第13話 レジオネラの加護
前回のあらすじ
マクシムと流水塔へとやってきたルミエール。
中に入り、地下水路を辿って聖水石を汚している魔物を倒しに行く。道中に魔物と遭遇しながらも、奥へ奥へと降りっていった。
※※※※※※
「さて、ここが一番最下層だ!」
「肝心の魔物は?」
「聖水石を汚してる魔物はこの奥を行った先だ」
マクシムが見つめる方向は真っ直ぐに伸びた暗く長いトンネルだった。
「少し休むか?」
「いえ急ぎます。時間は待ってくれないですから」
「強いんだな。頼りにさせてもらうよルミエール!」
暗く長いトンネルを更に突き進んでゆく。この道中にも魔物が住み着いていて、なかなか目的地に辿りつくそうにない。
「魔物の数が前回より増えてやがる。ルミエールがいるから半分くらいは弾も残ると思っていたんだが...」
弾のストックが無くなりつつあるそうだ。
「こいつは残しておきたいんだ」
「何ですか?」
マクシムが出したのは、さっきまで使っていた魔弾の型とは違っていた。
「この魔弾は特別製でな。炎弾とは少し威力が違うんだ。火炎弾といって中に魔油というものが含まれているんだ」
この火炎弾は炎弾と違い、相手を長く燃やし続けることができる。それは、魔油と呼ばれる成分が着火に適しているからである。長くそしてより強い火が点くようになっている。
「これが高いんだよ。火炎弾の弾は全部で5発。これを全弾打ち込めたら、魔物も燃え尽きると思うんだ」
「ならここからは私が敵を倒します」
「1人で大丈夫か」
「マクシムさんの弾を残すためにそうするしかありません。私が本当に危険が来たときだけに撃ってください」
「よしわかった」
ルミエールは器用に戦いながらマクシムの弾数を減らさないようにしていた。
そして―――
聖水石が置いてある1番奥へとやってきた。
「いた。あいつだ」
水が勢いよく湧き出るところにいたのは、ベトベトと滑りの酷い魔物だった。
魔物の名はレジオネア。
この魔物は河川や湖水、温泉など水のある場所に生息するが、こいつのデカさは既に異常であった。長い間に成長を遂げてしまったようだ。
だが加熱に弱い魔物。
「以前より大きくなってるな」
「マクシムさんは、火炎弾でやつを。私が誘き寄せます!」
「わかった」
レジオネラが水の中にいたのでは、火炎弾効果も発揮できない。ルミエールは物陰から勢いよき飛び出し、先制攻撃をしかけた。前もって準備していた光芒回転銃をレジオネラに向けて撃つ。
「射出ッー!」
不意の攻撃にレジオネラは驚きながら、水の中へ潜った。ルミエール攻撃は当たったようだが、その効果があったのか定かではない。当たりに響く音は、水が湧き出る音だけ。
マクシムはいつでも撃てる準備をして、隠れていた。
「出て来なさい...」
水の中に潜ってからなかなか出てくる様子がない。気を抜けば襲いかかってくることはわかっていた。だが長く続けば気疲れしてしまう。
「ルミ...我慢です」
アグライアが気を抜かないようにルミエールに声をかける。ルミエールは頷く。
(暑い...もう5分はこの状態よ...いつになったら出て来るの?)
心の中でよからぬ考えごとをしてしまう。
ーーー次の瞬間!
「...」
無言でレジオネラが襲いかかってくる。
ルミエールに覆い被さるようにのしかかる。
「ん...んんッ!」
(息ができない!)
火炎弾を打ち込むには絶好のチャンスだが、ルミエールごと燃やしてしまうわけにはいかない。
「クソッ!急がないとルミエールが窒息死する!」
マクシムは急いで弾を取り変える。準備しているのは雷弾。レジオネラに雷撃を喰らわせて引き離そうと考えた。
「間に合え!雷弾!」
マクシムの撃った雷弾はレジオネラに当たり、ショクボルトを与える。レジオネラは電撃に驚き再び水の中に潜った。
「...んッッぶはーはーはー...ありがとうございます…」
「大丈夫か!?意識は!?」
「な、なんとか...生きてますよ」
呼吸を整えるように返事を返す。
「クソッ!また潜りやがったか!」
「なら...私の方も待ち伏せしてやりますから...」
「マクシムさん、これが最後でなります。魔物が一瞬でも隙を見せたら、撃ち込んでください!その隙を私が作ります!」
ルミエールはそういって術式魔法陣は床へ設置した。
「術式魔法3陣・光芒地雷!」
【光芒地雷】
トラップ型の魔法。
術式魔法陣に触れると起爆する仕組みになってる。
ルミエールは座り込んで魔物が襲いかかるのを待っていた。
この機を魔物は逃すことはない。水の中から勢いよく飛び出し、ルミエールに覆い被さろうとする。
しかし魔物が術式魔法陣に触れることない。
「勝ったつもりでいるでしょ?残念だけどこれは、私が自らスイッチを押すのよ!」
レジオネラが光芒地雷の真上に来た時に、ルミエールはモーガンから借りていた短剣の手に取った。
「ま、待て!ルミエール!」
マクシムは静止しようとしたが、ニコッと笑ってから短剣を投げ込む!
「マクシムさん!撃ってッ!!」
ルミエールの声を聞いてマクシムは銃を構える。
次の瞬間、短剣が術式魔法陣に触れ光の爆破を起こす。
魔物もその衝撃で吹き飛ぶ。
マクシムは吹き飛ぶ魔物に5発の火炎弾を撃ち込んだ。
魔物に火の手が上がる。全弾撃ち込んだ事で、その火力は凄まじいものになった。
「ルミエール!?」
「だ、大丈夫ですよ!」
ルミエールは爆破と同時に魔法吸収を使って、自身に当たる魔法を吸収していたようだ。
「なんて無茶をするんだ」
「でもこれで魔物は倒せたんですよね?」
火炎の中で、燃え行く魔物はみるみるうちに小さくなり、火が消えると共に消滅した。
「よし、あとはルミエールが持ってる生命の水を聖水石にかけたら終わりだな」
ルミエールは小瓶を取り出して聖水石に水をかける。
――だが水質が変わる様子はない。
「どういうことですか?」
「良くなってないな。仕方ない。シスターに報告するしかない」
魔物を倒せたもの、水質が改善させることはなかった。ベネチ街の依頼はまだ終わりそうにない。
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