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ネト充。  作者: @ゆ ん
5/5

もしもし?



それから。



莉玖りくとは毎日メールした。



莉玖というのは部屋主の本名。






武井たけい 莉玖りく



愛知県に住む21歳の大学生。





―――莉玖との出会いは?



そう聞かれたら答えは決まってる。




「文化祭で出会いました。」




ネットで出会った人とメールしてるなんて、言ったらどう思われるだろう?


出会い系してると思われるのかな?


恋愛に飢えてる女とか・・?





ネットで出会った関係だなんて。


言えないよ。






私の恋愛なんて決まってる。


私の恋愛なんて、どうせちっぽけ。





ネト彼




ネト充




・・私はいつになったらこのサイクルから抜け出せるんだろう?


いつになったらちゃんとした恋愛ができるんだろう?






そう。




ちゃんとした恋愛。











―――



初めて名前を聞いた時は、思わずドキっとしてしまった。


だって名前、かっこいい。


『電話。してみない?』


アドレスを交換してから二日程経った頃のことだった。



初めて莉玖の声を聞いたのは通学途中。


毎日莉玖はバイトで私は丸一日学校。


お互い忙しい毎日を送っていた。


だから電話なんてできる時間がない。


唯一、少しではあるが、朝なら時間を作ることができた。





あと3分程歩けば学校に着く、という距離で道草した。


学校のある方向とは違う、左の小道へ歩ってく。


メールで準備ができたことを伝えた。





それから数秒後。


携帯のサブ画面には好きな人の名前があった。





・・莉玖の声・・




ドキドキしながらも通話ボタンを押した。



この日は雨が降っていた。



「『・・・』」



傘に当たる雨の音だけが、二人の沈黙の間に鳴り響いてた。



緊張して短い言葉が出ない。


「もしもし」


それだけなのに。



『・・もしもし?』



ふと、受話器の向こうから声がする。


「あっ、もしもし・・?」


雨音に負けそうな小さな声で応えた。





『奈々ですかー?』





莉玖の声は大人びてた。


でもどこか幼いような。


そんな声だった。


大学生って感じがして、今話してることがとても不思議に思えてくる。



「はい奈々ですー」



相変わらずドキドキは続いてた。


もっと莉玖の声が聞きたくて、頑張って話そうとした。




『学校大丈夫なの?』




心配そうな莉玖の声は、私を落ち着かせた。




「大丈夫だよ。莉玖は?バイト大丈夫なの?」



聞き返すと、ちょっと笑って『俺は大丈夫っ』と答えてくれた。



この日は本当にちょっぴりしか声を聞けなかった。






でもそのちょっぴりは、私にはとても刺激的な時間に感じた。









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