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三百四十三話 土足厳禁

 

「文字人間? 文字人間っ!!」


 返事がない。まったくない。


「不可侵領域っ、天照大御神アマテラスっ、巨神(デカゴッド)地団駄ジダンダっ!!」

『タ、タッくん、ヤバいで。なんもおこらへんかったら妄想を叫んでる痛い子みたいやで』


 文字の力が発動しない。これから伽羅様たちと戦うのに……


「どうしよう、カルナっ、文字人間のやつ、最後の決戦前にいなくなっちゃったっ」

『ど、どうしようもないんちゃうかな』


 まさにその通りだ。

 さんざん調子に乗ったあげく、その力は他人のもので、最後にそのハシゴすら外された。

 俺に残ったのは恥ずかしい過去と、これから待つ惨めな敗北のアンハッピーセットだ。


「そ、そうだ、このまま、あのタクミと入れ替わったままなら、戦わなくてすむんじゃないかっ!?」

『無理やで、タッくん。もう変身解けてしもてるし、さっき、あのタッくん、スキップしながら洞窟戻っていったで』


 ほ、ほんとだ。文字の力で変身できなくなったから、再度入れ替わることもできないじゃないか。


「ちょっとカルナ、変身できない? ミッシュ•マッシュの能力吸収したよね? 頑張ったら俺になれるんじゃない?」

『できへんわっ! てか、できてもなれへんよっ!! だいたい、うちと入れ替わったらタッくん、魔剣になるつもりなんっ!?』

「が、がんばるから。俺、これからの人生、剣として生きていくから」


 そうだ、もうタクミという存在は捨ててしまおう。強くなったと勘違いしてた過去も恥ずかしいし、悲惨な結末への一択しか残ってない未来にも行きなくない。うん、タクミいらない。


「魂を剣に移すのってどうやるのかな? 教えてカルナ先輩」

『やめてっ、先輩ちゃうわっ、本気で魔剣生活考えんといてっ!』


 そんなことを言っても、もう俺にはそれしか生き残る道は残ってないのだよ。


『うん、ちがうで。そんなトイレ入るみたいに魔剣に侵入できへんよ。いいからとりあえず靴脱ぐのやめてくれへん?』


 入る気満々だったのに……

 まあ、こちらは最終手段にしておこうか。


『まずはトーナメント始まる前に文字人間を探すことが先決やと思うねん。戻って来んかったとしても、なんで今までタッくんに協力してたか、聞きたいと思わへん?』

「いや、そんなことはもうどうでもいいよ。とにかく今はどうやったら、トーナメントから逃げられるか考えないと」


 文字人間が戻ってきたとて、何の力もない俺が異次元の戦いに巻き込まれるだけなんだ。


「もう伽羅様たちに事情を全部話して試合放棄してしまおうか。俺、強くなったと勘違いしてました、って」

『でもタッくん、負けたら、この世界なくなってしまうんとちゃうの?』

「うん、それは仕方ない。その前に、みんなで現実世界のほうに移住しちゃおう」


 前にアザトース同じことしようとしてたし。事情を説明したら受け入れてくれるだろう。


『うん、そんなちょっと近所に引っ越しするみたいに言わんといて。世界移動なんて簡単にできへんから。後、すぐに靴脱ぐんやめてくれへん?』


 移動だけなら、ロッカのピンクでなんとかドアがあるから簡単にお邪魔できるんだけど……あっ。


「そ、そうだ。俺の力はなくなったけど、ロッカのオデコは穴が空いたままじゃないかな? まだ瞬間移動や緑一色を使えるんじゃないかっ」

『ほんまやっ、あれ、タッくんと繋がってるんやなくて文字人間と繋がってるんやったら、文字人間、追跡できるかもしれへんっ』


 ロッカのオデコの穴は、俺が開けたと思っていたけど俺にはそんな力、全然なかった。だったら、アレは最初から文字人間がロッカに仕込んだ怪しい穴じゃないか。

 おそらく、なんらかの形で、あの穴から文字人間に声が届いていたんだ。



「な、なんでござるか、タクみん、いきなり帰ってくるなり拙者の顔をじーっ、と見て。て、照れるでござるよ」


 ロッカの穴は空いたままだが、まだ文字人間の力が使えるかわからない。


「カルナ、どう思う? 以前と変わったふうには見えないけど」

『わからへん、ちょっと奥のほう覗いてみて。文字人間いてるかもしれへんで』


 穴が異空間に繋がっているなら、その可能性はあるかもしれない。


「な、なんでござるか、タクみんっ、顔が近いでござるよっ、ま、まさか、拙者に接吻をっ!?」


 うん、しない。ちょっと暴れないで。中が真っ暗でよく見えないから。


「わ、わかったでござるよ。つ、ついにこの時が来たのでござるか。や、優しくしてほしいでござるよ」

「それじゃあ遠慮なく」

「ぎゃあああっ、穴をっ、オデコの穴を広げないでほしいでござるよっ、のびる、伸びて広がってしまうでござるっ! ちょっと待つでござるっ、なんで靴を脱ぐのでござるかっ!?」


 やっぱり中には入れないか。でも、ここまで広げたら、中の様子も……あっ。


 暗闇に差し込んだ光の中で。

 最初に出会った時と同じように、文字がビッシリと書き込まれた人間が、ユラユラと揺れながら、そこに立っていた。




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― 新着の感想 ―
落語「頭山」でも始めるものとばかり 魔剣に入れたら魔剣がタクミとカルナの【愛の巣】になったりしねえ?(スットボケ
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