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0122 フードを被った付き人

【 22/1/20に下記の修正を行いました 】


★修正箇所∶サブタイトル


〈修正前〉

0122 フード被った付き人


  ⬇


〈修正後〉

0122 フードを被った付き人



 ルキウスとオッターヴィオたちの乱闘は、聖竜軍の突入によって散開し、オッターヴィオもベリーを連れてアジトに逃げ帰った。



 ガァーン! 「くっそ! なんでいきなり聖竜軍がでてきやがんだ!」オッターヴィオが椅子を蹴飛ばして怒鳴り声をあげた。



 「うう、ううう、あー、うー、うでぇ、あたいのうでぇ」部屋の隅ではヒヨリ=ツキノに右の肘から先を切断されたベリーが、治療を受けながら呻いていた。



 オッターヴィオが、気遣わしげにベリーの方を向いたあと、周囲を見回し「おい、テオ。戻ったのはこんだけか? 何人だ?」と訊いた。



 「あっああ、いまいるのは、二十六人だ」恐る恐る答えるテオ。



 「なっ、二十六だと! おいこら、あそこには七十はいただろうが! それが二十六だと、どこ行きやがった! バックレやがったのか!」

 


 「いや、あの、それが、連中、そう、聖竜軍の連中が、き、斬りやがったんだ……」



 「全員か?」オッターヴィオが驚いて聞き返す。



 「捕まったのも、何人かはいたが、殆どは斬られた。あいつら、武器を捨てて膝をついたやつまで斬りやがった……きっと、最初から俺らを殺すつもり、だったんだ。なっ、オッターヴィオ、やばいぜ。聖竜軍の連中が本気になったら、俺らなんかすぐに殺される……逃げよう、逃げようぜ!」と言うテオに「おぉそうだ」と周囲の連中も同意し、ざわめく。



 ドガッ! 「うぅっ」オッターヴィオがテオをぶん殴り、テオがうめきを上げて倒れる。「うっせえ! このボケがぁ、聖竜軍なんぞにびびんじゃねぇ! おめえらもだ! くっそー! くそ! くそ! くっそー!」ガン! ドカ! バキ! そこら辺にある椅子や机を蹴飛ばし、怒り狂うオッターヴィオ。


 「あ、あにきぃ!」治療を受けていたベリーが怒鳴った。


 「あっ? ベリーか、どうだ腕は?」


 「あにきぃ、マルティーニ商会……マルティーニ商会を襲うのよ! ヒヨリ=ツキノぉ、あのクソ女をぶっ殺す! あの女の腕を切り取ってあたいの腕にしてやる。あのクソおんながー!」ベリーが血走った目で叫ぶ。


 「マルティーニ商会……いいじゃねえか。この落とし前は、マルティーニ商会につけてもらうか。おい、おめえら準備しろ、いまからマルティーニ商会を襲う。金目の物は全部奪え、女とガキは欲しいやつにやる。存分に暴れろやー」と、オッターヴィオも叫んだ。


 「おぉー!」雄叫びをあげるオッターヴィオの手下たち。



 「いやぁー、何やら騒がしいですねぇ」と、声をかける男。



 誰? 全員が呆気にとられた。なぜなら、この男は突然部屋の中に現れたのだ。入り口からではない、皆が囲っている輪の中にいきなり、しかも三人で。



 「だ、たれだ?」と、振り向きざまにオッターヴィオが訊くが、「エタン!」と答えたのはベリーだった。ベリーは、エタンと呼んだ男に駆け寄ると、男の体に腕を回してしなだれ、「エタン、会いたかった、会いたかったのぉ」と甘えた声を出して顔をエタンの胸に押しあてた。



 「おぉ、そうですか。わたしも会いたかったですよぉ。さぁて、約束のものはいかがです?」とエタン。



 「おい待て、ベリー。そいつは誰だ?」オッターヴィオが、顔をしかめながら再度訊いた。



 「うふふ、あたいのカレシよぉ。エタンっていうの。フリースカのリーオンから来た商人なの。いい男でしょ」と、うっとりした目でベリーがエタンを見る。そして、はっ、と思い出したように「エタァン、見てぇ、いったいのぉ。物凄く、お願いぃ慰めてぇ」と余計に甘ったるい声をだしてエタンに体をグイグイと押しつける。



 「おお、これはこれは、可哀想に。あとでたっぷり慰めてあげましょう。ところで、例のものは? さあ、どこです?」少し焦れたように再度問うエタン。



 「ああん、ごめんなさぁい。実はぁ、ちょっと邪魔が入っちゃってぇ、捕まえられなかったの。でもね、これからぁマルティーニ商会を襲うつもりなの。あなたぁ、この国で商売を広げたいって言ってたでしょう。マルティーニ商会を潰せば、そのショバをあなたに、あ、げ、る。ねっ、いいお話でしょ」エタンの胸を左手の指でいじりながらベリーが告げた。



 「捕まえられなかった? では、例のものはここにはない? と」聞き返すエタン。「そうなの、ごめんねぇ」とすかさず返すベリー。


 ドン! エタンがベリーを突き飛ばした。「気持ち悪い、離れなさい!」突然声を荒げるエタン。「ど、どうしたの?」驚いた顔をしながら、再びエタンに触れようと手を伸ばすベリー。だが、ベリーの目の前にフードを深く被った付き人が割って入った。


 「なっ、あんた何よ!」ベリーが金切り声を上げる。


 「例のものがないなら、あなたにもここにも用はありません。先に帰りますから、後始末をお願いしますね」ベリーを無視してエタンが背を向けた。


 「おいこら待てぇ! てめぇか、竜眼のを連れて来たら金払うって言ってたのは? このままなんの礼もなしに帰れると思ってんのか」オッターヴィオが、エタンにドスをきかせながら右手を上げた。すると、オッターヴィオの手下たちが、エタンと入り口の扉の間に集まって道をふさいだ。


 「礼? なんの……ああ、そうね。手間賃ぐらいは払いましょうか。しかし、死人にお金っていりますか?」


 ズシャ! ブバッー! エタンの前に立ちはだかっていた三人の男の首がとんだ。「うっ、わー!」ゴロツキどもが腰を抜かしてエタンたちから遠ざかろうと、床を這う。


 「じゃ、帰りますから。あとはよろしく」そう言ってエタンは、もう一人のフードを被った付き人の横に立った。そして、一瞬で消えた。



 「なっ、てめぇ、何しやがる!」オッターヴィオの手下三人をいきなり斬ったのは、エタンとベリーの間に割って入ったフードの付き人だ。エタンが突然消えたことよりも、オッターヴィオは剣を抜いて棒立ちになっているフードの付き人に目を向けていた。



 (こいつは、ヤベえやつだ)オッターヴィオの動物的なカンが囁く。オッターヴィオは、ロムパイアを構えてフードの付き人と間を取った。



 「お前らごときがこの俺に立ち向かうか? まあいい、少し遊んでやろう」そう言いながら被っていたフードをとって見せた顔には、左のこめかみから顎にかけて大きな傷があった。




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