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0114 強くなりたい!



 継嗣戦をやろうと言うジョルジョ。だが、それは危険な賭けだ。悩むルキウスにジョルジョが、自分たちの申し出を受けるしか選択肢がない、とルキウスに語りかける。抵抗するルキウス。だが、最終的にルキウスは、ジョルジョの話に言い返せなくなってしまった。



 「……二対二ですか?」ルキウスが問うた。



 (かかったな)心の中でほくそ笑みながらジョルジョが応える。「受ける気になってくれたんだね。ありがとう。いや、一対一にしようじゃないか。誰とやるかは君たちで決めてくれ。俺たちはそれに従う。そして勝敗は、俺たち二人が君たち二人を倒したとき以外は、全て君たちの勝ちでいい」



 ジョルジョが心の中でほくそ笑んだのは、まさにルキウスが、引っかかった、からだ。ジョルジョの話には嘘が混ざっている。グレタの話は本当だが。他は、真実をベースにして巧妙に嘘を織り込んでいる。アウラの話を使った部分は、ルキウス自身がジョルジョたちと一緒に話を聞いていた、というシチュエーションも利用している。人の記憶は時間が経つほどディテールが曖昧になっていく。一緒に話を聞いていた者に同意を求められると、なんとなくそういう気になったりもする。だからジョルジョはそこを突き『そうだったよね』というニュアンスで問いかけ、ルキウスの記憶を恣意的に誘導したのだ。



 ステラは、ジョルジョとルキウスの会話を聞きながら、胸が強く締めつけられる思いに苛まれていた。



 ステラが、ジョルジョの提案をしつこく拒否していたのは、ルキウスたちと戦いたくない、ということだけが理由ではなかった。いままさに、目の前で繰り広げられているジョルジョの悪しき説得が、どうしても納得できなかったのだ。



 「それでは、騙し討ちと同じじゃないですか?」ステラがジョルジョの提案にくってかかった。



 「そうとも言えるかもしれせん。だが、悪意を持って騙しているわけではない。まっ、嘘も方便、というやつですね」



 「そんなのは、ただの詭弁です。わたしは嫌です。そんな嘘、ルキウスさんに失礼です」



 「お嬢、綺麗ごとだけでは戦いには勝てません。言葉による駆け引き、知恵比べも立派な戦術です」



 「そんな、そんな……嫌です!」



 だが結局、ジョルジョとグレタに押し切られてしまった。



 (こんな汚いやり方……だけど、こんな戦いにみんなを巻き込んでしまったのはわたしです……全てはわたしの責任なんです……)



 ステラは、国を出てからずっと後悔をしていた。何度も自分を責めていた。『わたしはどうして、竜眼が覚醒したときに一人で姿を隠さなかったのだろう』、と。


 竜眼が覚醒したときに、一人でいなくなっていれば、ジョルジョ、グレタ、そしてアリアとアンナは、いまでも幸せに暮らしていたはずだ。なのに、自分は皆の優しさに甘えてしまった。だから、父と母を亡くし、グレタから両親と兄を奪い、アリアとアンナから父を奪った。そして、生き残った皆が自分の衛士になったことで、故郷と人生まで奪った。それだけではない、ビタロスに来て、あったばかりのルキウスやフェリシアの人生も狂わせてしまった。


 なぜ自分はこうまでして生き(なが)らえねばならないのか……、償いきれぬ罪をどれだけ積み重ねればよいのか……。これは全て自分の弱さが招いたこと。『強くなりたい!』こんな自分が皆の運命を少しでもいい方向に変えるには、強くならねばならない、それしかない、といつも考えていた。



 「スぅ姉さま、始まるみたいだよ」アンナに声をかけられてステラは、現実に引き戻された。



 「しっかりと見届けましょう」そう告げると、ステラはいままさに戦おうとしている四人に目を向けた。




いつもお読みいただき誠にありがとうございます。

大変申し訳ありませんが、本日(1/17(火))の投稿は、以上となります。

1/18(水)は、いつも通りの時間に四回行います。

何卒よろしくお願いいたします。

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