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介入4

「M1エイブラムス戦車にAH-1コブラ戦闘ヘリコプター…おまけに河川特殊作戦舟艇やOV-10まで輸送しているのか…次々と兵器を満載したトラックが入ってくるな」


「異世界はこの世界と違ってあの突き刺さっているドラゴンのような危険生物が多く点在している場所よ、先遣隊の武装にしてはあれでもまだまだ足りないぐらいだわ」


「あれでか?既に戦車は10輌以上は輸送されているじゃないのか?」


大型トラックが車列を連ねて大穴に一台ずつクレーンで降ろされていく。

アメリカ陸軍が誇るM1エイブラムス戦車。

ベトナム戦争時に開発されて以来、長年に渡って西側諸国で使われているAH-1コブラ、その中でも近代化改修を施されたW型とそれをさらに発展されたZ型が輸送されている。


さらに、異世界との接続先に運河があるのが確認されたこともあってか、海軍特殊部隊が運用している河川特殊作戦舟艇もトラックに括り付けられて降ろされていく。

まさに侵攻は今着実に進んでいる状況である。

特に、情報収集のために大活躍しているのはOV-10であった。


「OV-10は短距離離着陸が可能な上にプロペラ機だから未舗装な場所でも運用ができる機体よ。だから退役した機体を動かせるように整備した状態にして再復帰させたのよ。観測機モデルは既にあの大穴が出来てから3日後に現地で情報収集を行っているわ」


観測機モデルは空軍機を、武装などを取り付けた軽攻撃機モデルは海軍並びに海兵隊が使用していた退役機を整備して再復帰させた機体を使用している。

古くはベトナム戦争から使われている機体だが、機材などを最新鋭のものに交換することで未開発の場所でも運用が可能な機体は現代においては使う機会が限られている。

だが、異世界は殆どが未開発の場所であり、コンクリートなどで舗装された道路など存在しない場所なのだ。


予定として陸軍は射撃訓練用の的として保管されていたM113装甲兵員輸送車、M60パットン戦車、初期型のUH-1ヒューイ輸送ヘリなどが防水加工などを施されたモスボール状態で砂漠で保管されていたものを段階的に復帰させることにしている。

無論、これらの復帰兵器には最新鋭の試作品などが搭載される予定だ。


空軍や海軍も小型機や小型艇などを再復帰させることに躍起になっているが、残念ながら海軍に関しては異世界へ輸送できるのは哨戒艇が関の山だろう。

海軍の幹部は第二次世界大戦時に活躍した戦艦アイオワやニュージャージーなどを再就役させようとしたが、異世界との接続部がどうあがいても戦艦を輸送できるほど広くないという理由で断念したのだ。


また空軍に関してもB-52爆撃機やC-130輸送機を持っていこうとしているが、まだ異世界においてロサンゼルスを襲ったレッドドラゴンのような重大な地上の脅威は確認されておらず、滑走路が舗装したとしても運用できるのはローコストでアナログに強い旧世代戦闘機や攻撃機が対象となる。


そのため、砂漠で眠っていた可変翼攻撃機F-111アードバークやF-5Eタイガー戦闘機などを引っ張り出してきているようだ。

海軍も何かと負けじとなんと映画で一躍有名になるも、コスト費の増額で止む無く退役させたF-14戦闘機の再就役をこぎつけているという。


特に、最新鋭のF-35ステルス戦闘機などの最新鋭機は人工衛星などデータリンクが必須な上に、コストが高いので撃墜されたりしてしまえば異世界に米軍の最高機密情報の一つであるステルス技術を盗まれることも最悪考えられる。


なので、ハイコストな兵器の類は異世界では導入せず、むしろ引退間際であったり砂漠で眠っていたローコストで信頼性のある兵器を改修して再復帰すると同時に異世界の開拓に投入することが決定されたのだ。


「西部開拓ならぬ異世界開拓事業か…これに関してはいつ頃発表するんだ?」


「異世界の召喚地から半径20キロ圏内の安全が確保されたら発表するらしいわ、特にトーマス大統領は自分を支援してくれている国内の保守系財界人などに融資を募っているようね。西部開拓とは比べ物にならないほどの国家プロジェクトになるからライフル銃を製造している会社だけでなく自動車や石油、鉱石、住宅、建設、医薬品会社まで…国内のありとあらゆる会社がこの事業に乗る気よ」


「すげぇな…通りで一度暴落した株価も復帰しているってわけか」


「回復だけじゃなくて更に業績は伸びるわ、異世界への開拓なんて早々お目にかかれるものじゃないわ、世界中から開拓民が集まるはずよ」


軍需だけでなく、製造業や建設業、それに石油・鉱石採掘業などの株価が大幅に回復しているのは、まさにアメリカを再び偉大な国家にするとマニフェストに公約したトーマス大統領が有言実行するための布石にすぎないのだ。

14万人以上のアメリカ人がドラゴンに焼き殺されても、彼らの被害を上回る利益を出してそれを還元すれば彼の業績は評価されるだろう。


アメリカ大手自動車メーカー各社は、オフロード車など異世界での過酷な条件下でも運用できる車を既に大量生産して各政府機関などに売り込んでおり、異世界開拓景気とも言うべき好景気がやってくるのも時間の問題だろう。

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