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尋問タイム

おお、お休み中にも多くのアクセスが……

「で、どういうことか説明して貰えるよね?」


 はい来ました尋問タイム。そうだよね、そうなるよね。


 あの後お礼を言って帰ろうとしたら、会長に首根っこを掴まれて生徒会室に逆戻りする羽目になってしまった。


 流石に体力も魔力も使い果たしてしまった状態では、ろくに抵抗をすることも出来ず、文字通りズルズルと引っ張ってこられた。人目がなかったのを幸いを思うべきか。


「説明って言っても……魔族が戻ってきたから戦っただけで……」

「ブッブー、そういうことを聞いてるんじゃなーい!」


 ブッブーって子供か。


「今さら誤魔化すのはやめるべき、確かに戦う力があるなら戦えとは言ったけど、無茶をしろとは言ってない」

「うっ……」


 会長だけならなし崩しでうやむやに出来るかと思ったけど、サラさんがいるとそうもいかなさそうだ。


「なんかすっごい失礼なこと考えてないー?」

「いえ、決して」


 顔に出てたんだろうか、


「そんなことより、匠くん言ってたよね? 魔法も剣術もダメだって。でもさっきのはなに? 明らかに見たこともない魔法使ってたし」

「あ、ブースターですね」


 別に僕が考えた魔法でもないけど、あの魔法は普通じゃない。


 というよりも、時折流れてくるあの記憶。恐らく父さんの記憶が流れてきてるんだろうけど、前回のバアル・バーストもそうだけど、普通と呼べる魔法が一つもないよね。


「ブースター? 随分シンプルな名前だね」

「聞いたことない。それに魔法名にしても異常」


 それは僕に聞かれても正直困るんだけど……それに異常ってどういうことだろう?


「異常、って名前がですか?」

「そう、普通魔法は属性とイメージした形を繋げて、一つの名前にするのが普通」


 あ、そうなのか。そうなるとブースターは?


「さっきの魔法はブースターというイメージは分かる。だけど属性については何も触れられてない。オリジナルだとしても法則を無視している」

「法則、ですか」


 確かにファイアボルト然り、サラさんの使っていたアイシクルレイン然り、属性と形がしっかり名前に入っている。


 でも僕の使ったことのある魔法は、そのどれもが法則を無視している。


 スクエアロンド、バアルバースト、ブースター。むしろバアルバーストなんて属性どころか形すら怪しくないだろうか。


「ねえ、一体あの魔法はなんだったの? どうして匠くんはそんな魔法が使えるの?」

「それは……」


 言ってしまってもいいものだろうか。二人は信用に足る人物と判断してしまっていいのだろうか。


 少しだけ考えるが、バロンとの戦いに関しても彼女達は僕を助けてくれた。それだけで十分じゃないだろうか。


「実は……」


 命を助けてくれた人達だ。信じて話すことにしよう。


「美夜ちゃあああああん!!」


 意を決して口を開いた瞬間、生徒会室の扉がガラッと大きな音を立てて開いた。そして女性が飛び込んでくる。あの人は確か……


「アイラ先生?」

「あれ? お母さんどうしてここに?」


 そう、会長のお母さんだ。


 --あれ?


「お母さん?」

「うん、そうだよ。ディスイズマイマザー。おーけー?」


 その英語だと母親をコレ扱いしてるわけですが、むしろそれでおーけー?


「美夜ちゃん怪我はない? 校庭におっきい魔物が出たって聞いてお母さん慌てて来たんだよ!!」

「私は大丈夫だよ! サラちゃんも特に怪我はないし。あっ! 匠くんは怪我はない?」


 会長が思い出したかのように聞いてくる。うーん、特に怪我はなかったかなぁ。


「僕も大丈夫ですよ」

「あれ? 君はこの前の」


 どうやら僕のことを覚えていたんだろう。少ししか話してないから忘れられてると思ったよ。


「お母さん、匠くんのこと知ってるの?」

「うん、この前一度保健室に来たことがあったからねー、匠君って言うんだね。そういえば先生名前聞くの忘れてたよ」


 なんとも軽いノリだ。会長のお母さんってのは間違いじゃないみたいだ。でも若すぎる気もするけど。


「はい、如月匠です」


 とりあえずちゃんと自己紹介しておこう。保健室にはお世話になる機会もありそうだし……


「キサラギ……?」

「はい?」


 アイラ先生が僕の名字を呟く。そんなに珍しかったのかな?


「えっと、間違いだったらごめんね。匠君のお父さんの名前は何て言うの?」


 父さんの名前?


「父さんは如月巧です。知り合いなんですか?」

「やっぱり!! 道理で見たことあると思ったよ!! そっかぁ、コウさんの息子さんだったかぁ」


 あ、やっぱり知り合いなんだ。この学園は父さんの知り合いが多いなぁ。


「お母さん、匠くんのお父さんと知り合いなの?」

「知り合いも何も、コウさんは私の初恋の人だよ!!」


 なんですと?


「匠くん! こんな可愛いお母さんをフるだなんてひどいよ!!」

「いやいや、僕じゃないですから! 父さんに言ってくださいよ!!」


 とは言っても父さんはもういないんだけど……


「えっと、なんかすいません。でも父さんはもう……」

「うん、そうだよね。ごめんね、余計なこと言っちゃったかな?」


 どうやら父さんがいないことも承知の上らしい。


「匠のお父さんは亡くなったの?」

「分かりません。母さんに聞いても死んだとは言わないんです。ただいつか帰ってくるはずだ。とは言ってますけど……」


 どこかに旅立ったのなら、一度くらい顔を見せてもいいはずだ。だけど僕は物心ついてから父さんの顔を見たことはない。


「そっか、シャルさんも匠くんには話してないんだね」

「母さんが、僕に?」


 先生は何を知ってるんだろう?


「ねえねえお母さん。匠くんのお父さんってどんな人だったの?」


 会長空気読め。確かに僕も知りたいけどさ。


「うーん、そうねえ……カッコいい人だったよ。顔が良い、とかじゃなくてね?」

「例えば?」


 気が付いたら僕も耳を傾けていた。


「とにかく強かったよ! 見たこともない魔法ばっかり使うし、空だって飛んじゃうし!!」

「空を、飛ぶ?」


 サラさんが反応している。この人はどちらかというと魔法とかそっちの話に興味津々のようだ。


「うん、剣術も凄かったけど、他にも凄い人がいたからね。でも魔法だけは本当に世界一だったと思うよ?」


 備前兄さんの言ったことと一致する。どうやら先生と父さんはただの知り合い、というわけでもなさそうだ。


「あれ? でもお母さんはアクリス人だよね? なんで匠くんのお父さんと知り合ったの?」

「コウさんは地球人だったみたいだけど、アクリスに召喚されたって言ってたよ」


 召喚……ってことはつまり校長先生や教頭先生と知り合ったのもその頃なんだろうか。


「あ、でも元々アクリスに生まれて、死んで地球に転生してから召喚されたって言ってたから、帰ってきたって言う方が正しいのかも!」


 うんもうよく分からない。転生してから召喚された? そんな都合のいいこともあるんだろうか。


「ほえー、匠くんのお父さんは凄いんだねえ……」

「うんうん、とにかく凄かったよ! 私もコウさんに命を助けて貰ったしね」


 そうか、父さんが……ってあれ? だとしたら辻褄の合わないことがあるぞ?


「えっと、一つ質問してもいいですか?」

「いいよー、なにかな?」


 聞いて良いことなのかは分からないけど。


「地球にアクリスが融合したのは十五年前ですよね? ってことは会長もアクリス人なんですか?」


 サラさんはエルフだって言ってたから、アクリスから来たのは間違いないだろう。でも会長には日本人としての名前があった。


 ということは先生が日本人と結婚して会長を生んだ場合、どうしても時系列が一致しないんだよなぁ。


「あ、私はお母さんに拾われたんだよ!!」

「うん、拾ったんだよー」


 軽いノリで意外と重い回答が返ってくる。


「あ……そうだったんですか。その、ごめんなさい」

「いいよいいよ。私は別になんとも思ってないし、お母さんの子供になれて良かったと思ってるしね!」


 本人が良いなら……いや、でもあえて明るく振る舞ってるだけかもしれない。


「おかげでお母さんに良い相手が見つからないのがねー。まだまだ若いし、こんなに可愛いのに! それに胸だって!!」

「美夜ちゃん、それは言わない約束だよう……」


 うんまぁ確かに僕から見ても若いと思う。可愛いという表現も納得出来る。


「お母さんは別に結婚したいとは思ってないからいいんだよ。それよりお母さんとしては美夜ちゃんの方が心配かなー」

「私は大丈夫だよ! いざとなったら匠くんがいるし!!」


 待って、親の前で僕の名前を出すのもアレだけど、いざとなったらってなんだよ!!


「あらあら。あ、でも美夜ちゃんと匠くんがくっついたら、コウさんと親戚? それもアリかも……」


 親は親でこの始末だ。誰か助けて!!


「話が逸れすぎ。今は匠のことを話すべき」


 サラさんが助けてくれた。バロンの時といい、助けが欲しい時に助けてくれるとは只者ではない。


「あっ、そうだったね! でもさっきのお母さんの話で大体分かったよ。匠くんは凄いお父さんの血を引いてるから強いんだね!!」

「いや、そういうわけでも……」


 もしかしたらそういうこともあるのかもしれない。でも僕の場合は父さんの血を引いてるから、と感じたことはまだない。


「でも魔法も剣術も使えないと言っていたのとは話が違う。それにあの時は確かに匠から魔力を感じなかった。それに今も」

「えっと、それは」


 どうしよう、この流れだと備前兄さんのことも話さないといけない。


 あ、でも先生は備前兄さんのことも知ってるのかな?


『別にいいじゃない。匠、せっかくだから僕のことも紹介してよ』


 相変わらず人の考えを読んでいるのか、備前兄さんが突如として話しかけてくる。


「え? 何? 誰?」


 会長が困惑している。そりゃ姿も見えないのに声だけ聞こえたらびっくりするよなぁ。


『おっとごめんね。今姿を現すから』


 そう言って備前兄さんが姿を現し、僕の肩に座った。羊の姿で。


「わっ! なにこれ可愛い!!」

「これは……精霊?」


 どちらも驚いてはいるようだが、驚くところが違っている。


『アイラ、久しぶりだね』

「ビゼンも、元気そうだね!」


 予想通り面識があったようだ。これなら最初から隠す意味もなかったのかもしれない。


 それから備前兄さんと先生の昔話を織り混ぜつつ、僕を取り巻く状況について話した。


 その話の中に母さんや香那ちゃんのおじさんの名前も出てきた。一度二人にも話を聞いてみるべきかもしれない。


駆け足気味に来ましたが、そろそろ設定の補完も必要かと思いますので、会話がメインの回が少し続きます。

また、多くのブクマ、評価ありがとうございます。おかげで学園キーワードのランクング9位に入ることが出来ました。


まだまだ頑張りますので、引き続きよろしくお願いします。

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