第三話 原因調査!エウロパへ引き返せ (3)
「ラクーンさん……」
言葉に詰まる。
何から話たらいいのか、何から聞いたらいいのか……
「びっくりさせちゃったわよね……」
「…………」
どこからつっこんだものか……
「父はね……、ゲイなのよ……」
いや、それはわかった。あそこまでオネエ口調で喋られるとわからないというほうが珍しい。
「私が物心ついた時にはもう今の父だったわ」
「……」
細かいツッコミどころが多すぎて、非常に気になるけれど、今知りたいのはそこではない気がする……
「僕たち追われているってことなんですかね」
「そのようね。これからどうしましょうか。
ガニメデに戻るか、エウロパに行くか、それとも……」
「このままガニメデ・エウロパ間の規定航路に沿っていたら、捜査班と出くわすのも時間の問題ですね」
確かにシエンの言う通りだ。
「あの、地震のような挙動はみんな気づいているみたいですね。それから、震源が地球とガニメデを結ぶ直線上ってことにも。だったら、あとは捜査班や解析班に任せたほうがいいのかも……」
「だめよ。父の口ぶりからも分かったかもしれないけれど……
世界経済連合の人たち、全てをゲーニーくんのせいにしてもみ消すつもりよ」
「うーん。どうしましょうか。やっぱり、月まで行って解析したい気もしますが……」
「はっきりしなさいよ、ゲーニー君。男でしょ!」
…………。
…………。
…………。
「じゃあ、月のアイナを目指しましょう。そのためには、先ず航路から外れてしまいましょう。
こっちも捕まりたくはないですしね」
「了解しました。規定コースを外れた航路を再計算します」
「遠回りになるけれど、エネルギーとか大丈夫なのかな」
「問題ありません。このシャトルは超小型核融合エンジン搭載ですので、ほぼ無尽蔵にエネルギーが使えます」
「時間的には?」
「時間的ロスはたしかにありますが、航路変更後に最大加速すればリカバリー可能です」
「一番の問題はエウロパから月に行く方法ですね」
「どういうこと?」
「あれ?ラクーンさんは知っていると思いましたが……」
「何よ?」
「ゲートをくぐるには、我々はゲート社の身分証を使いますよね」
「あぁ、身分証を使ったらどこにいるかバレちゃうわねぇ。それならビジターのチケットを買えばいいじゃない」
「それもダメです。ゲートをくぐるときはオートで虹彩マッチングしてるんです」
「なにそれ、聞いてないわ」
「実は結構前から導入されているんですよ。ゲートを使ったら誰がどこに行ったか一発でわかります」
「私たちは別に犯罪者ではないんだけどね」
「世経連の上層部の動きで、誰がどこにいるか大雑把に把握するのに使っているらしいですよ。
あと携帯の電波とかも使っているから、彼らに僕らの位置は筒抜けですね」
「まずいわね。とりあえず電源切りましょうか……。あとゲートを使わないで月まで行く方法か……」
「ゲートを使わなかったら何日かかるか……」
「そうね。どうにかできるかもしれないわ。
ともかくエウロパに行かないと。あとは、世経連にばれてなさそうな携帯使うわ」
…………。
なぜ、そんな携帯持っているんだろう。
一体何用の携帯なんだか……。
「では、ルート変更いたします」
おっと、シエンのルート再計算が終わったみたいだ。
「最も、鉢合わせてしまっても振り切れますし、なんだったら打ち落とせますけどね」
「おっと、それは是非やめてください」
「再計算終わったんなら、シエンとはやりたいことがあるんだ。
ちょっと付き合ってもらうよ」
「え。私だけ仲間はずれ?
初めてなんで……
痛くしないでくださいね」
「っこの、何のネタだ。
ユニットの解析をするんで、インタフェースをシエンにお願いしたいだけです」
「判りました。
初めてなんで……」
「それはもういいっちゅうねん」
はあ、いつの間にかツッコミ役になりつつある……
まあいいや、とにかくユニットを解析しないと……
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