第111話 リオの復活
亡霊が現れたその頃、待合室では――
特別病室の中から光が漏れたことに気づいたミアが、今にも病室に飛び込もうとして、セレナに止められていた。
「ミア、だめよ。中が落ち着くまで待ちましょう」
「でも、今何か光った!」
止められたミアが焦りを隠そうともせず小さく叫ぶ。
「リオに何か起きてる!」
「分かってる。多分亡霊よ。でも、落ち着くまで待った方がいいわ。私たちが中に入ったら、亡霊は途中で去ってしまいかねない。ミアもわかるでしょう?」
そう説得されて、少し落ち着きを取り戻したミアは、
「……わかった」
小さくそう呟いて、震える手を隠そうともせず、特別病室をじっと見つめながら待つことにした。
◇
それからミアは、仲間たちと共に祈るように待ち続けた。
――そして、小さな光が特別室から消えた後、少し大きな声が聞こえた。
「誰がお父さんだ!」
その声を聞いた瞬間、ミアはいてもたってもいられずリオのいる特別病室に飛び込んだ。
「リオ!」
病室に入ったミアは、起き上がっているリオの姿を見つけた。次の瞬間、身体ごと飛びつき、強く抱きしめる。そして、リオの顔を一瞬見つめた後、リオが何かを言うよりも早く、それが当然のことのように、リオの唇に自分の唇を重ねた。
「リオ……良かった。本当に良かった」
唇を離し、再びリオをじっと見つめてそう呟くミア。
「……ミア?な……なんで?」
その様子に、病室へ駆け込んできた仲間たちも一瞬だけ言葉を失った。だが、すぐにアレッタが声を上げる。
「リオさん!起きたんですね!良かった!」
そう叫ぶのはアレッタ。
「リオ! 心配かけやがって!」
アレクシアも笑顔で笑い飛ばし、レオル、ドルクも笑いながら祝福の言葉をかける。
「心配したぞ!」
「うむ!」
そして、セレナは――
セレナも、すぐにリオへ祝福の言葉をかけるつもりだった。けれど、ミアがリオに唇を重ねた光景が、胸の奥に小さな棘のように引っかかる。その痛みが、一瞬、セレナの言葉を遅らせた。
そのわずかな沈黙に気づいたのか、リオがセレナへ視線を向けた。
「セレナさん?ご、ご心配かけてすみませんでした。亡霊から少しだけ聞きました。俺のせいで大変な苦労をかけたみたいで……。
あ……ミアもありがとう。亡霊と話してくれたんだって?
アレクシアさんも、他の皆も本当にすみません」
「謝らないで。リオが目を覚ましてくれただけで十分よ」
リオの声に少し落ち着きを取り戻したセレナが、ようやく微笑んでそう言うと、皆も次々に声をかける。
「そうだぞ。こういう時はすみませんじゃなく、ありがとうだ」
そう言ったのはフィエル。皆が満面の笑みでリオに声をかける中。
(ミア『も』……なんだね。リオ)
その言葉は、ミアの胸に小さく残った。それでもミアは、笑った。リオが目を覚ました。今はそれだけで十分だ。そう自分に言い聞かせて。
※挿絵はAIで製作したイメージ画です。
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