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精霊の加護 〜Blessing of spirits〜  作者: 荒巻一
第3章 ブリテン連邦編〜機械王と円卓の騎士〜
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第61話 不法入国者の加護

前回のあらすじ


 シエルの耳に悲報が入る。

 派遣義勇軍ニンフが乗っていたブリテン連邦行きの船が、ヴィルヘルム家によって爆破されたという情報だった。乗員たちの安否の確認はまだ入ってきていなかった。

 またこれを機にノエル領とソシロア領は戦争を始めてしまうのであった。

 

※※※※※※


 シエルはダービーと共に別ルートからブリテン連邦を目指すことにしていた。

 王都内では精霊団が慌ただしくしていた。領内の調査、魔物に対する対策と準備、ノエル領との戦争と最大の危機を迎えていた。

 しかしシエルにとってそんなことはどうでもよかった。今自分が知りたいことは仲間たちの安否情報だけだった。願う思いはただ1つ——。生きていてくれ!

 ダービーは船を改良していた。幸いにも今まで集めていた素材が十分にあってため、改良する時間は然程かかることはなかった。燃料となる魔石も魔油もこれだけあれば2人乗っても往復できる。

 

 あれから2日——。

 ダービーの船が遂に完成したようだ。


「シエル!完成したですぜ!名付けて『潜水艦MーD2』!」


「よし!さっそくブリテン連邦にいこうぜ!」


「シエル!名前の由来を聞かないですぜ?」


「あ?そんなもんでどうでもいい!出発だ!出発!」


 ダービーは自信作の魔導具の名前を無視されたことにショックを受けていたが、気に留めず潜水艦へと乗り込んでいた。中は案外狭い。もともと1人乗り用で設計されている中、急遽2人乗りに変更したのだ。狭いと文句は言えない。


「どのくらいで到着できる?」


「ノエル領が保持する船とは違うますぜ。こっちは魔法のエネルギーを動力をしてんですぜ」


「7日ぐらいか?」


「3日ですぜ!」


 ダービーは自信ありげに答えると発信ボタンを指で強く押した。

 積んである魔石と魔油が化学反応を起こすように動力エネルギーに変わり、潜水艦を動かす。そのスピードは400km以上。海中をもの凄い勢いで進んでいた。



〜イング王国・フェリック港付近〜


 ペテルブルクから出発してから3日。

 潜水艦も浮上して海の上を進んでいた。中からはフェリック港が見える。本来ならここにノエル領から出向した船が着港しているはずだが、それらしき船は見当たらない。

 港では入国審査が行われていた。

 すんなり入れるのか思ったが、潜水艦での着港をしたことが問題だったようだ。

 そもそも潜水艦という魔導具を保有しているのはごく一部の人間だけで、一般人が保有していいいものではない。


「違うんですぜ!俺はジョーカー様の弟子ですぜ!潜水艦の設計も把握してんるんですぜ!」


「うるさい!身元もわからん怪しいやつを信用できるか!お前もだ!」


「魔導技師の資格もあるですぜ!ほら、見るですぜ!」


「そんな紙切れ、どこでも偽装できるだろ!」


「おい!ダービーどうなってるんだよ!なんで捕まるんだよ!」


 イング王国に到着するや否やシエルとダービーは牢獄にぶち込まれていた。

 ここはアイル王国との戦争で捕まえた捕虜などを収容している場所である。

 

「おい!ここから出せよ!俺たち何もしていないだろ!説明しやがれ!」


 何度も大声を上げながら事情を説明しろと求めるシエル声だけが反響する。


「新入りか?」


 隣りの部屋にも誰かいる。壁越しではあるが会話が出来そうだ。


「誰だよ?おっさんは?」


「俺はアイル王国の人間だ。詳細は証せないがこのイング王国に侵入して捕まった」


「侵入した?どうやって?」


「それは言えない。でお前たちはどうして?」


「知らん。潜水艦でフェリック港に入ったのがマズかったのか?」


「そうようですぜ。そんなこと聞いたことないですぜ」


 潜水艦のワードを聞いて男は大笑いした。


「何がおかしい?」


「捕まって当然だ!このイング王国では現在潜水艦の使用を中止しているからな!」


 どうやらここ最近、潜水艦での不法入国がイング王国で多発しており乗員はアイル王国が多い。

 対立国であるアイル王国が潜水艦の使用を行っていることから、アイル王国の人間と思われたようだ。

 しかし今それを知ることはなかった。

 それに潜水艦という魔導具を設計する技術はアイル王国には無い。全ての魔導具を設計する技術を持っているのはウェール王国の魔導技師だけのはず。


「それよりここにいると拷問を受けるぜ。お前たちはアイル王国の人間じゃないとはわかった。だが、捕まった以上は死を覚悟しておくんだな」


「ふざけるなよ!おい!ここからだせ!俺たちはソシロア領から来たんだ!」


 再びシエルの大きな声だけが反響する。

 しかし犯罪者扱いされているシエルの声を聞く者は誰1人いない。


「それでだ。俺と組んでここから脱出しないか?」


「何言ってんだよ!?お前は犯罪者だ。俺たちは違う。手を組めるかよ!」


「それは残念だ。なら苦痛の日々を味わって死ぬんだな!」


 果たしてシエルとダービーの身の潔白を証明することはできるのだろうか?



ご覧いただきありがとうございます。

評価やコメントなどしていただけると嬉しいです。

引き続き『精霊の加護』を宜しくお願いします。

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