表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
灯火の輪のリオ ~亡霊の罠で女になったD級探索者の迷宮譚~  作者: アサトン


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

16/26

第15章 連携①

数日ぶりの中層探索だった。


訓練期間は長くなかった。


だが、リオの感覚は明らかに変わっていた。


以前より、周囲がはっきり分かる。


気配。


魔力。


流れ。


意識すれば、拾う情報を絞ることもできる。


まだ完璧ではない。


だが少なくとも、“見えすぎる”感覚に振り回されることは減っていた。


《蒼天の軌跡》と共に、中層通路を進む。


隊列は以前と同じだった。


先頭では、索敵役のセレナが静かに周囲へ意識を巡らせている。


そのすぐ後ろを、大盾を構えたドルクが進む。


何かあれば即座に前へ出られる位置だ。


中央にはミア。


リオはその少し後ろを歩いていた。


そして最後尾では、レオルが前後を軽く動きながら周囲を警戒している。


奇襲への対応も兼ねているのだろう。


以前より自然に、その位置へ収まっていた。


「どう?」


ミアが振り返る。


「少しは慣れた?」


「……まあ」


リオは小さく頷く。


感知訓練自体は、確かに効果があった。


以前なら雑音みたいに広がっていた気配が、今は整理されて見える。


セレナが静かに口を開く。


「無理に広げすぎないように」


「必要な情報だけを拾ってください」


「……はい」


リオは意識を集中する。


周囲の魔力。


壁。


通路。


前方の気配。


――そこで。


リオの足が止まった。


「……?」


セレナが振り返る。


「どうしました?」


リオは少し眉をひそめた。


何かいる。


かなり遠い。


だが。


確かに気配があった。


「……前方」


「何かいます」


レオルが目を細める。


「魔物か?」


「多分……」


リオがそう答えた直後。


セレナが静かに頷いた。


「ええ。いますね」


ドルクも盾へ手をかける。


「三……いや四か」


リオは少し驚いた。


もう分かるのか。


レオルが苦笑する。


「ま、俺達も伊達にA級やってないってこと」


だがセレナは静かに続ける。


「ですが、リオの方が遥かに早かった」


「まだ私達には輪郭程度しか分かっていません」


空気が変わる。


全員の意識が前方へ向いた。


通路を進む。


数分後。


通路奥。


通常種より一回り大きいグレートウルフが、壁際へ潜むようにこちらを見ていた。


しかも一体ではない。


三体。


完全に待ち伏せの位置だった。


ミアが小さく息を吐く。


「やっぱりいたかー……」


ドルクが前へ出る。


盾が静かに構えられる。


グレートウルフが動く。


飛び出す。


だが同時に。


セレナが消えた。


一閃。


先頭のグレートウルフが崩れ落ちる。


横から回り込もうとした個体へ、ドルクの盾が叩き込まれた。


壁が揺れる。


レオルの槍が後方個体を貫く。


ミアの魔法弾が最後の一体を吹き飛ばした。


戦闘は一瞬だった。


以前と同じ。


いや。


以前以上に洗練されていた。


リオはその連携を見ながら、小さく息を吐く。


やはり強い。


だが今は。


以前より、その動きが理解できる。


セレナが振り返る。


「どうですか?」


「……すごいです」


素直にそう思った。


以前なら、何が起きたかすら追えなかった。


今は違う。


誰が何をしているのか。


どう連携しているのか。


少しずつ分かる。


レオルが笑う。


「お、ちゃんと見えるようになってきたか?」


「……少しだけ」


ドルクが静かに口を開く。


「感知だけじゃない」


「視野も広がってるな」


リオは少しだけ黙る。


そうなのかもしれない。


訓練を受けてから。


以前より、周囲を見る余裕が増えていた。


セレナが静かに頷く。


「その感覚を忘れないでください」


「深層では、それが生死を分けます」


リオは小さく息を吐いた。


以前の自分なら。


きっと、今の戦闘すらまともに理解できなかった。


だが今は。


少しだけ。


前へ進めている気がする。


そして同時に。


《蒼天の軌跡》と並んで歩けている――そんな感覚も。


読んでいただきありがとうございます。面白いと思っていただけたら、ページ下部の【☆☆☆☆☆】の評価や、ブックマークで応援していただけると執筆の励みになります!m(_ _)m

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ