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匠VSバロン

風邪引きました。いきなり寒くなったからかなぁ……

 どうやって気付かれずに魔族だけを狙うか。


 会長とサラさんにはティアマトに集中して欲しい。順調に戦えてはいるようだけど、被弾ゼロが前提のような相手だし、一撃でも貰ってしまったら一気に形勢が悪化してしまうことだろう。


 あんな魔物を使役するくらいだ。やはりあのバロンとかいう魔族の方が強いんだろうな。果たして僕に勝てるんだろうか。


 いや、弱気になっちゃいけない。勝てるかどうかじゃなくて勝たなきゃいけないんだ。負けて次がある相手じゃない。


 バロンの姿はまだ見えない、だけど備前兄さんの言う通り、徐々にその存在が近づいてくるのがわかる。


 遠く上空に向けて目を凝らす。


 --来たな。


 少しずつ、少しずつだがその姿が見えてくる。


「備前兄さん、モード・ベレッタ」


 鈍く黒光りする銃を手に持ち、照準を合わせる。最初は片目で狙いを定めるのは苦労したが、今ではそれほど苦にもならない。ただそれでも魔法に関して言えば練習不足は否めないが。


 この状態では使える魔法も限られてくる。もちろん解放状態に持っていけば話は別だが、その場合戦える時間にも制限があるので、対峙すらしていない今の状態で使うわけにもいかない。


「ファイアボルト」


 牽制の一撃を繰り出す。


 気付いていない内に先制の一撃を加えられれば、とも思ったけど、全魔力を使ってもダメージを与えられる保証もないし、そこで魔力切れになってしまっても意味はない。


 今はまず自分に注意を向けること。あとはどれだけやれるか、だ。


 僕の放ったファイアボルトは今はまだ遠いバロンへと向かっていく。黒い点と赤い筋が重なる瞬間、赤い筋が消えた。


 どうやら避けるまでもないということだろう。そりゃあの程度の魔法が通用するようなら、なんの苦労もない。


「っ!?」


 不意に刺すような視線を感じ、身体がゾクッとした。どうやら自分に注意を向けるという目論見は上手くいったようだが、この殺気は尋常じゃない。


『匠、言うまでもないだろうけど、油断は禁物だからね』

「分かってるよ、備前兄さん」


 元々油断しているつもりはない。だけど本当に僕に勝てるんだろうか。


 見れば黒い点のような姿だったそれは、みるみる内にその姿を現す。怒ったのかどうかは分からないが、猛スピードでこちらに向かってくる。


 --来る!


 この場所じゃ人目に触れるかもしれない。校庭の逆側、裏庭に向かって駆け出す。


 先に移動しておけば良かったと思わなくもないけど、さっきまで場所のことまで考える余裕もなかったし、今さら言ったって仕方ない。


「さっきのふざけた攻撃はてめェかァ?」


 にしても速すぎる。


「くっ!」


 すれ違い様に殴りかかってきた。かわそうとするが間に合わず、ベレッタで受け流すが衝撃が大きい。受け切れないと判断して一度後ろに跳ぶ。


 --なんて力だ。


「やるじゃァねェかァ」


 バロンがニヤリと笑いながら僕に称賛を送る。


「……それはどうも」


 不気味だ。今の一撃を受けて僕は明らかに体勢を崩した。にもかかわらず、こいつは追撃をしなかった。


「つえェ奴は嫌いじゃねェ。あっちの二人も面白そうだが、先にてめェから殺すとしようかァ」


 どうやらバトルジャンキーと呼ばれる類か、戦いを楽しむタイプとほとほと縁があるようだ。


「出来れば殺すのはやめて欲しいかな……」


 恐らく解放状態じゃないと満足に戦えそうにない。だけど相手の手の内も分からない内から全力を出すわけにもいかない。


 --どうする?


「なんだァ? こねェならこっちから行くぜェ?」


 僕が逡巡する間を縫ってこちらに向かってくる。


「備前兄さん。モード二刀小太刀!」


 ベレッタを小太刀に変え、両手に握る。


「ほう、おもしれェ」


 相手は無手、その分攻撃の自由度が高い。左右からの連打を必死で受け続け、相手の隙を伺う。だが。


 --隙がない!!


 正確には動きが速すぎて、僕が攻撃するよりも先に次の攻撃が飛んでくる。


 結果、防戦一方となり、僕のスタミナだけが削られていく。これじゃ多少魔力が戻ったところで、とても太刀打ちなんて出来そうにない。


 --もう少し、もう少しだけ……


 今すぐにでも解放状態に持って行きたいところだけど、それを必死で堪えて攻撃を受け流し続ける。


「なんだァ? ただ受け続けるだけかァ?」


 嘲笑にも似た響き。だけど僕は答えない。いや、答える余裕はない。


「チッ、期待外れかよォ!」


 ただひたすらに防御を続ける僕に飽きたのか、苛立たしげに吐き捨てる。


 そして攻撃が止まり、少しの距離を開けて対峙する。


「てめェはもういい。とっとと死にやがれェ!」


 そう言ってバロンは口を大きく開いた。恐らくこの後に来るのは……


「カアアッ!!」


 バロンの口が一瞬光り、光線が吐き出される。やっぱりか!!


 予想通りではあるものの、思った以上に光線の速度も速い。


 --これはかわせない!!


 地面を抉りながら光線が迫ってくる。くそっ、ここまでか!


「じゃあなァガキィ、あっちはもっとヤリ甲斐がありゃいいなァ」


 僕が死んだものと決めつけてバロンが会長達の方へ向かおうとするのが見えた。

ちょっと短いですがご容赦ください……

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