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45話 半人半魔

赫月の盟約——ギルドマスター室。


---


静かだった。


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窓から朝日が差し込む。


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トールは椅子へ座っている。


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机の上。


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白銀の杖。


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昨日から、

時折淡く虹色に光っていた。


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リシア「で?」


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腕を組む。


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リシア「結局なんなんだよその杖」


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トール「分からない」


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本当に知らない。


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使いやすかった。


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それだけだ。


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ローグが静かに杖を見る。


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ユリウスも浮いている。


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珍しく。


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空気が重い。


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ローグ「まず確認じゃ」


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トールを見る。


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ローグ「おぬし」


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ローグ「魔物肉を食ってどうなる」


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トール「……強くなる」


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ローグが頷く。


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ローグ「普通の人間は違う」


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静かに。


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ローグ「人は一時的に強くなる程度じゃ」


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ローグ「料理による魔力強化」


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ローグ「それだけ」


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リシア「……あぁ」


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ブラックハウル香草焼き。


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ベヒモスシチュー。


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確かに強くなった。


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だが。


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時間が経てば戻る。


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ローグ「じゃがおぬしは違う」


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トールを見る。


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ローグ「取り込み」


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ローグ「己の力へ変えておる」


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静寂。


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トールの目が揺れる。


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ローグ「それが半人半魔じゃ」


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リシア「……は?」


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空気が止まる。


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トール「半……人半魔?」


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ローグが頷く。


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ローグ「人と魔の混血」


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ローグ「極めて稀な存在じゃ」


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ユリウスが続ける。


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ユリウス「確認されている個体数は極少数」


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ユリウス「多くは適応失敗します」


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トール「……」


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ローグ「じゃがおぬしは適応した」


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静かに。


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ローグ「だから捕食できる」


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ローグ「だから使役できる」


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ローグ「だから融合できる」


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一つずつ。


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全部。


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繋がっていく。


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リシア「待てよ」


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リシアが顔を上げる。


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リシア「じゃあ、あんたも……」


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ローグが笑う。


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杖を鳴らす。


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ローグ「うむ」


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ローグ「わしも半人半魔じゃ」


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トール「……っ」


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そこで初めて理解する。


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異常だった。


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ローグも。


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自分も。


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ローグ「ただし」


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静かに。


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ローグ「力そのものは魔物側じゃ」


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トール「……?」


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ローグ「おぬしが影を使えるのはナイト」


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ローグ「粘性を使えるのはメタ」


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ローグ「取り込んだ力を適応させておるだけじゃ」


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リシア「つまり……」


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ローグ「半人半魔は“器”じゃな」


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静かに。


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ローグ「力を受け入れる側」


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その言葉。


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妙に腑に落ちた。


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トールは特別な力を持っていた訳ではない。


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仲間がいた。


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だから強くなった。


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ローグ「そして」


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白銀の杖を見る。


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ローグ「その杖の主」


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ローグ「おぬしの母親もじゃろう」


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静寂。


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トールの呼吸が止まる。


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母。


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優しかった。


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だが。


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何も知らない。


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ローグ「恐らく異質な魔法を使っていた」


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リシア「異質な魔法?」


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ローグが頷く。


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ローグ「武器型魔物にも様々な魔法を扱う奴らがおる」


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ローグ「ユリウスは攻撃魔法を好んで使う」


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そして。


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白銀の杖を見る。


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ローグ「こやつは支援魔法を好んで使うじゃろうな」


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その瞬間。


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杖が淡く虹色に光る。


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まるで。


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反応するように。


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ユリウスが静かに呟く。


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ユリウス「封印出力、上昇」


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トール「封印……」


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ローグが頷く。


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ローグ「その杖」


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静かに。


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ローグ「本来は武器型魔物じゃ」


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リシア「……またかよ」


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ローグが笑う。


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ローグ「しかも恐らく上位種」


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ユリウスが杖を見る。


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じっと。


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観察するように。


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ユリウス「私と近い」


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ユリウス「ですが違う」


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赤黒いユリウス。


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白銀の杖。


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対照的だった。


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その時。


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白銀の杖が強く震える。


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“キィン……”


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白い粒子。


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虹の光が舞う。


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トールの脳裏へ、

また記憶が流れ込む。


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白く美しい光。


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女性。


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優しい声。


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“まだ早い”


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“今は眠っていて”


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そして。


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最後。


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女性が微笑む。


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“あの子を守って”


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次の瞬間。


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杖の光が消える。


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静寂。


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リシア「……今の」


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トールは杖を見る。


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震えていた。


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自分の手が。


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ローグが静かに目を閉じる。


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ローグ「封印が少しずつ解け始めておる」


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その言葉。


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重かった。


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そして。


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白銀の杖の奥。


---


何かが。


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確かに目覚め始めていた。

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