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精霊の加護 〜Blessing of spirits〜  作者: 荒巻一
第1章 イウロ編〜風の精霊を求めて〜
30/71

第20話 疑念の加護

前回のあらすじ

 

 ルミエールの心の中に住んでいたのは、精霊と相反する生き物である()()であった。

 悪魔の名は嫉妬レヴィアタンと言う。何故ルミエールの中に住み着き、目的が何なのかは未だに謎である。ルミエールは悪魔の存在を仲間たちに内緒にして自らの力で追い出すことを誓うのであった。


※※※※※※


 ルミエールが目を覚ます以前の話。

 新成獣ケロベロスとの戦いの後、気を失ったルミエールを担いでノストラダムスの家へと向かった。

 シエルとアレスはルミエールの力のことについて知らなかった。アグライアに魔神の力のことについて聞いた。


「ライア!一体どうなってるんだ!ルミの使った力が魔神ルシウスの力だと!?」


 シエルは今も尚取り乱していた。

 それもそのはず魔神ルシウスの力だ。アグライアの話しでは魔神ルシウスを倒すことがシエルたちの役目である。即ちルミエールを倒すべき対象になってしまうということだ。


「お、落ち着いてください。私にもわかりませんが今からいう事はルミには内緒にしてください」


「わかった」


魔神ルシウスは7つの大罪という固有能力を持っていました。その中にある嫉妬といわれる能力は重力を使うものでした」


「それをルミエールが使っていた。じゃあルミは魔神ルシウスなのか!?」


「いえ、それが魔神ルシウスの気はこの星の奥底に封印されたままです。ルミが魔神ルシウスのいう可能性はあり得ないです。というよりあり得ないと信じたいのです」


「くそッ!一体ルミに何が起こってるんだよ!」


「ルミ姉…これからどうなっちゃうの…」


「しかし…どこで嫉妬を手にしてしまったのか?私と出会う15年前に変わった事など無かったですか?」


 アグライアはルミエールの過去について気になっていた。ルミエールが変になった時期さえあれば、嫉妬についても分かると思っていたが…

 シエルの答えはわからないの一点張だった。


「今は嫉妬の力は感じ取れません。ですが光の代行者であるルミに闇の力が混じっているのいうのが心配です。最悪、闇の力がルミを喰い尽くすかもしれません」



 アグライアの急な言葉を聞いてシエルとアレスは焦って寝ているルミエールを激しく揺さぶり起こそうとした。


「おい!ルミ!ルミ!起きろ!」


 シエルの声を聞いて、ルミエールは目を覚ました。心の中の世界から出て来れた瞬間であった。


「ルミ!大丈夫か?どこもおかしくないか?」


 何のことを聞いているのか?

 わからない………。

 なんてことはない。

 自分がどうして生きているのか?何故ここにいるのか?記憶がない。というのは以前にもあった。そして心の中で出会った嫉妬レヴィアタンの存在を考えると何故が真実へと繋がる。

 この真実を皆に伝えたいが、シエルが濁すように質問してくるということは、何も知らないか、知らないふりをしているかのどちらかということになるとルミエールは考えていた。

 そして本心を言えば嫉妬レヴィアタンが残した

最後の『悪魔を宿した貴女のことをどう見るのか』という言葉であった。


「おい!返事しろよ!?」


「へぁ…私…」


「身体に何も悪いところはないですか?」


「ない...わ」


「本当ですか?少しでも変わったことでも何でもいいのですよ?」


「大丈夫よ。身体も動くし痛みもないわ」


 言えるはずなどない。

 自分の中に住み着く悪魔のことなど。


「そうか...よかった」


「ルミ姉ーよかったよー」


 シエルとアレス、アグライアの心配をさせたくない。しかしルミエールの心の奥そこでは、嫉妬レヴィアタンは嘲笑っていた。


「とりあえず俺は爺さんに報告してくるよ」


「私もいきます。アレスはここでルミと待っててください」



 シエルはノストラダムスに街で起こる魔物の襲撃について話しをした。この街に潜む魔物は人間で、ある条件を満たすことで魔物に変身し街を襲っている。


「そういうことじゃったか。なら新月の向かえる前に魔物を暴くのが良さそうじゃな」


「そんなことできるのか?」


「できますー。『あばき草』というハーブを使えば人間に化けていても魔物は本性を現せるのですー」


 それを聞いたシエルは何かを考えていた。 


「そのあばき草はどこにあるんだ?」


「ポーラ地区・シャルシャワ街にありますー」


「ワシの知り合いが作っておるのじゃが...ここずっと返事がないのじゃよ」


「どういうことだよ?」


「手紙を出してから1ヶ月以上も経つのじゃが...良くないことに巻き込まれてなきゃいいのじゃが」


「なら俺たちが見てくるよ。あばき草は必要だしな」


「頼んだわい。エラブという人物がハーブ園をしておるからの」



 シエルは次の新月を向かえる前に魔物を見つけるあばき草の情報を得てポーラ地区・シャルシャワ街に向かうことにした。

 その前にアグライアに相談したいことがあった。


「ライアに相談したいことがあるんだがいいか?」


「なんでしょう?」


 シエルの手は振るえていた。何か言いにくいことを口にしようとしている。


「あばき草をルミに使ってみるのは...ダメなのか?」


「貴方、何を口にしているのかわかっているのですか?先も言いましたよ!」


「疑ってるんじゃない!ただ...真実を知りたいというか」


「私は反対します。ルミが何かを隠しているのは間違いありません」


「なら俺たちがなんとかしてやらないとダメだろ?」


「確かに私も真実を知りたい気持ちはあります。しかし時に真実は残酷でもあります。もしルミが魔神ルシウスではない別の存在だとしても...討たねばなりません」


「...……」


「そのような方ができるのですか?」


「できない…」


 このときはルミエールを殺すことなどは出来ないと思っていた。だがこの気持ちがいつか変わるのかもしれないとシエルは恐怖していた。


「安心してください。今はその気は感じ取れません...見守るしかできないでしょう」


「見守るって…」


「大丈夫です。私はどんなことがあってもルミの味方です。ですからシエルもルミを信じてください。そして一緒に守るのです」


 アグライアはシエルをなだめるように説得した。

 今は何もできない。だが真実は残酷なことが多い。ルミエールが闇の力に目覚めてしまうのが自分が原因であることをシエルは知る由もなかった。


「とにかく今はルミの様子を見ましょう」


「わかったよ」


 シエルが部屋に戻ってくると、ルミエールとアレスに次の目的地を伝える。 


「次に行く場所が決まった!ポーラ地区に向かう。シャルシャワ街に行ってハーブを貰いに行く!」


「ハーブを貰いに行くってどういう事なの?」


「あばき草っていうハーブがあって、それを使ってもう1匹の魔物を見つけるんだよ」


「そっかもう1匹いるもんね」


「よし準備が出来たら、シャルシャワ街に行くぞ!」



※※※※※※



 ポーラ地区はアニマ地区から南西に向かったさきにある地区だ。イツベル地区とは隣接しているがアーペン山脈があるためアニマ地区からしか入れない。

 ポーラ地区に入ってからアレスの様子がおかしい。


「どうしたのアレス?」


「僕ね昔から鼻がいいだ。だんだん変な臭いがしてくるんだよね...」


「そんな臭いするか?」


「いや私にもわからないわ」


「鼻がいいってレベルじゃないだろ」


「うん...」


 アレスはぐったりしてしまった。シエルはアレスを背負って歩きだした。



〜ポーラ地区・シャルシャワ街〜

 ここシャルシャワ街はハーブの香る街。エラブのいう人物が巨大なハーブ園を所有している。ハーブには様々な効果がある薬草のようなものだ。


 だがしかし、今のシャルシャワ街に香るのは全く別のものだった。


「どうなってやがる...」


 シャルシャワ街に何があったのか——


ご覧頂き、誠にありがとうございます。

評価やコメントなど頂けると嬉しいです。

改稿しておりますが引き続き『精霊の加護』を宜しくお願い致します。


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