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料理初心者への基礎講座「スクランブルエッグ」編

 さて、スクランブルエッグ作ります。

 「じゃあ、スクランブルエッグ作るね」


 舞羽が冷蔵庫から卵を二個出しながら言った。


 「あ、舞羽ちゃん、卵料理でふんわりさせたい時はマヨネーズ入れたら良いわよ」


 郁巳たちの母親が舞羽にワンポイントアドバイスをくれた。


 「あ、そうなんですね。じゃあ今回は入れてみます」


 「後、甘めでって言ってたから火を通す前の甘さは甘ったるい位の甘さが良いわよ。いつも綾の時はそうしてるから」


 「おお、さすがお母様。娘に教えてないことを舞羽先輩に教えている」


 「あなたはいつも食べているだけで料理に関しては無頓着だったじゃない」


 「あはは、その通りでーす」


 「全くもう」


 娘の今までの行動に少し呆れながらも嬉しそうに語る郁巳たちの母親。そんな親子を見ながら舞羽はボウルに卵を割り入れた。


 「じゃあ、甘ったるい位に砂糖入れて、牛乳、隠し味に塩を少々入れて…うん甘い」


 舞羽が卵をかき混ぜてちょんと小指を入れて、それを口に入れた。


 「あ、私も舐めてみたい。ちょっと失礼して…うーん!あまーい!こんなに甘くて良いの!?」


 綾も舞羽の真似をして小指を入れて舐めた。綾は想像したのより甘かったのかびっくりしていた。


 「ふふっ、私もそう思ってたけど卵は加熱すると甘味が減るから甘めに作りたい時は甘ったるい位が丁度良いのよ」


 「そうなんですね。勉強になります」


 舞羽が納得した様に頷いた。


 「あ、舞羽先輩、マヨネーズ忘れてます」


 「おおっと、いけないいけない。マヨネーズは…」


 「ああ、それは私も分からないから適当よ。大さじ山盛り一杯位でいいんじゃないかしら?」


 舞羽が迷っているとすぐさまマヨネーズ案を出した郁巳たちの母親が一声かけた。


 「じゃあ、大さじ山盛り一杯で…んで混ぜて…お、結構混ざるんだ」


 「でも何か…いつもと違って全体的に少し透明感があったりマヨネーズの小さなダマがあったりしていて…」


 「うん、…まあこんなものだよ…」


 「そ、そうですね。まだこれで出来上がりではないですもんね!」


 舞羽と綾は引き気味になりながらもフライパン、油を準備をした。


 「あ、私いっつも強火でやってたらガーガーっと混ぜるから直ぐにボロボロになっちゃいます」


 「じゃあ、今回は強めの中火でするよ」


 パチン


 舞羽はフライパンの底に火がちょっと付く位の火加減で固定した。


 「じゃあ舞羽先輩入れるね~」


 「うん、お願い」


 ジャ~


 綾が卵を入れたが舞羽は直ぐにはかき混ぜなかった。


 「舞羽先輩!混ぜないと固まっちゃいますよ!」


 綾が少し困惑していると舞羽が少し笑って言った。


 「大丈夫大丈夫。ほらこうやってちょっと間を置くことで少しふんわり感でるから」


 そう言って舞羽はサーっと箸で円を書く様に混ぜた。卵は火の当たっている底から薄い膜を作りながらゆっくり固まっていった。そしてグチュグチュの状態で舞羽は火を止めた。


 「ごめん綾ちゃん、お皿用意してもらって良いかな?」


 「あ、はい。分かりました」


 綾がお皿を用意している間も舞羽はコンロからフライパンを下ろさず混ぜていた。


 「舞羽先輩、これで良いですか?」


 「うん、ありがとう。んでっと」


 舞羽は綾が用意したお皿にフワッフワッに出来たスクランブルエッグを盛った。


 「うわっ!さっきグチュグチュだったのに!何で!?何でですか舞羽先輩!?」


 綾は出来上がったスクランブルエッグに興奮しながら舞羽に聞いた。


 「余熱でここまでしたんだよ。でもここまでフワッフワッなのは…マヨネーズの力なんですか?」


 舞羽が自分で作りながら出来上がりに驚き郁巳たちの母親に聞いた。


 「ええ、前にテレビで聞いてやってみたら今みたいにフワッとなったからそうするようにしているの。原理は知らないけど」


 郁巳たちの母親が二人の反応を見て答えた。


 「味も…うん、美味しい~!ほら舞羽先輩も食べてみて下さいよ!」


 綾がひょいとつまみ食いをして満面な笑みを浮かべた。


 「じゃあ、ボクも…うん!甘めで美味しいよ!そしてこのフワッフワッ感!すごいね!」


 「はい!」


 舞羽の反応に綾は嬉しそうにはしゃいだ。


 「じゃあ、食べようか」


 「ハイ!あれ?舞羽先輩のは?」


 「あ……そしてパン焼くのも忘れてた…」


 「あはは…これ作るのに二人とも夢中でパンのこと忘れてましたね。舞羽先輩、パン焼く間二人で出来上がったスクランブルエッグ食べませんか?」


 「いいの?」


 「ええ。旅は道ずれ世は情けです」


 「じゃあ、お言葉に甘えて」


 「じゃあ、舞羽先輩、スクランブルエッグ持っていって下さい。私、フォークと牛乳用意しますから」


 「はーい、後ついでにパンも焼き始めるね」


 「あ、お願いします」


 舞羽と綾のやり取りを見ながら郁巳たちの母親は笑みが絶えなかった。


 「ふふ、まるで姉妹ね」

 主人公の郁巳はまだ起きてきてません。

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