2話 狩りと教え
火が揺れている。
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森の奥。
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簡素な拠点。
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トールは座っている。
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目の前には、肉。
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昨日と同じ。
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牙獣の肉。
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(……分かる)
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ただの肉じゃない。
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食えば、強くなる。
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トールはそれを見つめる。
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バラガンが言う。
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バラガン「どうした」
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トール「……考えてる」
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バラガン「何をだ」
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トール「……うまく、食う」
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バラガンがわずかに口元を緩める。
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バラガン「そうか」
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バラガン「なら、焼け」
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肉を渡される。
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トールは受け取る。
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火を見る。
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強い。
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弱い。
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揺れている。
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(……昨日と同じじゃない)
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少し考える。
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肉を置く。
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返す。
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待つ。
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匂いが変わる。
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脂が落ちる。
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(……今だ)
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取る。
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食べる。
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「……うまい」
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昨日より、
少しだけ分かる。
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バラガンが頷く。
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バラガン「いい」
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短い評価。
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■ 狩り
森。
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朝。
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空気が冷たい。
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バラガンが止まる。
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トールも止まる。
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前を見る。
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牙獣。
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昨日と同じ。
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だが——
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(……動きが見える)
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バラガンが言う。
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バラガン「やってみろ」
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トールは一瞬だけ考える。
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(……俺がやるのか)
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逃げるという選択肢はない。
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(食うためだ)
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トールは前に出る。
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足音を消す。
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自然と。
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近づく。
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牙獣が気づく。
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目が合う。
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来る。
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速い。
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だが——
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(……見える)
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トールの手が動く。
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糸。
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伸びる。
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昨日より速い。
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足に絡む。
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止まる。
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一瞬。
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十分。
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トールは飛び込む。
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ナイフ。
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振る。
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浅い。
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だが——
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届いた。
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牙獣が暴れる。
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糸が切れる。
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(……まだ弱い)
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だが、もう一度。
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糸。
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絡む。
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今度は短く。
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強く。
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止める。
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トールは踏み込む。
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ナイフを突き立てる。
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ズブッ。
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止まる。
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動かない。
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静かになる。
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(……倒した)
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初めて。
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自分で。
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トールは息を吐く。
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バラガンが近づく。
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バラガン「いいな」
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短い評価。
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■ 解体
トールはナイフを握る。
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(……やる)
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血を抜く。
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流れる。
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昨日より、迷いがない。
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切る。
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分ける。
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外す。
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(……できる)
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バラガンが見る。
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バラガン「慣れたな」
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トールは頷く。
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■ 捕食
火。
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肉。
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自分で倒した牙獣。
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焼く。
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匂いが変わる。
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(……分かる)
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取る。
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食べる。
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「……うまい」
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その瞬間——
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——《捕食を確認》
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——《対象:牙獣》
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——《スキルが強化されました》
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——《脚力強化(微)→(小)》
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——《ステータスが上昇しました》
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(……強くなってる)
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昨日より、はっきり分かる。
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体が軽い。
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動ける。
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トールはもう一口食べる。
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「……うまい」
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今度は——
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“自分で倒した味”がする。
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■ 教え
火。
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夜。
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バラガンが言う。
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バラガン「戦うのは、食うためだ」
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トールは頷く。
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バラガン「無駄に殺すな」
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バラガン「全部、使え」
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トールは肉を見る。
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(全部、使う)
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理解が深くなる。
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トール「……うまく、食う」
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バラガンがわずかに笑う。
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バラガン「そうだ」
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火が揺れる。
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肉の匂いが広がる。
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トールは食べる。
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それが——
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強くなる方法だと、
確信に変わっていた。
■ 捕食ルール補足
【初回捕食】
新規スキル獲得+ステータス上昇(大)
【同型捕食】
既存スキルの強化+ステータス上昇(小)
※同種を繰り返し捕食することで
スキルは段階的に成長する




