56話 蒼月草群生地
朝。
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森。
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深層寄り区域。
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空気が違う。
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魔力が濃い。
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地面。
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岩。
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木々。
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全てに、
淡い蒼色が混じっていた。
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リシア「……綺麗」
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ローグが周囲を見る。
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ローグ「深層魔力が漏れとるな」
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ヨグ『蒼月草群生地へ接近しています』
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“ぱちっ”
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メタがぷるぷる震える。
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やる気満々だった。
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トール「採取しながら進む」
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メタが頷く。
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次の瞬間。
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小型スライム。
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分裂。
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一体。
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十体。
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五十。
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百。
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森へ散っていく。
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リシア「完全に軍勢なんだよな……」
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ヨグ『群体採取を開始します』
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空中。
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術式表示。
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小型スライム達が:
- 採取
- 運搬
- 保存
- 警戒
へ自動分担。
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ローグ「効率がおかしいわい」
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その時。
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小型スライム一体。
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蒼月草発見。
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影の中を高速移動。
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回収。
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収納。
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さらに別個体。
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薬草。
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鉱石。
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素材。
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次々回収される。
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リシア「冒険者泣くぞこれ」
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ヨグ『採取効率は重要です』
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“ぱちっ”
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その瞬間。
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森の奥。
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“ギギギ……”
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音。
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硬い。
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甲殻。
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トールの目が細まる。
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気配。
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速い。
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ナイトが低く唸る。
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風が流れる。
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ヨグ『魔物反応を確認』
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ヨグ『昆虫系です』
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次の瞬間。
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蒼い影。
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“ギュンッ!!”
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速い。
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異常な速度。
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リシア「っ!?」
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横を何かが通過。
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木が切断される。
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“ズズゥン……”
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ローグ「ほう」
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切断面。
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滑らか。
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ヨグ『高周波振動系統を確認』
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トール「高周波振動?」
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森。
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木の上。
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蒼い光。
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巨大昆虫。
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甲殻。
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鋭い脚。
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さらに。
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雷。
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蒼い電流が走っていた。
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リシア「……デカいな」
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ローグが笑う。
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ローグ「A級寄りじゃな」
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ヨグ『現段階では交戦非推奨』
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“ぱちっ”
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リシア「珍しく止めた」
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ヨグ『高速機動への対応不足』
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ヨグ『空中制御不足』
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ヨグ『現在戦闘は不利です』
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蒼い昆虫が動く。
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“ギュンッ!!”
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消えた。
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次の瞬間。
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トールの横。
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影粘域。
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自動防御。
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“ギィンッ!!”
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火花。
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リシア「見えなっ!?」
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黒い粘性壁。
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そこへ。
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深い切断痕。
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ヨグ『危険度上昇』
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蒼い雷が走る。
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昆虫。
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空中停止。
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蒼い複眼。
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こちらを見ていた。
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ローグが目を細める。
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ローグ「面白い」
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だが。
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トールは戦わなかった。
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影粘域を解除。
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後退。
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トール「今はまだだ」
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リシア「……珍しいな」
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トール「勝てない訳じゃない」
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少し間。
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トール「でも、まだ足りない」
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ヨグ『高評価』
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“ぱちっ”
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蒼い昆虫が、
しばらくこちらを見る。
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そして。
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消えた。
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雷と共に。
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森が静かになる。
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リシア「……何だったんだ今の」
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ヨグの単眼が、
静かに瞬く。
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『二つ名級候補個体を確認』
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『仮称——』
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空中へ。
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蒼い文字。
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【蒼き天帝トルニルスタッグ】
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ローグが笑う。
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ローグ「いずれ戦う事になるじゃろうな」
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メタが蒼月草を収納する。
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小型スライム達が戻ってくる。
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大量。
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蒼月草。
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鉱石。
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素材。
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ヨグ『採取効率が向上しています』
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【天の声】
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使役個体【メタ】の
【錬金術(中級)】熟練度上昇。
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【素材鑑定(小)】を獲得しました。
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メタが嬉しそうに震える。
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リシア「また成長してる……」
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ローグ「本当に忙しいスライムじゃのう」
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トールは森の奥を見る。
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蒼い雷。
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一瞬だけ見えた。
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速さ。
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切断。
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空中機動。
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あれは。
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今までの敵とは違う。
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だが。
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トールは静かに呟く。
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トール「……次は、勝つ」
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風が吹く。
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蒼月草が揺れた。
■ メタ追加スキル
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【素材鑑定(小)】
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■ 分類
補助系/錬金補助スキル
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■ 獲得者
メタ
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■ 獲得条件
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蒼月草群生地で:
- 高位薬草
- 深層素材
- 魔力鉱石
などを大量解析・採取した事で獲得。
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錬金術(中級)との連動によって発現した。
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■ 効果
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素材へ触れる事で:
- 品質
- 魔力量
- 劣化状態
- 毒性
- 錬金適性
などを大まかに判別可能。
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現在は【小】段階のため、
詳細鑑定までは不可能。
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しかし:
- 粗悪品
- 劣化素材
- 高品質素材
の見分けは十分可能。
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■ メタとの相性
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メタは:
- 群体分散
- 並列処理
- 粘性接触解析
が可能。
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そのため、
小型スライム達を使った:
- 大規模採取
- 素材選別
- 自動分類
との相性が極めて高い。
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現在は:
- 蒼月草
- 回復系薬草
- 魔力鉱石
などの探索効率が大幅向上している。
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■ 応用
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今後成長すると:
- 武器素材鑑定
- 毒物解析
- 魔力属性判定
- 弱点解析
などへ発展する可能性がある。
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特に錬金術との連携によって、
素材ロスを大幅に減らせる。
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■ メタ現在の成長傾向
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現在のメタは:
- 戦闘型スライム
というより。
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群体支援型。
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さらに:
- 錬金術
- 回復
- 物資管理
- 武器運用
- 採取
まで担当し始めている。
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そのため、トール達の活動基盤そのものを支える存在へ近づいている。
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ローグ曰く:
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«「もう一匹で後方支援部隊全部やっとる」»
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かなりその通りである。




