第41話⬜任務失敗
新しい妖精女王のタイターニアは女王というよりは普通のお嬢様に近い。喋り方も普通だし自分が大きくなったらこんな風になるのかなと思う。いや こんなお上品にはならないかな。
この間手を握ったら嬉しかったのか手から宝石がポロポロと落ちてきた。この子は愛を感じると宝石がポロポロと出てくるようだ。
指から妖精女王の雫が出るのは一緒だった。雫をもらったんでお礼に蜂蜜をあげた。そうしたら感極まって宝石がポロポロ出ていた。絶対に人前には出せんな!騙されること請け合いだ。
タイターニアの村もどんどんとできつつある。住み家なんかも木にぶら下がってるのではなくて木の枝にコブがありそこに入って住んでるようだ。果樹園があるのは同じだ。ちょっとの違いはあるが だいたい似たり寄ったりのようだ。
俺は今 気になっていることがある。それは この間ソレイユねえさんが言ってたこの竜人領では貿易が盛んだっていう話だ。
一体何を売って何を仕入れてるんだろう。うまいお菓子が手に入ったらいいな。ちょっと行ってみるか。
エアーバイクで東に向かう。1時間ほど飛ぶと海が見えてきた。手前で止まってエアーバイクをマジックバックにしまった。
近くまで行って船員さんに話を聞いてみることにしよう。100mぐらいある帆船が停泊している。ちょうど床磨きしてる船員さんがいるから聞いてみた。
「おじしゃん。この船は何処に行くの?」
「ええ?ああ、これは南のリーム王国だよ」
「何だい嬢ちゃん 船に興味があるのかい?」
「何しに行くの?」
「貿易だよ。獣王連合国から鉱石や宝石、武器、防具を売りリーム王国からは加工品を買っているんだ」
「しゅごいね。お菓子はないの?」
「ハッハハハハ腐っちまうよー」
「ありがと」
5、6人の船員さんに聞いてみたらやはり同じようなことを言っていた。お菓子が入ってこないとはダメじゃないか。
リーム王国との貿易は海流の関係で1週間ほど時間がかかるんだそうだ。だから食料品はあまり輸入されていない。加工品は時計、服、陶器、生活用品などが入ってくるようだ。
貿易相手国がリーム王国とは前世で俺がいたドレーヌ帝国が攻めていた国じゃないか。獣王連合国よりはうまいお菓子がありそうだな。
前世だったらこれだけの情報を得るのに相当酒を奢らなければならなかったな。今のこの姿に感謝だ。
1週間もかけて船に乗って行くのもなあ。すぐに行きたいんだよな。すぐに。
エアーバイクで死の森を進む。リーム王国側1キロ手前で止まり森の中に転移門を設置した。
そこからまたエアーバイクに乗って南に進む。どうやらリーム王国に来たようだ。
北部の方は田園が広がっている。山もあり湖もある。海岸沿いと中央から南部にかけては町が多いようだ。
俺は中部地方の町に降りて そこで お菓子屋さんを探してみることにした。
みんな町に入るのに門の前で並んでいるので ここを通らないといけないようだ。
「次の人」
「はいルーナでしゅ」
「お家の人はどうしたの?」
「一人で来た」
「えー大丈夫なの?」
「大丈夫でしゅ」
「うーん、だってお金がかかるんだよ。入るのに銅貨10枚だよ」
俺は銅貨10枚を門番に渡した。
「お嬢ちゃん これどこのお金?見たことないな?これは使えないよ」
「ええー!」
とぼとぼと門から離れて草むらの上に座った。これは困った。通貨が違う。どっかで両替できないもんか?う〜ん無理だな。
「どうしたんだい大丈夫お嬢ちゃん?何か落としたの?」
「どこか両替できるとこはなあい?」
「両替?難しい言葉知ってるね。両替なら冒険者ギルドに行けばできるよ。ただし冒険者だけだけどね」
「ありがとでしゅ」
なるほど冒険者ギルドか。でも冒険者じゃないと両替してもらえないのか。まあ行くだけ行ってみよう。
門から離れて飛んで城壁の中へ入った。そこからはまた歩いて行く。町の中心近くに冒険者ギルドがあった。
早速中へ入ってみる。いかついおっさんがいっぱいいるので隠れながらコソコソと受付の方へ行ってみた。
「ようこそ冒険者ギルドへって、どうしてこんなちっちゃい子がここにいるの」
「両替をお願いしましゅ」
「ええー?両替は冒険者のみに適用しています。一般の方はご利用になれません」
「じゃあルーナを冒険者にしてくだしゅい」
「あなたは何歳ですか?」
「15歳でしゅ」
「嘘おっしゃい。どう見ても3つが4つでしょ」
「あう〜」
とぼとぼと歩いて冒険者ギルドを出ようとする。するとでかくて柄の悪いおっさんが声をかけてきた。
「見てたぜ嬢ちゃん両替したいのか?俺が代わりにやってやるぜ。だから1割よこしな」
いかにも怪しいやつだな。でもお金が手に入らないとお菓子が買えないしな。ここはひとつ頼んでみるか。銀貨5枚を渡す。
「ん、こんな金見たことねえな?一体どこの金だ」
「獣王連合国でしゅ」
「獣王連合国ったあの死の森の北にあるっていうあの獣王連合国か。お前あんなところから どうやって来たんだ」
「飛んできたでしゅ」
「ガンツさん見てましたよ。それ違反ですよ」
「いやー俺はこの子が困ってたんで 見かねて声をかけただけだぜー」
「はー、ご自分の両替でないならこの子にお金を返してください。あなたもお家の人に頼んでください」
「あい、分かりましゅた」
ダメだ。しかしここまで来てお菓子を見ないで帰るわけにはいかない。お店に行ってみるだけ見てこよう。俺は飛んですぐその場を離れた。
「うそ。あの子飛んでったわ!」
「あいつ本当に飛んできたのか!すげえやつだな」
町の中心街でお菓子屋さんを探した。ずいぶん流行ってそうな店を見つけた。見るとそこにはシュークリームがあった。へーやっぱり人族の町には美味しいお菓子があるんだ。
俺は泣きながら飛んで家に帰った。




