介入準備1
この小説はフィクションです。
実在する国家・団体・宗教・人名・企業とは一切関係ありません。
あしからず。
突然だがクイズを出題するぞ。
世界の超大国であり、そして現代において最も偉大な国家はどこだろうか?
ナチスドイツを打ち破ったソビエト連邦だろうか?
いいや、あの国は1991年に崩壊した。
社会主義は不正と汚職と密告が蔓延し、80年代にはそれが著しくソビエト連邦の中枢を汚染していった。
ゴルバチョフ書記長が改革を行っても時すでに遅し。
社会主義経済は弾けて多くの武器・兵器が中東に流れて、2010年代の中東紛争で多く使用されてしまう原因を作った白熊だ。
幾度かの選挙をしたらまたソ連時代と変わらない時代に逆戻りだ。
ロシア大統領への非難は死を意味する。
ジャーナリストや亡命したスパイは無残な死に方を遂げた。
スラブ民族は殺しは容赦しないそうだが、現代になってもそのやり方を磨いているとは大したものだ。
そのくせ地下資源には恵まれているから未だに核兵器で張り合おうとしてくる国だ。
クッソめんどくさい。
では偉大な国家は欧州をまとめ上げているヨーロッパ連合だろうか?
いいや、あれは事実上ナチスドイツが実現しえなかった統一国家であり、その実態はドイツ連邦を中心とした第四帝国だ。
無責任な移民・難民受け入れ政策をしたばかりにイスラム過激派のテロリスト集団まで受け入れてしまい、フランスやベルギーなどでは大勢の市民がテロで犠牲になってしまった。
その責任をドイツの女狐は取らないばかりか、移民に不寛容になっているのはネオナチのせいだと喚き散らしている。
あれはお前らリベラル派の責任だろうが!
子猫が捨てられていて可哀そうだといって飼い始めたら言うことを聞かないので捨てるような暴挙をしているようなものだ。
無責任なのはそうした原因を作っておきながら、自分達が被害者面をしてくるところだろうか。
ああ、選挙の相手もそんな感じでお涙頂戴と喚いていたのを思い出して来たら腹が立ってきた。
お前がちゃんと計画的移民政策をしていればこんなにぐちゃぐちゃにならずにすんだのだ。
もはや中東移民・難民の受け入れは難しかろう。
既にEU加盟国であるオーストリアやハンガリー、ノルウェーでは移民・難民受け入れ政策に反対している右派政党が大躍進している。
いずれ我々と共に歩む時は彼らを招き入れるようにしておこう。
アジアの一大国家である日本や中国はどうだろうか?
日本は一時期敵国であったが、我々が鉄槌を下したら大人しくなった。
…かと思ったら、今度は経済戦争を仕掛けてくるとは思わなかった。
優秀な技術者と高品質な商品、なにより安価な値段で輸出される日本車は我が国の自動車産業を悪化させてきて非常に大変だった。
おかげで90年代後半までは日本に押されっぱなしであった。
最近の親米派の総理は我が国に有利な経済協定を結んでくれたおかげで、経済は右肩上がりな上に我が国の戦闘機やミサイルを買ってくれる上客だ。
また一緒にゴルフしようかな、うん、今度の来日の時にゴルフコンペを予約するように言っておこう。
中国は第二次世界大戦時の日本以上に厄介な相手になってしまった。
90年代に民主化運動が起きたが天安門で潰された。
そして今の主席は我が国への経済戦争をエスカレートさせている。
あいつらの持っている我が国の国債全部無効化するぞと脅したら少しは大人しくなったが、それでも畑から取れるほどにあまり余った人材を使った膨大な人海戦術と、近代化している海軍は我が国の軍隊に対する脅威以外の何物でもない。
中国の子分であり、色々と世間を騒がせている北朝鮮も厄介だ。
前の国防長官に私はこう言ってやったんだ。
「最近北朝鮮がミサイルを打ち込んでくるけど、仮に平壌に核兵器落としても一発だけなら誤射だよな?」
「大統領、それをやったら第三次世界大戦が勃発するので本当にやめてください、お願いいたします」
真顔で顔面蒼白状態で語りかけている長官の顔も中々だったが、北朝鮮にその情報が伝えられると大慌てで向こうが謝ってきて将軍が首脳会談しようと誘ってきた。
しょうがないので将軍と会談したが、あれから二年経っても一向に改善の傾向が見られない。
まったく、日本の要請もあるから仕方ないから空母でも派遣してやるか。
今度は一隻じゃなくて三隻派遣してやろう。
もし何かしでかしたら北朝鮮の国土に草木一本すらない状態にしてから講和すればいい。
そうすればあの馬鹿げた将軍も今度は白旗上げて全面降伏してくれるだろう。
よし、ではクイズの答えを教えよう。
世界の超大国であり、そして現代において最も偉大な国家はどこだろうか?
それは我がアメリカ合衆国なのだ!
…と、アメリカ大統領が語っている間に現在のアメリカの情勢を確認しておこう。
現在アメリカ合衆国が保有している軍事力と経済力は世界一位であり、文字通り超大国であるのは間違いないだろう。
だが、近年はメキシコを中心とした中南米地域から密入国などでやってくる移民問題や性的マイノリティによるLGBTや女性権利向上運動によって国内の政治基盤は揺らいでいる情勢だ。
そんな中、アメリカ合衆国第46代大統領トーマス・トルネードは退屈そうに統計調査の結果用紙を眺めている。
トーマス大統領を支持するか?という世論調査でトーマス大統領は現在支持率45パーセントだ。
この数字は彼の所属している共和党内の支持率であり、国民世論調査では保守系が58パーセント、民主党を支持しているリベラル派が22パーセントと大きく格差が広がっている。
色々とこの世界は大変なことばかりだ。
トーマス大統領は支持率を回復したいと考えている。
すると、突然頭の中で天才的な考え方が浮かび上がり、実行に移す案が思いついたのだ。