第6話 オラン地区の加護
〜精霊教会・ブリッサ支部〜
立派な建物だ。中にはシスターがいて、お祈りをしていた。
「本日も、清く心地よい風をありがとうございます」
祈りの最中に話しかけるのは悪いと思い、終わるのを待っていた。しかし、何を祈っているのだろうかと不思議に思う。祈りが終わるとシエルたちに気付いた。
「——あら!?ごめんなさい」
「いえ、大丈夫です。それより、ここは何ですか?」
「あなた達はここを知らないのですか?ここは精霊教会・ブリッサ支部です」
「精霊教会?」
「おや!?ここにも未信者の方がおられるのですね!」
シスターは驚いた表情を見せ、シエルたちに精霊教について説明してくれた。
精霊教とは、精霊を信仰する宗教で御神体は精霊そのものである。精霊が見えることはないが、精霊から許しを貰えると声や話しが出来たりするようだ。それは司教のみで多くは存在しない。
精霊教は全人類の半分以上が信仰している宗教である。ここブリッサ街も精霊の息がかかる街である。その証拠として、精霊教が建てた風車がある。風車が止まれば、風の精霊に異変が起きたことを知られる仕組みになっている。
本部はソシロア領の第1主都・ペテルブルクにあるようだ。
「質問していいか?」
「どうぞ」
「オラン地区のどこかに風の精霊がいる建物があると聞いたんだが?」
「ヴァン様で居られるのはアテン地区・パルテノ街の風の本部ですが?」
「もう一つ質問していいか?魔物っていつから存在してるんだ?最近なのか?」
「おかしな事ばかり聞くのですね。魔物は100年前から存在します」
「100年前から!?」
「あなた方は何にも知らないようですね?一体どこから来られたのです?」
「ランス地区の山奥から来たんだ」
「私たち、山奥で生活してたので何も知らないんです」
「そういうことですか。では、今もお困りでしょう?」
「お金の事も知らなくて...」
「精霊教は困ってる人を助けることを教えの中にあります。しばらくここで過ごしてください」
こうしてシエル達は暫くの間、教会に住み込みながら、色々教えてもらっていた。
精霊教以外にも、この星の歴史も教えてくれた。シスターの話しは確かなもので、やはりこの世界は魔物を影響力によって歴史が変わっていた。
「やはり、歴史は等に変わっていましたか...それに精霊教など以前はありませんでした。この世界は、私の知る以前の世界とは、全く違うものですね。異世界に来てしまった感覚です」
「これからどうするんだ?」
「ですが、ヴァンの所在地はわかりました。アテン地区に向かいましょうか」
次の目的地を決めて準備を進めていた。そんな夜に事件は起きた。
外が騒がしい。
「シスターさん?どうしたんですか?」
「それが…外に出て見てください。風車が…」
慌てたシスターが、シエルたちを外に出るように促し、外に出てみると人ごみで溢れていた。街の人たちは、風車を見て騒いでるようだ。さっき迄回っていた風車が止まってしまったのである。
「風車が止まってんじゃねぇか!」
「それって風の精霊に何かあったってことよね?」
「急ぎアテン地区へ向かうべきですね」
アグライアが言うには、ヴァンが死んでしまえば世界に吹く風の加護は無くなる。また人間に宿る加護も無くなってしまう。それが意味するのは、呼吸が出来なくなり死んでしまうということだ。
「ただ今はまだヴァンが死んではいないようですね」
「わかるのか?」
「ヴァンが死んでしまえが、あなたたちは呼吸が出来なくなり、死んでしまうますからね。特にヴァンの加護は直ぐに人体に現れるので」
「なら急がなきゃ!」
シエルたちは急いで街を出て、アテン地区に向かうことにした。
「シスターさん!お世話になりました!」
「お世話になりましたって...あなたたちどこへ行くつもりですか?」
「アテン地区に行きます!」
「アテン地区へ?お待ち下さい。嫌な予感がするのです。1ヶ月前にここを守る精霊団の方々もアテン地区に向かってから帰って来ていないのです」
「なら尚更行かなくちゃいけないな」
「尚更ですか…危険ですよ」
「あぁそれでも行くぜ」
「わかりました。ではこれをお持ちになってください」
シエルはシスターから、少しのお金とイウロ領の地図を貰った。
「無事をお祈りしております。貴方たちに風の精霊の御加護があらんことを」
「ありがとう」
シエルたちは地図を頼りに、アテン地区へと向かうだが、道のりは遠く、魔物たちが行く先を阻むのであった。
※※※※※※※
シエルとルミエールがオラン地区に入り、ブリッサ街で過ごしてから3日目。
風車が止まったその時…
3月28日
ここはアテン地区のパルテノ街。
風の精霊が居座る神殿がある場所。聖騎士団によって守られていたが、遂に防衛に限界が来てしまい、神殿は魔物の手によって墜ちてしまった。世界中に吹く風は徐々に弱まっていた。
「ゲハハ...精霊ばどごにいっだぁぁぁ。ざがぜー」
ここから魔物たちのは各地への侵攻の激化を始める。




