第3話 中間考査
五月に入り高校生活に馴染みだした頃に訪れるイベントがある。
『中間考査』
五月二十日から三日間にわたり、中間考査が行われた。
私の通った高校は、一年生だけ成績(総得点)上位者が十位まで公表された。二年生・三年生は希望進路に合わせて文系・理系の選択教科があり、全員が同じ教科を履修している訳ではない。故に成績(総得点)を単純に比較できないので順位の張り出しは行われない。
一年生だけ公表する必要があるのかしら?と私は思ったが、学校の方針なのだから致し方ない。
五月三十一日。貼り出し日の放課後。ブツブツ言いながら職員室前の掲示板を見に行くと、貼り出された成績発表に私の名前があった。二位となっていた。
ちなみに、一位は吉田さんだった。
私は順位表に違和感を覚えた。久保田君の名前が載っていなかったのだ。
おかしい。彼は入試首席だったはず。なのに成績十位に名前が無い。
「やっぱり無かったわね。」
背後から吉田さんの声がした。いつから私の後ろにいたのだろう。全く気配がしなかった。もしかして吉田さんって忍者の末裔なのだろうか?
「無かったって言うのは久保田君の名前?」
私は振り返ると吉田さんに訊いた。
「ええ、そうよ。」
「やっぱりと言う事は、吉田さんは理由を知ってるの?」
「知ってるわ。」
彼女は私の顔を覗き込んできた。彼女の口角が上がった気がする。
「佐伯さん。気になるのかしら?」
「え?べ…別になんともおも…思ってないし。久保田君、主席入学なのに名前が無いなんて変だなとか思ったりしてないけど気にしたりしてないし…」
今思えば我ながら変な答え方してたね、私。
「佐伯さん、やっぱり面白い人ね。」
吉田さんはクスクスと笑いだした。
「佐伯さんも賢かったのね。」
「私はまぐれですよ。たまたま山を掛けたのが当たっただけです。それを言うと吉田さんも賢いよね。凄いよ。」
「佐伯さんがそう言ってくれるのなら、素直に受け止めておきます。ありがとう。」
「久保田君は見にこないんだ。」
「結果が分かってたのかも。それに今はお取り込みの最中だろうし。」
「お取り込み?」
「体育館裏にね。」
「あっ!」
吉田さんの言葉で私もわかった。
体育館裏…そこは恋愛の聖地。そこに呼び出されるという事は、異性から思いの丈をぶつけられるという意味を有する。
最近、久保田君に関する噂が色々と耳に入る様になってきた。まぁ、当然至極な事だった。
だってねぇ。あれだけの美男子なんだから、己に少しでも自信のある女子ならば捨て置く事などあり得ません。はい…
恋愛…それは女子高生にとってサバイバル!
と言うのは言い過ぎたかも知れないけど…
久保田君ほどの美男子だ。恋愛は早い者勝ちというわけではないが、マゴマゴしている間に鳶に油揚げをさらわれるかもしれない。そう考える女子は少なからずいる。
私が知っている限りでも、既に六人が久保田君に告白をしている。同学年だけでなく、上級生も含まれているそうだ。
しかし、久保田君が誰かと付き合い始めたという話は聞いていない。
久保田君と吉田さんは、あいも変わらず仲が良い。友達と言った雰囲気ではないのは、側から見ていて分かる。でも付き合ってない。ひっかかるのは入学式の日に二人から聞いた言葉。
《付き合えてない》
素直に受け止めると、これって両思いって事だ。二人とも口にしているという事は、お互いの気持ちも知ってるって事。なのに付き合ってない。この二人の関係性って本当に謎だった。
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