと魔力を放った。
激しい怒りによって普段以上に膨れ上がっている魔力は城を揺らす。
「なっ…?魔力だと…?お前は使えなかったはず…」
「言ったでしょう?私は魔族として覚醒したと、それと同時に私は魔力を得た、ふふっあなたをぶん殴るためにです」
「覚醒したとしてもお前程度が俺を殴れるわけがないだろう、落ちこぼれが」
「…」
アーリアは自分がアッシュを殴れるわけがないと言う言葉に我を忘れそうになったが堪えまた兄を冷たく見据える。
「さてお兄様、私からあなたに伝える事があります」
「なんだ?」
「彼等彼女達魔族の王として宣言します、グランデウスに手を貸す事はない、今すぐにこの国から去れ」
「俺の妹ならば兄の国を助けるのが当然だろう!」
手を貸さないと言ったが妹ならば助けろと言って来た。
「私を捨てておいて何を言ってるの?貸すわけないでしょ、あんまり私を怒らせないでよね?」
アーリアは明らかに怒っている様子で喋る。
ルーレリアもルミナも戦々恐々だ。
「ならこうしようではないか、我が騎士クリフォードがお前を倒したらサキュメアはグランデウスに手を貸す、お前が勝ったら手を引いてやろう、それでどうだ?お前のような落ちこぼれがクリフォードに勝てるわけがないのだがな?」
「良いよ、それで」
アーリアはアッシュが示したクリフォードとの試合を受けると言った。
「決まりだな、クリフォード、この試合、あの落ちこぼれを殺してしまっても構わんぞ」
「承知いたしました」
「それじゃ中庭に来て、そこで試合をする」
アーリアはついて来るように言うと歩き始めた。
「ちょっとリア、落ち着いてる?」
ルミナは明らかに怒っているアーリアに落ち着いているのか聞く。
「ごめん、物凄くブチギレてる」
「あーもう…」
これはアッシュが帰るまで落ち着く事はないだろうと思ったルミナはアーリアの側から離れないようにしようそう思うのであった。




