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男の聖女はダメですか?  作者: 茉小夜
ドラコニア王国
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第52話 里帰り

「お久しぶりです。閻魔様」


「おお、ミヤビか。存外に早かったな」


里帰りの許可を貰ったので、転移門で日本の神界へとやって来た。


「ははっ、一番簡単な手段に手を出しただけですけどね。向こうでレベルが一気に上がったんですけど、神度がなかなか上がらなくて……」


「ふむ、ちょっと見てみよう。どれどれ……ああ、なるほど。まだ、限界突破をしておらぬのか。それならば仕方あるまい」


「どういう事ですか?」


閻魔曰く、種族事に決められたレベルの上限があり、それを突破する事で神度が上がるそうだ。

俺の場合は、人なのでLv.99。そりゃあ、届いてないから神度が増えることは無いわな。


「たまにいるというか、向こうで会った事有るんじゃないか? 神に昇華した武人や英雄。彼らは名声で信仰を集め、レベルの限界突破して神位に踏み込んだ者たちじゃ」


武神アレスの訓練時に巻き込まれた元人間の下級神がいたけど、彼らがそうみたいだ。


「それで帰省じゃったな。今回、ニュンフェ殿は仕事で同行出来ないから代わりにお主の眷属を召喚して同行させたいと聞いたが……?」


「ええ、それでお願いします」


「それは異世界からの次元召喚か? 流石に魔力も神力も全く足りてないと思うが……?」


「ニューから神界を経由すれば大丈夫と言われたから向こうに呼んでいるのですが、……やはり難しいでしょうか?」


やはり、ノアの神度も上げないとダメかな?


「なるほどの。それなら可能じゃ。そっちの神界に呼んでいるのなら一度こっちに呼ぶと良い。更に消費を抑えられよう」


閻魔からの召喚許可が降りたので早速彼女を召喚した。


「……ここが日本の神界。変わってますね」


ノアがそう言うのもおかしくない。

畳のある大広間に世界を映す複数のモニター。その前にはコタツとみかんが置かれて老人が入っている。殺風景な向こうとは大違いだ。


というか、来る度にどんどん日本風に変化してないか? コタツにみかんって誰の影響を受けたのだろうか? まかさ、俺とか言わないよね?


「転移門の使い方は既に知っておろう。気を付けて行くんじゃぞ」


閻魔様に見送られながら俺たちは転移門を潜った。マンションは既に引き払っている為、実家にある自身の部屋に繋ぐ事にした。

転移門を出ると見覚えのある漫画とラノベしかない本棚。ゲーミングパソコンの置かれた机。これこそがマイルーム……のはず?


視線をズラすとベッドでお菓子を食いながら漫画を読む妹たちと脱ぎ散らかった洋服。いつから俺の部屋は妹たちの部屋になったのだろうか?


「「いや〜ん、お兄ちゃんのエッチ〜!」」


「いや、ここ俺の部屋だよね!?」


しかも薄着なだけでエッチな要素一切ないし! 脱いだ服は片付けて! お菓子をベッドにボロボロこぼすな!!


「うぇっ!? お兄ぃがまた新しい彼女を連れて来てる〜」


「浮気だぁ! 不潔〜。ミュー姉に言ってやろ〜!」


「ふっ、残念ながらミュー公認なのだ!」


「「な・ん・だ・と!?」」


驚愕した後、兄の癖にハーレムは生意気だと妹たちはポコポコ叩いきた。


「初めまして、ミヤビさんの眷属で現地妻のノアです。お二人の事は色々お伺いしてます」


「初めまして、ノア姉。口調はお兄にするみたいに崩して良いよ。それにしても……」


「ふふっ、気になりますか? ミヤビさんの妹さんたちなら触っても良いですよ」


「ごくり。それじゃあ、遠慮なく……おお、ふわ重だっ……」

「うわぁ……何この揉み心地……。なで、垂れないの? 何を食べたらこんなに大きくなるの?」


最初は恐る恐る触っていた妹たちだったが、そのおっぱいの魅力に取り込まれて揉み揉みが止まらない。


「んんっ……///」


「はい、ストップ! それ以上はいけない。お前たちも抵抗しないからって揉み過ぎだ!」


「「ごめんなさい〜」」


「いえいえ、責任はミヤビさんが取ってくれますから」


熱っぽい視線を向けるノア。

ステイ。ここでは不味い。俺の部屋は壁が薄いし、妹たちが占領しているんだ。


「でも、お兄が堕ちるのも無理ないね。これだけ大っきいとイチコロだもん」

「大きなおっぱい好きの聖人さんだもんね〜」


「おい、人聞きが悪いぞ!」


「だって〜」

「ねぇ〜」


2人はバラバラに散って特定の場所を漁る。その場所には凄く心当たりがあった。

いやいや、まさかそんな訳がーー。


「『おっぱいマニアの為の品評会!』。ちっぱいが載ってませんが、この敵め!」


「『爆乳は幻想? 否、真の爆乳をお見せしよう』。大きければ良い訳じゃない。ちっぱいはステータスだ!」


「妹にバレてた!しかも寄りよって、マニアックなのを持ってきやがったな、おい!!」


妹にエロ本の隠し場所がバレてました。メンタルに多大なダメージが入る。

だが、ちょっと待って欲しい。俺の記憶が正しければ、前の帰省時に全部捨てたはずなのだが?


「普通に残ってたよ。本棚の隙間に」


「ベッド下のゲーム雑誌の間に混じってた」


よし、燃やそう。そして、帰る時に雑誌系は全て捨てよう。

記憶はどうしよう? 闇魔法で改竄するか?


「ミヤビさん」


「ノア……」


ノアに腕を抱き締められた。何時でも発動出来る様に練った魔力に気付かれーー。


「私も読みたいです」


おおっと、想像していた展開と違うぞ!?

めっちゃ読みたいのか、ノアを瞳をキラキラさせている。


「「へい、ぱ〜す!」」


そこへすかさず妹たちはノアに雑誌を手渡した。


「はぁ〜っ、綺麗な絵ですね。おや、折れ目が……? ああ、なるほど。このタイプはお好きですものね……」


「みゃあぁぁっ、返してぇええっ!?」


妹たちの前で彼女にエロ本を読まれるって、どんなプレイですか!?


「ダメですよ。まだ、全然読めてないですから」


取り返そうとするも空に掲げて取れない様にする。元々の身長差もあってジャンプをしても届かない。

ここが異世界なら身体強化で届く筈なのに!?


その後、騒ぎを聞き付けた家族が部屋に乱入し、賑やかな帰省となった。









「……身分証をお返しします。それではこれらの宝石を合わせまして、買取り金額は520万となりますが宜しくでしょうか?」


「問題有りません」


「それではこちらにサインを……」


実家に帰省した後、質屋を訪れた。それというのも、宝石を売ってこちらで活動するための軍資金を得るためだ。


最初は定番の金を売ろうと考えたが金貨のままではルールに抵触して売れない上に、インゴットにするにはそれなりの枚数が必要だった。しかも純度が低いから精錬する必要も出てくる。それなら少ない枚数で買える宝石の方が数を揃えられるという訳だ。


「元気にされますか? 口座振込にされますか?」


「現金で」


怪そうな店員を無視して、現金を受け取ると直ぐに店を出た。大金をそのまま口座に入れようものなら、税金などで怪しまれる可能性がある。

もし、口座に入れたければ閻魔様に渡せばいい。

そうすると手数料を引いた分が神様たちの隠し口座から自身の口座に送金して貰えるらしい。

神様もお金を持たないといけないとは世知辛い世の中だ。


「〈収納〉」


人目が無い事を確認して、〈収納〉に片付けた。結構な大金になったので、次が有れば持ち込む量を減らすとしよう。


「それでは……まずはあの城に行きましょう!」


「いや、あそこは……」


資金が出来たのでデートを始めた訳だが、開始早々に凄いデジャブを感じた。

ミューもラブホを城だと思ってたな……。


「……知ってますよ。恋人たちがエッチする宿ですよね?」


恥ずかしそうにそう答えるのはノア。どうやら、ミューから聞いていたようだ。


「妹さん達の責任はお兄さんが取らないといけませんよね?」


よし、行こうか。神界で蹂躙された仕返しもしたかった所だ。オモチャも使って反撃だ。

俺たちはちょっと大人の寄り道をした。






「えっと……。よし、コレにしよう」


ラブホを出た俺たちは本屋を訪れた。


技能神であるブリギッテさんからの依頼で勇者が残した名前だけの物たちを完成させて欲しいと頼まれたので資料を探す為だ。


シャンプーの件で分かったことだが、勇者たちのせいで彼らが作れないのだから自分たちが作れる訳がないと製品の生まれる可能性が消えたらしい。


神様公認で複製出来て、お金も稼げるので喜んで引き受けた。


「ノアは何か欲しい本有った?」


「お菓子の本が欲しいですね。いつもミヤビさんにばかり頼っていますので……」


「そういえば、うろ覚えで作ってるからレシピ本が欲しかったんだ。気になったお菓子と料理の本が有れば全部買おう」


女性陣を味方にするべく、スフレやケーキなどのレシピは特に必要だ。真っ当な家なら女性陣は強いからね。


「それではこれとこれ……」


どんどんカゴに積まれるお菓子のレシピ本たち。ケーキ屋さんでも作るのかなと思われそうだ。お菓子は彼女に任せて俺は料理の本を選ぶとしよう。


「勇者の活躍で食材には困らないんだよな」


よく、和食を求めて一喜一憂する場面が有るが、王都の市場に料理の"さしすせそ"は全部揃っていた。レストランでも一部が使われている事が有るのでそこまで哀愁を感じる事はなかった。


「おっ、これは……」


本を漁っていたら、一つの分厚い本に目がいった。それは商品のカタログだ。一般の人が分かる様に性能の簡易図解も乗っている。作製の参考になりそうなのでこれも購入する事にした。


「あとは化学の本か」


とりあえず、高校生レベルの本を手に取った。魔法の性能を上げる為の知識イメージならこれくらいが丁度いいだろう。





一通りの買い物を終えた俺たちは予約したホテルに入った。

本来なら自宅に帰る所だが、俺の部屋は倉庫兼遊具室にされていた。しかも、妹たちがお泊まり会で使うので、泊まれないときたものだ。連絡していたとはいえ、いきなり帰ったので仕方ない。


何かしらの連絡手段を確立出来ないものか……?


一応、今回行った手段の様に手紙の様な小さい物なら異世界からでも投函出来る。

しかし、それでは一方通行にしかならないので今回の様に予定を確認する事が出来ない。小型の転移陣でも設置出来ないか、閻魔様に聞いてみるか? それが出来るのならやり取りがしやすくなるだが……。


「って、熱っ!? お湯!?」


色々考えていたら水中に放り込まれた。水かと思ったら熱いお湯だったので余計に混乱してしまった。


「あっ、気付きましたか? 呼んでもなかなか反応しないので投げ込みました」


「もっと穏便な方法でお願いします!!」


「何を考えていたのか知りませんが、お洋服を脱がすのですら無反応でしたので……」


「それは俺が全面的に悪かったです。すみません」


「分かったなら良いんです。それじゃあ、体洗ってくれますよね?」


「へっ?」


「ニュンフェ様から聞きましたよ。いつも念入りに洗って貰うのだとか。当然してくれますよね?」


「えっ、それは……」


「してくれますよね?」


「はい、洗わせていただきます」


そんなに洗われたいなら洗ってやろう。魔法も使って、彼女をしっかりと隅々まで洗ってあげた。


どうやら彼女は表面上しか聞いていなかったらしい。洗浄という名の責め苦に耐えきれずに気絶してしまった。


翌朝、顔を真っ赤にしたノアに封印指定されたけど良い思い出になった。

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