0107 ルキウスVSオッターヴィオ
【 1/17に下記の修正を行いました 】
〈修正前〉
人との対戦は、訓練でしか経験がない。そして、これまでこんな攻撃をする相手はいなかった。
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〈修正後〉
人との対戦は、訓練が殆どで、実戦はほぼない。つい最近もアグリコラのチロに負けた。乏しい経験の中で、こんな攻撃をする相手はいなかった。
「ぶっ殺せ!」、オッターヴィオの叫びとともに、囲んでいたゴロツキどもがいっせいに襲いかかってきた。
ゴロツキどもの輪をめがけて、銀髪側のヒヨリ=ツキノが次々と魔法攻撃を繰り出す! 迫りくる幾人ものゴロツキどもが、その攻撃で倒れる!
「くそったれがー!」オッターヴィオも、銀髪側のヒヨリ=ツキノの攻撃でうまく前に進めない。そこを突いてルキウスが、リュウオンシ〈速さ〉を発動させ、一気に距離を詰め、剣を振り降ろした!
ガン! 金属同士が激しくぶつかる!
(とめられた!)ルキウスの初太刀はオッターヴィオのロムパイアが受け止めていた。
「ガキ、速えな。見えなかったぜ。でもおめえ、実戦慣れしてねえな」オッターヴィオが、ルキウスの剣をはじき返し二人が正対する。
「……なんだと、たまたまだろうが! 一回止めたぐらいで、偉そうに言うな!」激昂するルキウス。
「クククッ、動きだきゃあ立派だな。お稽古剣術じゃあ優等生ってとこか? クククッ」オッターヴィオがルキウスを嘲笑う。「くっ」悔しさに歯噛みするルキウス。だが、渾身の気合いを込めた初太刀をあっさりと受け止められたのだ、言い返せない。
「ほんじゃ、こっちからいくぜ!」オッターヴィオが地を蹴って突っ込んできた。速い! だが、リュウオンシを発動させているルキウスには、しっかりと見えている。オッターヴィオがロムパイアを振りかぶった。(上か)ルキウスはロムパイアの刃を剣で受けず、右に体をずらしながらオッターヴィオの胴に向けて剣を、振り切った――「があっ!」ルキウスが背中から後ろに倒れた!
(……何が、起こった?)呆気にとられるルキウス。
オッターヴィオは、ルキウスがロムパイアの刃を剣ではじかないと読んでいた。オッターヴィオが振り降ろした刃は、フェイントだ。どんなに速く動けるルキウスでも、体を密着させればなんとかなる。初手でそう考えたオッターヴィオは、ルキウスが刃を避けた瞬間に、体当たりをし、さらにロムパイアの柄で腹を突いたのだ。
ロムパイアは、刃と柄の長さが同程度で、刃先だけが鎌のように内側に湾曲し、刃も内側についている。まるで、鉈と鎌を合わせたような形で、斬るというよりは、刈り取るような武器だ。オッターヴィオは、自分のロムパイアを『ギロチンソード』と呼んでいた。そして、このギロチンソードは、全長が一トゥカ一ハーン(1.5メートル)もあり、柄頭には槍の石突に似た物が仕込んである。オッターヴィオは、その石突でルキウスの腹を突いたのだ。
「……」倒されたルキウスは、すぐに体を起こしたが、突かれた腹の痛みで声も出せない。
「ガキ、どうよ。これが実戦だ。クククッ」オッターヴィオが楽しそうに笑う。
駆け出しとはいえルキウスも冒険者だ。実戦経験はある。但し、魔獣とだ。人との対戦は、訓練が殆どで、実戦はほぼない。つい最近もアグリコラのチロに負けた。乏しい経験の中で、こんな攻撃をする相手はいなかった。ウィルフォルティスとオスカーとは、たまに実戦形式の仕合を行うが、レベルが開きすぎていて、ウィルフォルティスやオスカーが本気で相手をすることなどない。
だが、こうも簡単にオッターヴィオにあしらわれたのは、それだけか理由ではない。ルキウスは、ウィルフォルティスとオスカーに何度も言われていることを思い出していた。
『お前の動きは読みやすいし、引っかけやすい』
(こういうことか……)悔しさで奥歯を噛みしめるルキウス。たった一合打ち合っただけで、オッターヴィオに見抜かれてしまったのだ。己の不甲斐なさに、これほど頭にきたのは初めてだ。
「ぐ、う、うおー!」ルキウスが叫んでオッターヴィオに突っ込んだ! 「おー! おー! おー! おー!」リュウオンシを全開にして、高速でルキウスが剣をオッターヴィオに叩き込む!
ガッ! キン! ガッ! ガッ! キィン!
だが、全てオッターヴィオのロムパイアにはじき返される。
(なぜだ! なぜだぁー!)
ますますムキになるルキウス。この激しい斬撃には、さすがにオッターヴィオも受けながら後ろに下がる。だが、「いいかげにしろや!」オッターヴィオが、前蹴りでルキウスをふき飛ばした!
「終わりだ。てめえの坊っちゃん剣術なんぞに付き合ってる暇はねえ! 死ねぇー!」オッターヴィオが、頭の上でロムパイアをグルグルと回しながら、ルキウスに飛びかかる!
「ビー!」ボガァン! 「あう!」オッターヴィオの顔面に何か硬いものがぶち当たった!
それは、オッターヴィオの顔面に当たって跳ね返ると、空中で、パッ、と開いてコロになった。コロは、そのままクルクルクルー、と空中で背面回転をすると、ルキウスの頭の上に、ポテッ、と載っかった。
「ビー! ビービー!」あきらかに怒った感じでコロがルキウスの頭を、ポコポコ、と殴る。「コロ……」何を言っているかはわからないが、なぜ怒られているかはわかった。「ごめん……」ルキウスは素直に謝った。
するとコロは、「ビィービ、ビビ」とまたルキウスの頭を、ポンポン、と叩いてから、ルキウスの右側を前足でさした。ルキウスが、そちらに目を向けると――
「おらおらどけどけぇ! このゴロツキどもがぁー!」
大勢の人間が、ルキウスたちを囲むゴロツキどもの輪を蹴散らしていた。




