六章、雷神の遺跡プロローグ
〔サキュメアーレ王城〕
ルミナはメルティとフィリーを呼んで話していた。
「ルミ様のご先祖様が雷神だったのですね」
「ええ、その力があればリアと同等に戦えるようになるかもしれないわ」
アーリアを止めるためにもまずは同等に戦えるようにならなければどうにもならない。
そのため雷神の力がルミナにあるのならば覚醒させる必要があるのだ。
「だから、これから雷神の遺跡を回ってみようと思ってるの、二人とも力を貸してくれるかしら」
「もちろんだ」
「リア様を取り戻すために必要ならば協力させて頂きます」
二人ともアーリアに元に戻って欲しいと思っている。
だからこそそのために必要な力を得る事は望むところなのだ。
「それじゃ早速行きましょう!」
「ああ!」
雷神の遺跡の場所はサキュメアーレ王城の書物庫にあった書物に全て記されていた。
場所が分かっているのならば回るのは苦ではない。
ルミナ達は転移し一つ目の遺跡に向かう。
〔ダークローズのアジト〕
自室で端末を弄っていたアーリアはアナスタシアに呼ばれたため彼女の元にやって来た。
「何かご用ですか?ご主人様」
アーリアはアナスタシアの事をご主人様と呼ぶ事にした何故なら自分にこの身体をくれた存在であるからだ。
「ええ、ルミナ達が雷神の遺跡を回る事にしたみたいだわ」
サキュメアーレ王城にはアーリアが魔力を消して忍び込んだ際に作った魔人メイドがいる。
その魔人メイドがアナスタシアにルミナ達の動きを報告したのである。
「雷神の移籍なんて巡って何になるんですか?」
「んー、確かあの子は吸血鬼の王族の娘だったわね?」
「ええ、確か」
「なら祖先に雷神がいた筈だわ」
アナスタシアは遥か昔から生きている。
だからこそルミナの祖先が雷神である事を知っているのだ。
「つまりルミナは雷神になろうとしていると?あはっ、もし慣れたとしても私とご主人様に勝てるとは思えませんが」
アーリアは雷神に覚醒しようとしているルミナを嘲笑う。
「しかし彼女達が少しでも強くなるのは私としては面白くないわ、アーリア?邪魔をしなさい」
「はぁい、分かりました」
アーリアは楽しげな顔でアナスタシアの言葉に頷くと転移しようとするがその前にアナスタシアに抱き寄せられた。
「あら?キスもなしに行くのかしら?」
「ああん…申し訳ございません…」
アナスタシアの顔を頬を赤く染めて見上げるアーリアは目を閉じた。
アナスタシアは目を閉じる少女の頬に手を添えると唇を奪い舌を絡めた。
〔一つ目の雷神の遺跡〕
雷神の遺跡は全部で七つある。
恐らくその七つのうちの一つに正解があるのだろう。
「んー、歴史とかを書いてあるだけね…」
「ここはハズレと言う事ですね」
ハズレだと落ち込んでいると転移音がした。
アナスタシアとのキスを終えてから転移して来たアーリアが現れたのだ。
「ふふっ、無駄な事をしているみたいだね?」
現れたアーリアはルミナ達がしている事は無駄だと言う。
「無駄じゃない、本当に私が雷神に慣れたらあなたと戦えるようになるかもしれないもの」
「お前みたいな雑魚がそんな力を手に入れた所で私と戦えるようなるわけがないでしょ?」
「やってみないと分からない!」
「フン、好きにすれば?ご主人様に命令されたから邪魔してあげるけどね」
(それに…そんな力がこいつにあるとすれば…)
アーリアはギリっと唇を噛み締める。
最初はゼーリアに魔力を与えてもらってようやく覚醒が出来その次はアナスタシアに改造されてこの強力すぎる力を得たアーリア。
与えられないと強くなれないアーリアからすれば自分の中にある力を自分の手で覚醒させようとしているルミナは非常に嫉妬してしまう存在だ。
「本当に…どうして…」
俯くアーリアの身体からは邪悪な魔力が溢れ出して来ている。
「どうしたの…?リア?」
ルミナはそんなアーリアに近付き手を取ろうとしたが弾かれた。
「触るな!私の気持ちなんて何にも分かってないくせに!」
アーリアはルミナを睨みながら叫んだ。
「…言ってくれないと何も分からないわ」
アーリアはその言葉を聞いて舌打ちをするとルミナから背を向けた。
「絶対に雷神になんて覚醒させるもんか、邪魔してやる」
冷たく言ったアーリアは転移して去って行った。
「本当に難儀だな…」
「ええ…」
アーリアのあの状態から救うのは本当に骨が折れるだろうそう思いながらルミナ達も一度サキュメアーレに帰還する。




