第五話 犯行声明 (4)
朝だ。といっても、人工太陽が出始めただけだけれど。
しかし、しまった。結局僕も瞬殺で寝てしまった、のか。
「ったく、この状況下でよく眠れるもんだな。
お前らどうなるかわかってんのか?」
「……」
生唾を飲み込み、
「事情を話します。
その代わり解放してもらえますか」
「事情によっちゃあ、そうするって最初に言ったはずだがな」
ここはゲート社の上層部と繋がっていないことを祈って、正直に話してみよう。
「えーと、何から話せばいいのか……
僕はゲートのユニット技術者で」
「その上司よ」
「支援用のアンドロイドです」
「おー、あの世界に数人しかいないっていうユニット技術者かい」
「今、世界中でゲートの障害が起こってるのはご存知ですよね」
「ああ、なんでも見たことないエラーだとかで、原因わかるまでは全線ストップだそうだ」
「僕たちは木星圏、ガニメデで作業してたんですけど。
どうもそこが原因かもしれなくて……」
「はぁ? お前らが原因? しかもなんで、木製圏にいたやつらが、ここにいんだよ。」
「それはその、かもしれいってレベルでその調査を秘密裏に行いたいので、月の研究所に行く途中だったんです」
「それはつまり自分達の会社のゲート社にも秘密ってことなのか? それでこいつ使ってここまで来たってことか」
「はい、裏ゲートなんて存在を知ったのも最近で、月まで行けるっていうのでこのゲートを使ったんです」
「で、なんでまたゲート社お抱えの技術者がそうまでしねぇとなんねぇんだ?」
「もしかしたら、上層部が責任を全部押し付けて有耶無耶にしちゃいそうだったのよ。独自に操作したほうがいいって判断したのよ」
「それで、エウロパから、火星、そして月と裏ゲートを使って移動してきて……」
「ふーん、一応話の筋は通ってんな。そんなら最初からうちの壁なんて壊さずに事情はなしてくれりゃ」
「その事は謝りますが、本来こうして第三者に事情はなすのもあまり良くないし、僕がゲート技術者ってことも秘匿時頃なので」
「私がやれって言ったのよ。壁についてはあとで修理をよこすわ」
「月の研究所ってのはどこにあんでぃ?」
「A5ブロックなんですけど、そういえば、ここは?」
「少し遠いな、ここはD4だ。どうやって行くつもりだ?」
「いや、どうしようか考えてなくて……。ゲートも使えないし、歩くしかないかなと」
「なんでぇ、行き当たりばったりかい」
「いや、このゲートがどこに繋がってるかわかんなかったもので」
「まあ。そりゃわるかったな。さあて、どうしたもんかな……」
「なんとか、解放していただけないでしょうか」
「よし決めた。俺の車で乗せてってやる」
「え?」
「まあ、また障害起こったときにこれも繋がらなくなるってんじゃこっちも困るからな。
それに面白そうじゃねぇか」
「いや、なにも面白いことなんてないですけど」
「俺もかかわらせてくれねぇなら、このまま警察だ。
どっちがいい?」
笑顔で二択を迫ってくる。
「…………」
嫌とは言えない雰囲気か。
「いいですか、ラクーンさん?」
「まあ、いいんじゃない? 研究所までいけるなら楽だし。
それに早く解析したいんでしょ?」
うーん、この人は考えてるんだか考えてないんだか。
「俺ぁ ティグレ、ティグレ・イアロってもんだ。
ボウズと嬢ちゃん、それにアンドロイドの名前は?」
「僕はゲーニー・ツヴェート」
「私はラクーンよ」
「シエンです」
「よっしゃ、ゲーニー、ラクーン、それにシエン行くぞ。」
なんだか、妙なことになってしまったな。
縄をほどいてもらって、四人で車に乗り込む。
「さてと行き先は、A5ブロックのゲート社研究所でいいんだな?」
「はい」
「じゃあ、オートクルーズでいくぞ。
ちょっくらいじってあるからスピードでるぞ」
…………。
…………。
…………。
道中はティグレさんから質問されっぱなしで、今までの経緯は詳細まであらかたしゃべってしまった。
秘匿時頃はごまかしながらだけど、ここまで話してしまったらこの人にも監視がつかないといけなくなるな。とりあえずは行動を共にしてもらうか。
幸い本人も望んでるみたいだし。
歩きだったら丸1日かかったかもしれないが、小一時間で研究所まで着いてしまった。車もほとんど走っていなかったのも幸いした。コントロールセンターがストップしているせいか。この車なんで走れるんだろう。改造してあるって言ってたか。
この時代に小一時間はかなりの移動時間だけど。。。
さてさて、どうやってなかに入ったものか?
「入らないのゲーニー君?」
「今はパスカード使うのはまずいですし。
中にいるシュリヒトと連絡がとれればなぁ。
ここでまってるわけにもいかないですし」
「オレのケータイから連絡しろよ」
「そうね。ここの内線くらいなら調べればすぐつながるし」
あ、それもそうか。
「どーしたんだよーう。」
直ぐに通話できたのは幸いだ。こいつ熱中したら何も聞こえなくなるからな。
「事情は後で話すから研究所の入り口まで出て来てくれないか?」
「なんでー? 別にいいけどー。」
…………。
頭をかきながら、シュリヒトが出てくる。
「あ、ゲーニー久しぶり! 元気だったー?」
「シュリヒト相変わらずだな。
とにかく、中に入れてほしいんだけど」
「パスカード忘れたの? ま、いいか。」
入り口さえ通れればここのセキュリティはザルだ。
本社からすればただの保養所だし、重要なものはなにもないからな。
「もう、大変なんだよー。
ゲートは障害起きるし、その犯行声明がでたみたいでさあ。
社内がピリピリしてるみたい」
「犯行声明? なんて?」
「なんだったかな、なんとかピープルって人達が今回の事故は自分たちの仕業だって」
…………。
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