リクエスト
誰か起きてきましたみたいです。誰でしょう?
トントントン
誰かが階段を下りてくる音が聞こえた。
「ふぁ~、おはよう…あれ?お母様がいる?」
眠たそうに目を擦りながら綾が階段から下りてきた。その姿は既に制服を着ていた。
「おはよう綾。今日はたまたまこの時間にいるの」
郁巳たちのお母さんが朝食を食べ終わって二杯目のコーヒーを飲もうとしていた。それを見て綾も納得した。
「ああ、そうなんだ。あ、舞羽先輩、おはようございます。昨日は寝れましたか?」
「おはよう綾ちゃん。うん、昨日はぐっすり眠れたよ」
綾の質問に舞羽は笑顔で答えた。しかし、その答えに綾が不思議そうに呟いた。
「(おかしいな~普通なら少し寝不足気味になったりするはずなのに)」
「聞こえてるよ綾ちゃん。うん、正直いつもより寝不足気味だよ」
「あ、あははははは…」
舞羽の地獄耳に綾は冷や汗を流した。それを見ていた郁巳たちのお母さんはクスッと笑った。
「さてと、とりあえず綾ちゃん、朝食何にする?」
「え!?舞羽先輩が作ってくれるんですか!?ヤッター!」
綾がキャッキャッと喜ぶ。
「ああ、でも簡単な物しか作れないよ。スクランブルエッグとか目玉焼きとか」
「え!スクランブルエッグ作れるんですか!?私、あれいい感じに作れないんですよ。もし良ければ教えてもらえませんか?」
「うん、いいよ。どんな感じがご要望?」
「えっとですね、グチュグチュでもなく固めでもない、フワッフワッの状態です!あ、味は甘めで。私がするとどうしてもしょっぱいんですよね。」
「…なかなかご要望が難しい。まあ、やってみますか。まあ失敗したらボクが食べよう」
「舞羽先輩、まだ食べてなかったんですか?」
「うん、綾ちゃんのお母さんと話してたから」
「もう、お母様!舞羽先輩はお客様なんだからね!」
綾が自分の母親に少し怒った様な仕草をした。しかしそれを見て
「そのお客様にご飯の用意をしてもらおうとしているのは誰?」
母親が娘を嗜めるように言った。
「…ふぁい」
「あは、あはははは…」
しょぼんとする綾を見て苦笑する舞羽であった。
スクランブルエッグ、簡単そうで意外に奥が深く感じる一品です。




